2009年 卒業論文広がる“乙女ゲーム”―乙女ゲームが女性にもたらしたもの―

2009年 卒業論文

広がる“乙女ゲーム”―乙女ゲームが女性にもたらしたもの―

奈良女子大学   高杉美菜

目次


広がる“乙女ゲーム”―乙女ゲームが女性にもたらしたもの―

 

はじめに
乙女ゲームをプレイしてみた/ジャンル「乙女ゲーム」

第1章 乙女ゲームの定義
乙女ゲームはコレだ!!/乙女ゲームではないもの/乙女ゲームとゲームジャンル/女性向けゲームの広がり

第2章 乙女ゲームの歴史
乙女ゲームの始まり(1994年~1999年)/コーエーから始まった新たな試み(2000年~2002年)/女性向の「ときメモ」の登場(2002年)/18禁 乙女ゲームの登場(2003年)/新ブランド、新規企業の参加(2004年~2005年)/乙女ゲームの新展開(2004年)/乙女ゲーム大ブーム(2006年~2007年)/二次元から三次元へ(2008年)

第3章 乙女ゲームに携わる人々
乙女ゲームのユーザーと主人公の関係/声優の活躍とその理由

第4章 現実の恋愛と乙女ゲーム
第1節 現代の恋愛の特徴と乙女ゲーム
現代の恋愛の特徴とは/現代の恋愛の特徴と乙女ゲームの比較/乙女ゲームのゲーム展開と二人自閉/感覚の類似をゲームの中に見る/「揺れる」ことの出来るロマンティック・ラブ/

第2節 恋愛対象の魅力
現代の恋愛における魅力的な男性/乙女ゲームに描かれる恋愛の対象の魅力/現実とゲームの女性の魅力とは/女ウケする主人公

おわりに
女性とゲーム/乙女ゲームと現実社会の関係性/乙女ゲームが出来上がってくる意味/「おわりに」の最後に

 

 

 

 

はじめに

乙女ゲームをプレイしてみた

 起動させる。発売を待ち焦がれていた乙女ゲーム「遙かなる時空の中で4[1]」。

「はじめから」を選び、プレイ開始。最初は主人公の名前と誕生日の設定だ。私は基本的に公式で設定された名前でプレイするので、今回もデフォルトネーム[2]の「葦原千尋」にする。誕生日は公式の設定がないので、自分の誕生日「11月30日」を入力した。

そして物語が始まった。主人公の千尋ちゃんは、もともと異世界のお姫様だったが、当時の記憶をなくし現代の日本で女子高生をしているという設定だ。最初に登場したキャラクターは、主人公の幼馴染でもある那岐。美麗なスチル[3]に目を奪われる。そして続けて彼らの保護者である風早が登場。早く帰るように二人に促す。ゲーム画面は、3Dポリゴンで描かれたキャラクターを操作する画面へと移る。十字キーでキャラクターを動かし、帰宅へ。その後、柊と名乗る怪しげな男が登場し、主人公は異世界へと時空を超えていくことになる。そして、異世界へと飛ばされた主人公は自分が中つ国の姫であったことを思い出し、中つ国が常世の国に侵略されている事を知り常世と戦う決意をする。自分の軍を率い、味方を増やしながら、中つ国があった場所を目指し旅することになる。

基本的な画面は、マップ画面・フィールド画面・戦闘画面・イベント画面がある。マップ画面で主人公の場所を移動し、マップ上の特定の地点(村や砦など)では中に入る事ができる。中に入るとフィールド画面になり、3Dの主人公を自由に操作する事ができる。このフィールド画面などでイベントが起こるとイベント画面になり、会話テキストと主人公達の立ち絵[4]が表示される。イベントの途中には選択肢が用意されている事もあり、選択の結果によって物語が変化したり、キャラクターの好感度が変化したりする。またマップを歩いていると敵と遭遇する事もある。戦闘画面では、主人公と他3人まで戦闘に参加する事ができ、味方は背中合わせになってそれぞれが自分の目の前にいる敵と戦闘し、敵の気力を0にすると他のメンバーに合流できるというシステムだ。女性向ということもあって、最初の戦闘はチュートリアル付きで操作に慣れる事ができるようになっている。更に、敵の強さもさほど強くなく進めやすい。主人公は自分の武器である弓矢で攻撃をする他、仲間と協力して術を使う事もできる。また、戦闘時主人公以外のキャラクターは操作する必要なく、コンピュータで勝手に動いてくれる。

