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コーヒーと水の関係性について

(いきなり番外編で失礼します。こちらはミナカミハートライターズの執筆記事ではないのですが、面白興味深い検証をやってみたので、よかったら最後までお読みいただけると幸いです)

 毎朝コーヒーを飲む。なんの気なしに自宅の水道水をポットに汲んで、コンロで沸かす。決まった量のコーヒー豆を、決まった粗さで挽いて、決まった湯温で、決まった湯量と抽出時間でいれるルーティン。自宅でじっくりいれるコーヒーはとてもおいしく、それはもう至福の時間。
自らのハンドドリップの腕がいいから、コーヒーがおいしいのだとしばらく思い込んでいたのだけど、図らずも知ってしまった。そのおいしさの理由は「水」にあったことを。

ある日、みなかみ町内は三峰山の麓の湧水を持ち帰って、その水でコーヒーをいれてみた。

あれ、いつもと違う。いつもよりも、おいしい。

水によってコーヒーの味が変わる説。


「みなかみユネスコエコパーク」の価値と魅力を町民の視点で切り取って綴る『ミナカミハートライターズ』。その初っ端から番外編企画として「水」によってコーヒーの何がどれくらい変わるのか検証してみようと考えた。

毎朝のルーティンがもっと豊かになればいいなあと思い。

水質の異なる水5種を用意

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写真手前(右側)より

①みなかみ町三峰湧水【ph9.1|硬度16mg/L】
②みなかみ町谷川地区の水道水【ph7.4|硬度32mg/L】
③みなかみ町藤原地区の水道水【ph7.2|硬度14mg/L】
④県内都市部の水道水【ph7前後|硬度不明(軟水)】
⑤市販のミネラルウォーター(南○ルプスの○然水)【ph約7|硬度約30mg】

※各公表値

同じ豆を同じドリップ方法で同じ人がいれる

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ハンドドリップの際、道具や豆の挽き方はもちろん、粉の量、注ぐお湯の量と温度、抽出時間・注ぎ方など細部を少し変えるだけで味がガラリと変わるのはコーヒーの不思議。ドリップ方法は十人十色なので誰々のいれるコーヒーはおいしい...という言わば思い込みは正しい(正確には好みに合う)と言える。

今回はコーヒーと水の関係性を検証する企画として、水以外の条件は全て同じとし、水の違いをダイレクトにわかるようにした。


この企画に協力してくれたのは、みなかみ町谷川地区にて谷川岳マナイタグラを眼前に望む自家焙煎所。

Tanigawa Coffee Roastery(谷川珈琲)さん

検証用の豆は「ケニア (中煎)」を選定。フルーティーな風味とやわらかな酸味が特徴。自家焙煎による香り高いシングルオリジン。

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まずは、水だけを飲み比べてみる

(近所で選りすぐり?の自称利き水師5名+こども2名)

①みなかみ町三峰湧水 →まろやか。バランスよし

②みなかみ町谷川地区の水道水 →ややかため。口あたりのインパクトあり

③みなかみ町藤原地区の水道水 →とてもやわらかい。こどもの評価が高い

④県内都市部の水道水 →雑味あり。カルキ臭が気になる

⑤市販のミネラルウォーター →癖なし。ふつーにおいしいやつ

飲む順番によって口あたりの印象がかなり変わることがわかった。例えば、日頃飲み慣れた谷川地区の水道水でも、藤原の水道水を口にした後に口に含むととても硬く感じる。

そして、コーヒーをいれてもらう

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絵になる所作で次々とスペシャリティコーヒーをサーバーへ落としていく。

温かい方がおいしい…とならないように、それらを少し冷ましてから飲み比べるとする。

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近所で選りすぐり?の自称利きコーヒー師5名による試飲。

第一印象は


ぜんぶ、おいしいね。笑


…………。おいしい豆で焙煎士がいれてくれたのだから、考えてみればおいしいのは当たり前であり、検証方法をミスったと後悔の念が少しよぎる。汗

それでも、せっかくの機会だからと、特筆できそうな感想を絞り出してよと自称利きコーヒー師たちを煽る。

①みなかみ町三峰湧水 →味も口あたりもとてもまろやか。酸味と苦味のバランスよし

②みなかみ町谷川地区の水道水 →味が強め。苦味が強調される

③みなかみ町藤原地区の水道水 →味が強め。酸味が強調される

④県内都市部の水道水 →雑味あり。他に比べると後味がザツい(新語誕生?)

