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伊之助の扱いひどくない?

2020/05/05の虚行通信です。鬼滅の刃見終わりました。

・前置き

以前noteにも書きましたが、アニマックスで一挙放送をしていた鬼滅の刃を見ました。

本当は物語の細かい考察とかを書こうかなと思ったんですが、あれだけ大ヒットしてる作品なので解説するのもだるいなあ…
という気になったのでなんとなくのフワフワした感想を書くことにしました。

ちなみに六話くらいまで見た時点での感想を書いたものもあるのでこちらも時間があればぜひ読んでみてください。


・炭治郎無双

まず鬼滅の刃と私が今まで読んできた少年漫画との違いの話をしたいと思います。

私が好きなガッシュやケンイチ、BLEACHなどは(まあそんなBLEACHは好きじゃないけど)主人公が自分じゃどうしようもないような壁にぶつかって、それを越えるために努力して強くなる。みたいな王道のパターンがあったんです。

ですが、鬼滅の刃はそれがほとんどありません。
修行のシーンもあるんですが、大抵は誰かに道を指し示して貰ってやっている。という感じです。
そして修行を頑張ると強くなって、敵をバッサバッサと倒せるようになります。

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https://kimetsu.com/anime/risshihen/ より引用。
彼が主人公の炭治郎くんです。寝る時はピアス外そうね。

ものすごく強い敵にであって力の差を目の当たりにする。みたいな事が無いのでどうも炭治郎がずっと調子に乗ってる気がしてなりません。

ちょっと強い四天王的な存在と相対した時も苦戦を強いられるものの謎の回想シーンが入って覚醒し、めっちゃ強い技で敵を追い詰めてました。

この覚醒シーンの描写も雑で、序盤の段階で覚醒のキーとなった呼吸法の伏線を貼っておけばスムーズに見れたものを、

このタイミングになって急に回想を挟んでなんの脈絡も無く新技を使うので、ストーリーの構成が下手と言わざるを得ません。

さらに初対面の相手の心にズンズン侵入して人の心境をゴリゴリ変えていきます。

毎回毎回名言(?)みたいなやつを口からまるで息を吐くかのように宣い、事情も知らない鬼や人間に勝手に共感し、共感された側も心を動かされる…みたいなくだりがどうも耐えられません。

企業家の学生くらいの熱量で自分の考え方を無理矢理に押し付けてきます。


特に鬼に感情移入するシーンなんか最早恐怖を覚えるレベルです。

特に序盤の入隊試験の手鬼とのバトルシーン。

手鬼は、炭治郎の兄弟子とも言える方々を大量に殺戮し力を増していた、言わば序盤のボス的扱いの鬼です。

炭治郎もその事を理解しており、手鬼と対峙するシーンでは、先ほどまで鬼を殺したこともなかった炭売りの少年とは思えない程の剣幕で攻撃に掛かります。

沢山の人を殺しているだけあり手強い手鬼に、全力で立ち向かう主人公炭治郎。

ここのバトルシーンは非常にカッコよく、素直に感動出来ました。

そして手鬼が倒されたのち、手鬼の過去を描くエピソードが示されます。

ざっくり説明すると、手鬼も鬼になる前は悪い人じゃなかったけど、鬼になったら変わってしまった。というまあ鬼側にも被害者と呼べる人もいるんだよ〜という描写です。

そしてその回想シーンの中で、手鬼はそのシンボルとも言える「手」に関するトラウマ(?)の様なものがあり「誰かに手を握って欲しかった」という描写がなされます。

問題はこの後です。

この映像の後、炭治郎は手鬼の手を握り涙を流します。

は!???????????????????????

炭治郎はこの回想シーン見てないよね!?
じゃあどこに感情移入して涙を流す要素があったの!?
しかも兄弟子を散々殺した憎むべき相手でさっきまで死力を尽くして戦ってたのになんで急にそんな優しい感じの顔できるの!?

情緒不安定なの!?????????????????

とまあ炭治郎の行動に不満が溢れかえります。

しかもこのエピソードは、保護者の皆さん初め読者の方々から絶賛されているらしく「炭治郎の優しさを象徴している」とまで言われています。

私はこのシーンで描かれているのは「優しさ」ではなく「敵を殺した後急に優しい気持ちになって感情移入する、恐ろしく切り替えの早い狂人」的なモノだと思うのですが皆さんはどう思いますか?


あとずっと気になってたのが必殺技についてです。炭治郎は「水の呼吸」っていう水を操る剣技を使うんですけど、君それいつ覚えたの?