主人公の仲間となるメインの攻略キャラクターは8人。最初に登場した那岐や風早の他に、敵国の皇子アシュヴィン・軍師の柊や異民族のサザキ・遠夜、自国の将軍葛城忍人や武官布都彦などそれぞれにドラマティックで切なくなるような恋愛イベントが用意されているのだ。序章からずっと共通ルートで進み、6章以降順次個別ルートに入って行く。私が最初にクリアした葛城忍人だった。彼の話は「色んな意味で反則」といった感じで、彼の事を考えると落ち着かなくなってしまい、挙句の果てに二次創作[5]をして心を落ち着けるという事に至った。

ジャンル「乙女ゲーム」

ゲームユーザーというのは男性中心というイメージがあるが、近年女性のユーザーが注目を集めている。男性と同じ様に、一般的なロールプレイングゲーム[6]やアクションゲーム[7]を楽しむ女性もいる。また、ニンテンドーDS[8]の普及により、脳トレやレシピ集などの非ゲームのゲームソフトも女性からの人気を集めている。この論文では女性をユーザーとして想定された「女性向けゲーム」とりわけ「乙女ゲーム」と呼ばれるゲームジャンルに着目したいと考える。乙女ゲームはここ数年で発売タイトル数が増えており、市場規模も大きくなっている。2008年には30本のゲームタイトルが発売された。さらに、ノベライズ・コミカライズ、アニメ、ドラマCD、キャラクターソング、イベントなどメディアミックスも盛んに行われている。

社会学者であり、女性学についても詳しい井上輝子氏によると、「メディアは、「あるべき」女性像を描き、それは現実の女性像となる。一方、メディアが売れる(人々に受け入れられる)ためには、現実の女性像を取り入れたものでなければならない。」[9]らしい。それならば、ゲームというメディアの中に描かれる女性というのも、「あるべき」女性像であると同時に現実の女性像を反映しているのだと考える。

この論文では、第1章で乙女ゲームについて他のゲームと比較しながら定義をしていき、乙女ゲームの遊び方を紹介する。続いて第2章では、これまでに発売された乙女ゲームのリストを作成し、乙女ゲームがどのように展開されていたのか、また乙女ゲームのメディアミックスをについて考える。第3章で、乙女ゲームに関わる人として、ユーザーとキャラクターに声を吹き込む声優について詳しく見ていきたい。そして第4章で乙女ゲーム内の恋愛と現代の恋愛との関わりについて考察を加え、最後に更に考察とまとめをしていく。

乙女ゲームが人々に受け入れられるのは、どんな社会であり、また乙女ゲームがどのような魅力でもって社会に受け入れられているのかを考えてみたい。また、あまり意識されることのなかった「乙女ゲーム」というジャンルの理解にも役立てばいいと思っている。

 

第1章 乙女ゲームとは

第1節 乙女ゲームの定義

乙女ゲームはコレだ!!

最初に本論でとりあげる「乙女ゲーム」というものを定義していきたいと思う。

端的に定義をするならば、「女性を主なユーザーと想定して作られた、女性キャラクターが主人公で、男性キャラクターと恋愛の出来るゲーム」と定義できるだろう。ではこの定義について、もう少し細かく見ていこう。

まず、女性向けゲームの前提となっている「女性ユーザーを想定して作られた」という部分について補足していきたいと思う。女性向けゲームと類似するゲームに、対象年齢がもっと幼い、女児向けのアニメやマンガのキャラクターを使用したゲームが存在する。近年では「しゅごキャラ!!」[10]などがそれにあたるだろう。また、メイクを楽しんだり、漫画家気分を味わえたりする女児向けのソフトも開発されている。しかし、女性向けゲームを中心に取り扱っている雑誌には女児向けゲームに関する記事がほとんどない。また乙女ゲームユーザーのブログやサイトを見てみても、そのようなゲームをプレイしたと書いている人は少ない。女児向けと女性向けの明確な線引きはないものの、乙女ゲームユーザーが何らかの基準を用いて区別しているのだろうと考えられる。

