【はじまり④】「教える仕事」未経験の２５歳女子、家庭教師アルバイトから自分で塾をひらくまで

前回の話

家庭教師はなかなか難しかった。

生徒さんがウマがあうとうまくいくことも多かった。

ただ、自分の浅はかさで
生徒を傷つけたり、負担をかけたりしたこともあった。

自分にとって効率がいいと思うやり方でも、それを押し付けてはダメ。
・今こうしないと、間に合わないでしょ？
・そんな気持ちじゃ、届かないでしょ？

要求するだけじゃだめなんだ
過信をしては、自信喪失する。

「助けて！」ホテルの先輩の息子さんが突然生徒になる

ある日ホテルの先輩が、

「うちの息子を助けてほしい」

先輩は話しているうちに目に涙がいっぱい。

息子さんは前期試験で落ちてしまい、後期試験一本勝負となっていた。
後期試験までは、あと１ヶ月弱。三週間だっただろうか。

あとにも先にも、あれほど鬼気迫る思いで仕事をしたのは、後にも先にもきっとあれが最後。

途中から同じ状況で苦しんでいた彼の友達も一緒に。
毎日、彼らの家に通い、見事二人とも合格。

うれしい！本当にうれしい！！

数か月前は涙でいっぱいだったお母さんが笑顔で

「みなみちゃん塾とか、はじめちゃえばいいんだよ！」
「みなみじゅく、とかどう？」

え～むりですよ～
それが本当になるとはつゆも思わず。

だれかがだれかを呼んでいただき、本当に「塾」っぽくなる。

ありがたいことに、
彼のお母さんがどんどん兄弟や友人を紹介してくれた。

一件目を終えて、その次のお宅へ。

しかし、ふと気が付いた。

私は問題を解かせながら教えていたので、家庭教師だと時間の割に効果が薄い気がした。なのに、授業料も割高になってしまう。これじゃ、お互いにメリットがない。

だったら、何人かまとめて勉強させてはどうだろう。

場所が必要だ。まずはスペース探し。

でも、いきなりテナントを借りるのは、家賃が高すぎて難しい。

問題集やら備品は車に積んでおけばいい。決まった時間だけ、机といすを貸してくれるところを探せば…

ここでやらせてください！

たまたま御代田町で、知人のコーヒー豆ショップを訪れた時、フロアを見渡す。

・３席
・勉強ができそうなくらいの、十分なスペースの机
・営業時間は６時まで。

ダメもとでお願いした。

「ゆかさん！６時半から、この場所貸してもらえないでしょうか！？」

ラッキーもラッキー。信じられないくらいの安さで部屋代も交渉させてもらい、閉店後のスペースを借りて、授業をするまでになった。

じゅく中心のダブルワーク生活へ

大阪からたまたまきていた姉。
通い詰めていた軽井沢のカフェでオーナーの息子さんを生徒さんにGETしてしまうというミラクルも起こした。

「じゅく」中心の生活へ。
「みなみじゅく」と名前をつけ、最初は6名くらいからスタート。

その後、ホテルから時間の融通のききやすいスタバに仕事をかえ、時間を調節しながら引き続き、ダブルワーク生活。また、ホテル時代にできた同年代の友達、その子とルームシェア。楽しいし、節約になる。

「おまえいつまでそこでフラフラするんだ？」
「（バイトをしてそこに住むのは）１年だぞ」

と、私を煽っていた父も、私がじゅくを始めたと伝えると、

「じゅく頑張れよ。」

と。父も自営業の人だったから、私が新しいことを始めたのならと応援してくれるようになった。

人に助けられ、なんとかなんとか、
世間知らずの空気が読めない夢見る夢子、知らない土地でもやっていく術を見つけていったような…？