好意的に解釈すれば師匠の鱗滝さんの水と一体になれ!とか基礎体力を向上させよ!みたいなトレーニングの中で自然に会得していたと捉えるのが良いのでしょうが、

だとしたら「修行のおかげで技が出せるようになった!」みたいな描写があってくれないと困ります。

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https://kimetsu.com/anime/risshihen/ より引用。
師匠の鱗滝さん。声が渋いぜかっけえぜ。

鬼殺隊に入るための最終試験で突然水の呼吸を使い始めたので頭が混乱しました。

でも我妻くんは師匠に「雷の呼吸は六つあるけどお前は一つ目しか使えないな、」みたいな事を言われてたみたいなんで恐らく技を実際に使う練習をしていたという事だと思うんですよね。

そこらへんは師匠の色って事でいいのでしょうか?

こういう細かいところの説明不足も目につき「あまり細かい設定を考えていなかったんだなあ」と素直に思えてしまいます。

さらに炭治郎は周りに優しく振る舞うわけでもなくただデリカシーの無い考えの浅い人という感じで、全く好感が持てません。

後半のエピソードで出てきた感情が無く、コイントスで全てを決めていると思われていた女の子(実際には感情はあったのだが、説明がめんどいので割愛)とのシーンで、

何も分かってない完全な部外者の炭治郎がなんとなくの思い付きで適当に他人の核とも言える部分をグイグイ変えていくのははっきり言って吐き気がしました。

「ああ、コイツなんも考えてないんだな」と思いました。

例えその事実に気づいたとしても、そちらにはそちらの事情があるでしょうし、そもそも彼女は柱直属の弟子で、上司がそれを見逃しているんだからそっとしておくのが普通だと思います。

空気を読まないかつ空気を読まなくても周りがそれに感化されてるから良しとなっている空気感が無理です。

なんにせよ挫折0男炭治郎くんは私には共感しがたいし、好きにもなれそうに無いので別のキャラに焦点を当ててみましょう。


・展開が早すぎてついていけない

ずっ〜と思ってたんですけど、展開早く無いですか?
炭治郎が鬼殺隊に入るまではいいとして、その後の鼓鬼との戦いでほぼ初登場と言っても良いはずの我妻くんと伊之助の扱いめっちゃ雑じゃない?

我妻くんは普段は臆病だけど気を失うと覚醒する?二重人格の片方が起きる?よくわかんないけどとにかく強くなるみたいな感じのキャラです。

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https://kimetsu.com/anime/risshihen/ より引用
我妻くん。下の名前最初聞き取れなかったので名字で覚えてしまった。

ただその設定や強くなる条件等があんまり分かってない状況なのに、初登場から二回目の戦いとなる蜘蛛退治篇でいきなり過去編を挟んで強化版の技を入手します。

個人的にはもう少しシンプルな技で戦ってる描写が欲しかったです。正直その技がどんなものなのかすらあんまり私は分かってないのに突然その分かってない技の強化版を出されても頭が?でいっぱいになります。

伊之助に至っては見せ場がほぼないまま挫折してしまいます。
初登場の鼓鬼との戦いでは戦闘スタイルはほとんど分からず、さらに禰豆子(炭治郎の妹、訳あって鬼になってしまった)の入った箱を全力で切ろうとするなどまるで敵のような描かれ方をします。

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https://kimetsu.com/anime/risshihen/ より引用。
伊之助です。ビジュアルは強キャラ感を漂わせているが…?

炭治郎達と全く話が噛み合わず、厄介そうなやつが現れたぞ〜という描写を散々した割には、
道中立ち寄った休憩処みたいなところで人の優しさに触れて野生的な性格が徐々に綻び始めます。(このターンに入るのもそもそも早すぎると私は思う)

初対面で相当傍若無人な態度を取っていたのに次の蜘蛛退治篇に入る頃にはすっかり炭治郎達とも打ち解けて殆ど仲間みたいな状態になりました。

まあここまではいいんです。いつまでも伊之助みたいなキャラが仲間じゃないとめんどくさそうだし、早めに人の心に理解を示してもサクサク進んでていいと思います。
しかしこの後の蜘蛛退治篇でどうしても納得行かない事があります。

伊之助にとってこの蜘蛛退治篇は初バトルを描かれるわけです。どんな技が使えるのか、どんな風に戦うのか、炭治郎を圧倒したそのフィジカルで敵を倒してくれるのではと私は期待を寄せていました。
いざ戦いが始まると彼は他の隊士(この時点で技を使ってたのは炭治郎と我妻くんだけだけど)とは違い「〇〇の型」という表記ではなく「〇〇の牙」と言いながら技を出すことが分かります。

