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「谷川岳山開き」と「谷川岳の日」

暖かくなり、採れたてお野菜のお裾分けを頂くことが増えてきてとっても有難い今日この頃。
新玉ねぎ、ニラ、ネギ、さやえんどう、サニーレタス、かぶ…などなど、小柳家の食卓は頂き物によって支えられています笑。感謝。

さーて、梅雨にも入り、いよいよ私が1番好きな季節が近づいてきました!

夏です。

夏と言ったら、山ですよね!
(ここは群馬です。海とは言わせないよ)

山と言ったら谷川岳!
(強制)

そう、今年も谷川岳山開きがやってきまーす!!! (無理矢理)

山開きはシーズンの初めに、正式に登山を認める日であり、シーズン中の登山の安全を祈願する神事が古くから行われている日でもあります。

今でこそ都心からもアクセスが良く、標高が2000mないものの、急峻な景色や高山植物を楽しめる山として谷川岳は多くの登山者に人気の山となりました。
しかし、昔は世俗の人々(一般人)が足を踏み入れられない神聖な場所とされており、登るのを許されていたのは山伏(やまぶし)と呼ばれる修験者(しゅげんじゃ)など、山を宗教的な修行の場とする一部の人達だけでした。

霊場とされた谷川岳   photo by Masashi Abe

室町時代からは、修験者の案内付きで民間の信者達もルートや期間を制限した上で登ることが許されるようになり、その期間のスタートが山開きの起源になったのでした。

身分に関係なく、自分の好きな時期に好きなコースの山歩きを楽しめる今の時代に生まれてよかったなぁ。
でも山や自然を敬う気持ちは忘れずにいたいものですね!


谷川岳で第一回目の山開きが行われたのは、1938年7月1日のこと。
この日の参加者は山岳会長、村長、営林署長、駅長、新聞記者を合わせてわずか32人でした。

1949年に谷川岳一帯が「上信越高原国立公園」に指定されたことを契機に、山開きは毎年7月の第一日曜と決められました。
1951年の山開きには2000人の登山者という開山以来の賑わいとなり、翌年は3000人、その次の年は5000人、1955年にはなんと7000人(!)と年々登山者が増加していきました。

このような状況を鑑み、当時の国鉄は1956年の山開きから、深夜に上野駅を出発し、土合駅に早朝3時すぎに到着する臨時列車の運行をスタートさせました。

1962年頃の登山者が溢れる土合駅上り線ホーム 谷川岳山岳資料館資料より

ちなみにこの臨時列車は一度無くなりましたが、2011年から復活しており、今年も運行が決定しています。
鉄道ファンの方からも根強い人気があり、今年も切符があっという間に完売してしまったそうです。恐るべし、山開き号。

さて、ということで今年は7月の第一日曜である7月2日が山開きとなります。
なのですが、実は7月2日は「谷川岳の日」でもあるのです…。

「谷川岳の日ってなんだ?」

谷川岳の日は、みなかみ町のシンボルである谷川岳を県内外にPRする為、2011年に認定された記念日です。
2011年は清水トンネルが貫通し、上越線が全線開通した1931年から80周年の年。
観光客の減少が課題となるみなかみ町で、観光客を呼び込むために様々なアイデアやイベントが検討されている中、出てきたのが「谷川岳の日」の制定でした。
「谷川岳の日」が7月2日になったのは、近代登山として記録に残っている谷川岳の初登頂・初縦走が1920年7月2日だったことに由来します。(今から100年以上前ですね!)
記録には「1920年7月1日、日本山岳会の藤島敏男・森喬の2名が、土樽の案内人・剣持政吉を伴い、かつて土樽から入山。仙ノ倉山に至り、三ノ沢に下降。翌日の7月2日に矢場尾根から茂倉岳・谷川岳に至り、天神峠から谷川温泉に下った」と残されています。

こんなルートだったのかな。日が暮れかけた中、最後の保戸野沢は駆け下ったようです。ハードだ…。(ルートは一部想像です)

さて、そんな谷川岳の日であり谷川岳の山開きでもある、今年の7月2日には様々なイベントが開催されます!

イベントが目白押し!

神事など、山開きは本来登山に関わる行事であることはもちろんなのですが、登山者以外の方も楽しめるのが谷川岳の山開き。
土合駅での土合朝市やアルプホルン演奏、景品がもらえるクイズビンゴなど山登りをしない方でも1日中楽しめます。
手前味噌ですが、谷川岳インフォメーションセンターは山開き号到着に合わせて、早朝3:00~16:00までオープンします。(スタッフはお祭り気分で寝ずに乗り切ります)

センターの前で安全祈願祭が行われるのですが、夜明けで白んでいく空のもと行われる神事は幻想的で見応えがありますよ。

山開きって山好きが行くんでしょ…?
山の格好してないと浮いちゃうんじゃない?
というあなた。そんなことありませんよ~。
全くアウェイ感は無いので、山好きの方もそうでない方も、お友達やご家族とご一緒に、もちろんおひとり様でもお待ちしております!

1年に1回、この日だけの谷川岳をぜひ感じに来てくださいね。

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◎文:ななえ(谷川岳インフォメーションセンター職員)

出典・参考:「魔岳秘帖」岸 虎夫
      「「谷川岳の日」制定と2011年」八木原圀明
      「山と渓谷 2021年6月号」
       谷川岳インフォメーションセンター展示パネル


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