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詩「うきわの話」

世界の悲しみの総量と
次の日の総雨量は等価だ
なぜ六月に泣く人が多いのか
神様もわからず五月に泣いている

オレンジ色の曇天の日
ばあちゃんの声が降ってくる
通りかかった隣町で
じいちゃんが痴話喧嘩をしている

かなかなかなかな
悲しみは
しみしみしましま
下世話なはなし

セミが出てきた七日間
僕が生きてきた倦怠感
玄関先に這い寄る影に
灰 夜 灰 夜 死体と過ごす

盆過ぎも
冬の始まりも
想像するぞっとするから
だから盛夏は汗滴らす

ぼくときみとの交流を
花に例えてしらけて眠り
あしたは朝日を縞模様にして
水気の世界を浮いてやり過ごす

そして
そして
ぼくはたずねる
ばあちゃんはどこ?

そして
そして
ばあちゃんは
いない(そこ)



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