また、ユーザーの違いという視点で見ると、男性向の美少女ゲーム(ギャルゲー・エロゲー)を思いつく。男性主人公が女性キャラとの恋愛などを繰り広げるゲームで、乙女ゲームとちょうど真逆にあたると考えてもいいだろう。女性向けよりも早くに成立しているこのジャンルは、多くの男性を取り込んで、今では「萌え産業」の一端を担っている。

また主人公の性別が男女どちらであるのかも重要である。というのも、女性向けゲームの中には、男性キャラクターを主人公として男性キャラクターとの恋愛を楽しむ「ボーイズラブゲーム」(以下BLゲーム)もあるからだ。近年「腐女子(ふじょし)」という言葉が、オタク向けのメディアだけでなく、テレビなどでも言われるようになり、ボーイズラブ(以下BL)を好む女性が注目を集めているようだ。しかし、BLが好きな人ばかりではなく、BLゲームユーザーが乙女ゲームユーザーと必ずしも一致しないことから、区別して考えられている。雑誌で、BLと乙女の記事を一目で分かるように分ける事を期待する読者がいる事からもそれは分かる。

恋愛要素があるというのも乙女ゲームにおいては重要だろう。主人公と男性キャラとの恋愛の過程を成功させることを「攻略する」と言う。多くのゲームでは攻略対象[11]と主人公の間で告白が交わされることが目標となり、2人が仲良く一緒に過ごすエンディング(以下、ED)が用意されている。このEDをみる為にプレイヤーはゲームをするのだ。しかも攻略対象が1人ではなく複数いるのも基本である。「カレと彼の間で」シリーズ[12]のように攻略対象が2人のものから、「アンジェリークエトワール」[13]のように19人と多数になるものもある。プレイヤーは多数の攻略キャラクターの中から自分の好きなキャラクターを選んで攻略することができる。

乙女ゲームではないもの

女性にも人気のマンガ・アニメがゲーム化された時には、女性向ゲーム雑誌でそのゲームが紹介されることがある。例えば、「銀魂」[14]や「コードギアス 反逆のルルーシュ」[15]などがそうだ。また、「FINAL FANTASY」シリーズ[16]や「テイルズオブ」シリーズ[17]のようなオーソドックスなRPGや「戦国BASARA」シリーズ[18]などのアクションゲームなども、女性向ゲーム雑誌ではキャラクターに声を当てている声優の紹介付きで記事になっていることが多い。女性ユーザーに限らず幅広くユーザーを取り込んでいけるようなゲームは「一般ゲーム」と呼ばれていて、女性向ゲーム雑誌に紹介されている一般ゲームは女性にも多くプレイされていると考えられる。しかし、女性をメインユーザーと想定されている訳ではないと考えられるので、女性向けゲームと分類されることはまず無い。

乙女ゲームとゲームジャンル

ゲームのジャンルには、そのゲームシステムによってシミュレーションゲーム[19](SLG)・ロールプレイングゲーム(RPG)・アドベンチャー[20](ADV)など様々なジャンルに分けられる。乙女ゲームにおいてはこれらのジャンルが問われることはない。確かに、ストーリーを追いながら楽しめるアドベンチャーゲームが主流ではあるが、「ときめきメモリアルGirl's Side」シリーズ[21]や「アンジェリーク」シリーズ[22]の様なシミュレーションや「遙かなる時空の中で盤上遊戯」[23]のようなテーブルゲームなど様々なシステムのゲームが存在する。パソコンのソフトではタイピングゲームソフトも存在する。

女性向けゲームの広がり

最近ではコンシューマゲームだけに留まらず携帯電話で楽しめる乙女ゲームも増えている。女性向けのゲームやそのアプリケーションを提供している携帯サイトも存在する。情報料を無料にする、音声が出るようにするなど様々な特色を打ち出して展開されているのだ。また、商業目的だけでなく、個人でゲームを作って、ホームページなどで無料公開をしていたり、同人誌即売会などのイベントで安価で販売されていたりすることもある。このような同人ゲームでも乙女ゲームが制作されている。更に、コンシューマゲームに関しても、あるハードで発売されたタイトルを別のハードでも遊べるように移植したり、一度発売したタイトルと同内容の物を安価な廉価版として販売したりことも近年では増えてきているが、乙女ゲームに関しても例外ではない。

