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価格の心理学 市場経済の理解を深める本

Leigh Caldwell著 武田玲子訳 日本実業出版社 17.5.2020 読了

製品の価格設定について消費者の心理の動きを読み解く。

比較対象や競合との間合いや差別化の方法を、
架空の新ビジネス「チョコレートポット」を例に実業家との対話形式で解説。

商品に対する顧客の価値は主観的であり、状況によって変化する。
その価値(顧客が支払う金額)を引き上げるには、高価格の比較対象と並べれば良い。
顧客がイメージする自社商品の比較対象を把握するには、
自社商品が提供する価値を分析すれば良い。

最大利潤を探求し購入客を増やすには、様々な価格帯の商品を作り、
高額予算の顧客の支払い金額を増やさねばならない。

その仕組みを価格区別という。

富裕層に抵抗無く高額商品を購入してもらうには、
あえて低価格商品の魅力を下げるケースもある。

いったん価格を決めると、値上げは簡単ではない。
販売促進のための期間限定価格であれば、元の水準に戻せる。
本格的な値上げには、新たな商品バリエーションの導入やサイズ変更が必要。

アンカリング:「第一印象」の効果を利用した価格戦略。
具体的な金額に関係無く、最初に見た基準価格が指標になる。
安すぎると不安になり、高額なものは特別な時に楽しむようになる。
→最初に高い価格を見せれば、相手の商品に対する想定価値は高くなる。
→→低価格の商品を見るとその商品を購入する確率が上がる。

マーケティングでの競争戦略
競合商品よりやや上質で高価格、またはやや低価格への2種類へ絞り込むのが理想的。
市場を独占する生産規模や資金、ブランド力がなければ、
付加価値をつけたマージンの大きい商品の方が利益につながる。

価格水準のおとり戦略
顧客は商品の価値を必ずしも正しく評価できるわけではない。
2種類しか選択肢が無ければ極端な選択になるが、
3種類あると本質的な価値に関係なく中間の選択肢に強く惹きつけられる。
「おとり商品」が購入客プロセスにあるほうが、
消費者は無意識に主要商品の魅力を強く感じる。

通常、主力商品に比べて多くの価値がやや下回るものを第2の商品として投入する。
そうすれば顧客は競合相手の商品に目を向けなくなる。
価格のおとりでは、第3の選択肢として既存の価格を大幅に上回るプレミアム商品を加える。
追加サービスやハイグレードな特性など超高品質であれば良い。

パッケージ販売
競合商品との差別化の手段になる。顧客は割安に商品を購入できるが、
商品の費用を把握しにくくなるので顧客が感じる価値をコントロールしやすくなる。

なぜ無料サービスが効果的なのか?
送料など追加のアイテムを無料で提供する、それらを含めて基本価格にしてしまえば、消費者の判断する機会が減るので購入に繋がりやすい。
無料サービスを提供すれば顧客が購入を急ぐのは、
何かを無料で入手するチャンスを逃したくないと思うから。
無料商品と有料商品のパッケージ販売などは、有料商品のPRになる。

価格とは単なる原価に利益を上乗せするものではない、という意味がわかった。
単純に価格を下げても競合との値下げ合戦が続くだけで、
顧客も特段それを期待しているわけではない。
顧客は適性価格を支払いたいと思っているので、自社商品の価値を分析、理解し、
おとり商品やパッケージ販売など販売環境ごと見つめ直すのが効果的。

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