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愛着障害・愛着の問題を抱えるこどもをどう理解し、どう支援するか?

今回紹介する本は、和歌山大学教育学部教授・米澤好史さんの

「愛着障害・愛着の問題を抱えるこどもをどう理解し、どう支援するか?」です。


2020年1月、非常勤講師として復職した私。

仕事で「愛着障害」という言葉を知り、深く知りたいと思ったので読んでみることにしました。

本の内容について、ポイントをまとめます↓


愛着障害とは

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「愛着障害」とは、主たる養育者との適切な愛着関係が形成できなかったことによる障害の総称として用いられる心理学用語であるりたりこ仕事ナビより引用)。

愛着障害は、行動の特徴が発達障害とよく似ているところがある。

発達障害は先天的な脳機能障害である。

しかし、愛着障害は生まれた後に、後天的にこどもと関わる特定の人との「関係性」の障害である。


愛着障害の3つのタイプ

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愛着障害は3つのタイプに分けられる。

①脱抑制型愛着障害

②抑制型愛着障害

③ASD(自閉症スペクトラム障害)と愛着障害の併存タイプ


①脱抑制愛着障害の特徴

脱抑制愛着障害の特徴は次の通り。

・誰に対しても無警戒

・なれなれしい

・過剰な身体接触

・不適切な行動をした場合、それを叱ると「関わってもらえた」と捉え、不適切行動が増加する。


②抑制型愛着障害の特徴

抑制型愛着障害の特徴は次の通り。

・誰に対しても警戒する

・自ら関わろうとしない

・人が近寄ってくるのを嫌がる(特に正面からの接触を嫌がる)

・不適切な行動をした場合、それを叱ると以後人間関係が数週間、数カ月、数年と長期にわたって一切遮断されることがある。


③ASD(自閉症スペクトラム障害)と愛着障害の併存タイプの特徴

ASD(自閉症スペクトラム障害)と愛着障害の併存タイプの特徴は次の通り。

・室内でフードや帽子、タオル、上着などをかぶったり、不必要なマスクをいつも着用している

・カーテンにくるまったり、ロッカーの中や、机の下に隠れたりする

・自分の行動を制止・注意・叱られたりして感情混乱を起こすと、二つの反応パターンが生じる。

→①「フラッシュバック的攻撃・執拗な攻撃・パニック的行動」パターン

→②「固まる(一時的シャットアウト)」パターン


愛着障害・愛着の問題を抱えるこどもに「してはいけない対応」

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愛着障害・愛着の問題を抱えるこどもに「してはいけない対応」は、次の4通り。

①感情に期待した対応

②叱る対応・追い詰める対応

③腫れ物に触る対応、無視する対応、取り上げない行動

④要求に応えるだけの行動、主導権を握られた対応、受容、傾聴


愛着障害・愛着の問題を抱えるこどもに対する支援のポイント

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行動問題への支援には、行動の意味・原因分析が必要だ。

その行動の理由・背景を正しく理解せずに、目の前で起こっている行動の問題を無くそう・減らそうとしても失敗する。

「安全・安心・探索の基地欠如感への支援」こそが、目の前で起こっている行動の問題を解消できる方法である。


この本の要点①「愛着障害・愛着の問題を抱えるこどもアセスメントシート」が掲載されている

このチェックシートが役に立った。

子どもの様子を見取る時に、どんな視点で見るのかがわからない。

このチェックシートを見てから子どもを見ると見えてくるものがあった。

引き継ぎのときなど客観的なデータを示すときにも良い。


この本の要点②『不適切行動を「取り上げない」「無視する対応」への反応』がためになる

禁止するとますます不適切行動をする子どもに対して「逸らし支援」が有効という考え方を知った。

逸らし支援のバリエーション(学習活動、言葉かけ)をたくさん持ちたい。


この本の要点③『具体的な行動へのアセスメント(客観的な評価)と具体的支援のポイント』がわかりやすい

最後にいろんな例が出てくる。

目の前の子どもに一致する事例があるから参考になる。

こういう分析ができる教師になりたい。


愛着障害に限らず、子どもとの見方・関わり方が学べる本だった

「愛着障害・愛着の問題を抱えるこどもをどう理解し、どう支援するか?」、愛着障害の子どもに限らない話もあり、勉強になりました。


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