そして最初に使った技がいきなり「七の牙」だったので技も相当あると言うことが分かります。
ここまで私はめちゃめちゃワクワクしてました。伊之助が破茶滅茶な強さを見せつけてくれるのではと思ったからです。

ちなみに何故私がこんなに伊之助に肩入れしているかと言うと、彼は私があんまり好きではない炭治郎と真逆の性格といってもいい熱血漢なので
理詰めっぽい雰囲気が漂う炭治郎のバトルとは対照的に野生の感を生かした豪快なバトルが見れるのでは、と期待していたのです。

しかしそんな期待を他所に伊之助は出てきたデカい蜘蛛鬼に呆気なく敗北、そして柱(BLEACHの隊長みたいな人達)のなんとかさんに助けて貰います。

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https://kimetsu.com/anime/risshihen/ より引用、
柱のなんとかさん。名前覚えられなかったので今覚えます。

そして柱の彼に「お前はもっと鍛錬を詰め。」と言われます。つまり野生の感だけでは越えられない壁にぶち当たったという事ですね…

いや早くない???????????????

正直彼の戦いをほとんど見てないから見せ場ゼロの弱い人になっちゃったよ!?????????
我妻くんは前回の鼓鬼篇で見せ場あったからまだいいけど伊之助は正直ほぼ敵みたいな扱いだったから仲間になって初のバトルなのになんの見せ場も無かったよ?????????
もしかして真の主人公は伊之助なの??????巨大な壁にぶち当たって新しい力を手に入れるの???????

と頭の中が疑問符のパレードを起こしました。
そのくせずっと敵をヒョイヒョイ倒し続けている炭治郎は覚醒して強い技を手に入れてるので腹が立ちますね。なんで初バトルのキャラ(しかも炭治郎と互角でやり合えるかもみたいな描写あったのに)がやられて、
ずっと勝ち続けてる主人公が一番強い奴に遭遇したのにも関わらず首を切るすんでまでいって新しい技が覚醒するの?????(しかも伊之助とは違って挫折無しで次に行こうとしている)

余りにも伊之助が不憫です。
もちろん我妻くんの扱いも雑だと思います。可哀想です。


・主人公絶対主義

この作品は全体的に「主人公絶対主義」が罷り通っています。
偉い人にたてついても怒られないし、才能があるからメキメキ成長して強くなり、周りの人や鬼に情けをかけまくる偽善者ぶりを発揮しても受入れられる。

鬼になってしまった妹を連れているという点に置いても彼女を斬ろうとする人達が悪役とでも言うような描かれ方をします。
鬼を倒すという使命の元に集まっているのだから斬ろうとする方が正しいと私は思うのですが、炭治郎が「俺の妹なんだ!」という謎理論の演説をかますとみんな何故か納得したりそれを援護する偉い人が現れて反発する人達が何も言えなくなったりします。

こういうご都合主義の応酬で出来ている作品なので、人気の裏で面白くないと言う人がいるのも分かります。
私も漫画を買ったり映画を見たりするほどのめり込めません。誰かが「偽善はもう沢山だ!」みたいな事を言ってくれるといいんですがそんな気配もなかったので後半は特に見るのが辛かったです。

やたら「悲しい世界観」とか「ダークファンタジー」とかいう割には、主人公の炭治郎が家族が死んで妹が鬼になった以外の悲しい事に直面してないし、
敵に情けをかけたり無駄に色んなものに噛み付いてぐちゃぐちゃにしたりと、ただのジャンプ主人公といった感じです。

ダークファンタジーを名乗るなら現実の厳しさや、生き延びるために切り捨てなければならないもの、炭治郎の甘っちょろい考え方を根本的に見直さなければならなくなるエピソードが欲しいところです。



本日のまとめ

結論を付けるなら私とは合わなかったというのが妥当かなと思います。
つまらなかったかと聞かれると「面白そうな雰囲気を醸し出しているわりには決定的に面白い瞬間が存在しない」という感じです。

なんか不満ばかりで申し訳ありません。
十九話で炭治郎が覚醒するまではもうちょっと好意的な意見だったんですが、どうしても納得いかなくなってしまいました。

もし二期があるなら見るかも知れませんが、感想は書かないと思います。そんなこんなで本日の虚行通信は終わります。また明日。


オマケ

一応貼っておきます。

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