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私たち自治体職員職員は既にバトンを受け取っている

「私は先輩職員からのバトンを受け取って今の仕事をしているんだ。」
日頃の仕事でそのようなことを考えたことはありますか。
やり方を変えたいと思った仕事について考えているうちに気づいたことからnoteを書いて見たいと思います。

きっかけは仕事上でのふとした疑問だった

日頃仕事をしていると、「なんでこんなことになっているのだろう」と思う仕事はないでしょうか。私が以前所属していた部署では、法令や規則に基づいて業務を行うことが多くありました。住民の方から説明を求められた際には、法令根拠にわかりやすく説明しているつもりでしたが、理解していただけないこともあり、最終的には法令で定められている旨ご理解いただくしかありませんでした。

所属部署での年次を数年重ねて業務にも慣れてきた頃、ふと「なんでこの法令はこんなことになっているのだろう」と疑問に思いました。そこで法令の成り立ちについて調べると、当時の社会情勢や歴史的背景からそのような内容になっていることを知ることができました。

私がそこから学んだことは、一見すると理解できないことや無駄にさえ感じてしまうことでも、当時の人たちがその時々で一生懸命に仕事をしてきた結果が今に繋がっているということです。それは法令や規則だけでなく、普段の仕事をしていく上でのちょっとしたやり方やルールも同じであることに気づきました。そうしたものは、先輩職員の方々がその時々でより良い方法を模索し、考えた結果だったのです。

時が経つにつれて人事異動も重なり、仕事のやり方やルールが決められた経緯は忘れ去られます。残されたやり方やルールが年月を経て時代とそぐわなくなり、違和感として我々の前に現れます。当たり前のように仕事ができているのは、先人たちが築き上げてきたものがあるからです。私はそのようなことを考えもせず、ただ目の前の問題に不満を感じることしかしていなかったのです。

私たちはバトンを既に受け取っている

私たちは先人たちから既に多くのものを受け取ってしまっています。その街に存在するインフラや街並み、さらには各種制度。まさに所属している自治体そのものと言えるかもしれません。それらは全て先人たちが築き上げてきた歴史そのものです。私たちはその先に立ち、日頃業務に取り組むことができています。つまり、自治体職員となったその日から、私たちは名も知らぬ先人たちからのバトンを受け取っていたのです。

そんな私たちはどのように業務に取り組むべきでしょうか。
日頃仕事をしているとさまざまな課題を感じるでしょう。特に自治体職員の働く環境は民間と比べて遅れていると言われることも多く、不満に感じることが少なからずあると思います。さらには規則や制度で思うように仕事を進めることができないこともあるかもしれません。

しかし、私たちが忘れてはならないのは、やはりバトンを受け取っていると言う意識ではないでしょうか。そう考えると、私たちには受け取ったものよりもより良いものにするという責任があると思います。なぜなら、繰り返し述べてきたように、私たちが当たり前のように感じているものの多くは、先人たちが苦労を重ねて築き上げてきたものだからです。私たちが日頃苦労をしながらそれでも良い仕事をしようとしているように、先人たちもまた同じかそれ以上の苦労をしてきたのでしょう。

疑問に思うやり方、無駄だと感じるものにもきっと理由があったはずなのです。私たちは、時にそれを深く考えることもなく挑戦を諦めてしまうことがあります。もしもバトンを受け取っていることを意識することができたなら、その理由を考えて現状よりも良くしようと取り組むことができると信じています。

バトンを受け取っていることに気付くには

バトンを受け取っていたということに気づくためには、先人たちの仕事に対して興味を持つことから始まります。なぜこのような制度になっているのだろうか、なぜこの報告書は必要なのか。日頃疑問に感じたことをそのままにせず、今までの経緯を可能な限り調べて見ましょう。その過程で先人たちの苦労や努力に気づくことができるかもしれません。そして「なぜ」の理由がわかったとき、現状をより良くするための改善策について議論することができるようになるはずです。
もちろん、多忙な日々の中で全てについてそのような姿勢で臨むことは難しいでしょう。時には事業を問題なく行うために、前例通りに進めることも必要です。ただし、疑問に感じたことは忘れずにどこかに記録しておきましょう。いつか経験を重ねた時、その疑問から芽が出てくることがあるかもしれません。

受け取ったバトンの先にあるもの

そして私たちはこのバトンを誰に繋いでいけば良いのでしょうか。
私が思うバトンを繋ぐ相手とは、未来の自治体職員と未来の住民の方々です。先人たちから受け取ったものは先人たちへと返すことはできません。受け取ったものは未来へと繋いでいくことしかできないのです。私たちがしていただいたように、精一杯やりきって、より良いものにできたという確信を持って未来へと託していきましょう。
未来の彼らから見た時に、今の私たちが残したものは非合理で無駄なものに見えてしまうのかもしれません。しかし今まさに自治体職員として働く私たちは、それらの全てが非合理で無駄なものではないことを知っています。そして繰り返しになりますが、現在まで残る先人たちが残したものもまた全てが非合理で無駄のものではないはずです。それを忘れずに、また明日からの仕事に取り組んでいきましょう。

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