見出し画像

その文字の役目が分かるといいです 240202

複雑な問題になると式の中に文字が3つ、4つと出てきます。それぞれの役目が分かると、どう処理すればよいか分かって、問題が解決できます。

A(-2, 0), B(0, -2), C(2, 0) を頂点とする三角形ABCがあります。点P(a, b) がこの三角形の内部を動くとき(辺は含みません)、放物線 $${y=x^2+ax+b}$$ の通りうる範囲を調べてみましょう。(2021 東京大)

(a, b) が変化することによって、放物線が動きます。
(a, b)=(-2, 0) のとき $${y=x^2-2x}$$
(a, b)=(0, -2) のとき $${y=x^2-2}$$
(a, b)=(2, 0) のとき $${y=x^2+2x}$$
この3つの放物線が境界になりそうですが、どうでしょう。

文字が4つあります。いま x を X に固定してみましょう。
$${y=Xa+b+X^2}$$…① の y のとりうる値の範囲を調べてみます。

① で b が大きなほうが y は大きな値をとります。
(a を固定したということです。)
三角形ABCを不等式で表すと、
$${-2\lt a \lt 0}$$ のとき、$${-a-2\lt b\lt 0}$$
$${0\leqq a \lt 2}$$ のとき、$${a-2\lt b\lt 0}$$
ですから、
$${-2\lt a \lt 0}$$ のとき、$${Xa+(-a-2)+X^2\lt y\lt Xa+X^2}$$
$${0\leqq a \lt 2}$$ のとき、$${Xa+(a-2)+X^2\lt y\lt Xa+X^2}$$

$${-2\lt a\lt 2}$$ における上限を調べます。
(a を動かすということです。)
$${y_1(a)=Xa+X^2}$$とおくと、a の1次関数です。
$${X\lt 0}$$ のとき、$${y_1(a) \lt y_1(-2)=X^2-2X}$$
$${X\gt 0}$$ のとき、$${y_1(a)\lt y_1(2)=X^2+2X}$$
つまり、上限は
$${X\lt 0}$$ のとき、$${X^2-2X}$$
$${X\geqq 0}$$ のとき、$${X^2+2X}$$

$${-2\lt a\lt 2}$$ における下限を調べます。
a についての関数 $${y_2(a)}$$を
 $${-2\lt a\lt 0}$$ のとき $${y_2(a)=Xa+(-a-2)+X^2=(X-1)a+X^2-2}$$
 $${0\leqq a\lt 2}$$ のとき $${y_2(a)=Xa+(a-2)+X^2=(X+1)a+X^2-2}$$
とおきます。
$${X\lt -1}$$ のとき、 $${y_2(a)\gt y_2(2)=X^2+2X}$$
$${-1\lt X\lt 1}$$ のとき、 $${y_2(a)\gt y_2(0)=X^2-2}$$
$${X\gt 1}$$ のとき、 $${y_2(a)\gt y_2(-2)=X^2-2X}$$
つまり、下限は
$${X\lt -1}$$ のとき、 $${X^2+2X}$$
$${-1\leqq X\lt 1}$$ のとき、 $${X^2-2}$$
$${X\geqq 1}$$ のとき、 $${X^2-2X}$$

したがって、放物線の通りうる範囲は
$${x\lt -1}$$ のとき、 $${x^2+2x\lt y\lt x^2-2x}$$
$${-1\leqq x\lt 0}$$ のとき、 $${x^2-2\lt y\lt x^2-2x}$$
$${0\leqq x\lt 1}$$ のとき、 $${x^2-2\lt y\lt x^2+2x}$$
$${x\geqq 1}$$ のとき、 $${x^2-2x\lt y\lt x^2+2x}$$

知識がないと解けない問題ではないですね。思考力が要求されています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?