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夢と現実のはざまの世界で

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詩を創っています。ちょっとしたセラピーです。夢でも現実でもない世界へようこそ。
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2022年12月の記事一覧

曇天の冬の森には

冷たい空気の中いつもの森へ向かう 曇天の寒い休日  いつもは多くの人々で賑わう場所も 今日ばかりはひっそりとしている 暗くて寒くて淋しい感じだったらと  出かける前にそんな思いが一瞬よぎったけど杞憂だった 曇天の冬の森は最高であった いつもより人々は少なく しかし確実にその場所が好きな人たちが佇んで座り込んで歩みを止めて  その瞬間を心から堪能していることが様子からうかがえる 灰色の空は暗い気持ちにさせられるどころか むしろ何かから守ってくれているかのようだ

豊かさの定義

ちょうど良い温度のシャワー ちょうど良い固さのプリン ちょうど良い長さの睡眠時間 ちょうど良い丈のワンピース ちょうど良い距離感の友達 ちょうど良い気温の晴れた日 ちょうど良い量の赤ワイン ちょうど良い音量の音楽 ちょうど良い赤みのリップ ちょうど良い距離の散歩道 わたしにとっての豊かさと最適は、あなたとは違うかも 箱を開けた瞬間に幸せが滲み出る宅急便の荷物 優しいイラストを見た時にゆるむ心 バイブレーションが心地よいライブ 極寒の日に寒い寒いと肩寄せながら歩く道 ここは

あたたかいものを詰めこんで

空気がひんやりとして 枯れ葉の絨毯が町中にも広がりはじめると 人々が肩や首をすくめながら 歩く姿が増えてくると こっくりした味のものを食べたくなってくると ああ 冬が近づいてきたんだなと思う 日が暮れ始めると家に帰りたくなり マフラーや帽子や手袋で体を包みこんだり 温かい湯船にじっくりと浸かりたくなり 身の回りの冬支度を開始する 冬は寒くて暗いからこそ 人々は暖かさと明るさを求めるのだろう 町はイルミネーションが灯り 日頃はアンバランスなくらい派手な色彩を放って