⑤市販のミネラルウォーター →まあ、ふつーにおいしいやつ


味に関しては嗜好による部分が多いため、甲乙をつけることはなかなか難しいが、④県内都市部の水道水については、後味に雑味を感じる(おそらく塩素の仕業...比較するとわかる)ため選外。

⑤市販のミネラルウォーターは、これだけで飲めばとてもおいしい。が、みなかみの水①②③と比べると、苦味やコク・酸味いずれも薄く、インパクトが弱く感じる。①②③の方がコーヒー本来の味が際立つ印象。

ここで、みなかみの水質について調べたことを記しておきたい。

みなかみ町の水道水は、5~10年ほど前に谷川連峰・三国連峰・武尊山に降り積もった雪や雨が地層に浸透し磨かれた湧水が主な水源となっている。

水の硬度は平均よりも低め(やわらかめ)で、場所によっては超がつくほどの軟水。国内の水道水平均が49mg/Lのところ、武尊山水系の藤原地区の水道水は【14mg/L】と非常にやわらかい。谷川岳水系の谷川地区の水道水が【32mg/L】と町内ではやや高めであるが、国内平均に比較すると圧倒的に低い。みなかみ町の水道水は押し並べて【軟水】であるといえる。塩素も少なめのよう。

《硬度0~60mg/L未満=軟水の特徴》軟水は素材の味を引き出しやすく、煮物などの日本料理に適している。 特にお米は水分を吸収しやすいので、軟水で炊くとふっくらつややかに炊き上がる。また、コーヒーや紅茶等の本来の味や香りを引き出しやすいのも軟水の特徴。

一方で、

《硬度120~180mg/L未満=硬水の特徴》硬水はミネラルを豊富に含んでいるので、重たい口あたりが特徴でなかには苦く感じるものもある。硬水でコーヒーや紅茶をいれると本来の味よりも個性が出やすく渋みがマイルドになる傾向がある。

といわれている。

また、みなかみ町の水道水はphやや高めの弱アルカリ性だ。

《アルカリ性(ph7以上)》人間のph値が7.4前後といわれており、これを超えると体内への浸透性が高く水分を吸収しやすくなる。アルカリ性分はモノを柔らかくする作用もあるのでお茶やコーヒー、お出汁をとる料理に向いている。
《酸性(ph7未満)》殺菌作用が強いため手洗いや食器洗いに向いている。


今回の検証用に準備したみなかみ町三峰山の麓の湧水は【ph9.1mg/L】と、驚異的なph値を叩き出している。天然のアルカリイオン水で、それだけ効率的に体内へ吸収されやすい。お味噌汁などにするとお出汁がよくとれることとれること。

これらを踏まえると【軟水で弱アルカリ性】であるみなかみ町の水道水はコーヒーや炊飯に適しているといえる。飲み比べした際に、コーヒー本来の味が強いと感じたのは、論理的にも正しかったといえる。

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【結果】みなかみ町の水道水は、軟水によって口あたりをまろやかにし、天然のアルカリ成分でコーヒー本来の味を引き出す。また、水系による硬度のバリエーションを楽しむこともできる。


わがまちの水道水はすごいじゃないか!

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愉しく興味深いこの検証が、宴もたけなわに差し掛かかったころ、ゲスト(自称利きコーヒー師のひとり)が持参したスイーツが出される。

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みなかみ産りんごのアップルパイ(左)&みなかみ産シャインマスカットのショートケーキ(右)

みなかみ町の果物は、浸透率の高い良質な水で育っているためか、瑞々しく甘くおいしい。故に、コーヒーにベストマッチ。


【結論】みなかみ町の水はおいしい。だから、スイーツもおいしい。笑


利根川のはじめの一滴を育むみなかみの大自然。水がおいしいとそれだけで暮らしが豊かに感じる。水がおいしいと毎朝のコーヒータイムも、毎晩の夕食も至高の幸せとなる。たかが水、されど水。水の価値は計り知れない。今度は利き水コーヒーならぬ、利き水ごはんをやってみようかなと思う。

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写真はみなかみ町谷川地区を流れる谷川源流の様子。奥には谷川岳南面マナイタグラが顔を覗かせる。

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◎Special thanks:Tanigawa Coffee Roastery

 コーヒー豆のお買い求めは

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 にて

◎文・写真:Kengo Shibusawa(GENRYU

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