この様に展開されている事にはどのような意味があるのだろうか。携帯電話で遊べる乙女ゲームを開発している会社の方に話を伺った時に、「携帯で遊んでいるのは、ゲームが簡単には買えない中学生や高校生など若い世代が中心だ。」と仰っていた。つまり、乙女ゲームが、コンシューマやパソコンのソフト以外にも展開していることによって、ゲームもゲームに触れる機会の少ない女性にも、ハードや価格といった垣根を越えていきやすいようにしているのだろう。

これまで見てきたことから分かるように、乙女ゲームというのは「女性ユーザー」に向けて作られた、「女性主人公」と男性キャラクターとの「恋愛」を楽しむゲームだと言える。しかし、実際に一口で「乙女ゲーム」と言っても、そのゲームシステムは様々である事や、携帯アプリケーション、同人ゲームなど様々に広がっているという事についても言及しておいた。

第2章 乙女ゲームの歴史

 それでは、乙女ゲームはどのようにして展開されてきたのだろうか。それを考える為に女性向けゲーム雑誌3誌と乙女ゲームを紹介するムックを参考にした。

 最初にそれら女性向けゲーム雑誌について紹介しておこう。3誌のうち月刊誌は『B’s LOG』だけで、他の2誌は隔月刊行となっている。どの雑誌にも、女性向ゲームとして乙女ゲームとBLゲームの記事が紹介されている。記事には、発売前のゲームの紹介や、発売されたばかりの新作の攻略情報も載っている。ゲームの紹介では、ゲームのシステムに関する情報もよりも、キャラクターやストーリーの魅力について大きく取り上げられている。更に情報はゲームだけにとどまらない。乙女ゲーム関連のCDやBLのドラマCD、アニメなどの収録レポートや声優イベントなどのレポート、声優へのインタビューといった声優の情報が多い。そこがファミ通(エンターブレイン刊)などの一般ゲーム雑誌とは違う点であろう。その他、ゲーム製作スタッフによる書き下ろしのショートストーリーが掲載されていたり、読者からイラストやおたよりを募集し掲載するコーナーがあったりするのが一般的だ。

 さて、次はこの章を書くにあたって乙女ゲームのリストを作成した際に、どのような基準でリストアップしたのか説明しよう。まず基本にしたのは、『乙女ゲーム胸キュンガイド』の「乙女ゲームカタログ全83本」、『B’s LOG別冊乙女ゲーム白書』『B’s LOG別冊乙女ゲーム白書2007』にある「乙女ゲームCHRONICLE」、『Cool‐B Sweet Princess』付録DVDにある「カタログ&攻略チャート」である。それぞれ、そのムックでは、発売された時までに製作の発表されている乙女ゲームを紹介している。それらのムックに紹介されていない最新作については、先程挙げた女性向けゲーム雑誌3誌を参考に情報を収集しておく。これらの本で「乙女ゲーム」と分類されているもので、ゲームソフトとして形の残る、家庭用ゲーム機やパソコンをハードとするものをリストアップした。つまり、第1章の1節「乙女ゲームの広がり」で述べたような携帯乙女ゲームや同人ソフト、廉価版といったソフトについてはリストから除外されている。

乙女ゲームの始まり(1994年~1999年)

 ユーザーを含む乙女ゲームに携わる人々の認識として、コーエーから1994年に発売されたスーパーファミコン用ソフト「アンジェリーク」を乙女ゲームの始まりと捉えられている。今から15年前に始まった「アンジェリーク」は、コーエーの方の話によると、もともと同社から発売されていた「信長の野望」シリーズ[24]や「三國志」シリーズ[25]といった歴史シミュレーションを女性にも楽しめるような形で作ったのが「アンジェリーク」だったそうだ。女性に受け入れやすいように、シミュレーション部分の成果を「パラメータ」の数字だけを見せるのではなく、かっこいいキャラクターから優しい言葉を掛けられたり、デートに誘われたりといった会話や行動でプレイヤーの努力の成果を実感できるようにしたのが、女性ユーザーを想定した工夫だったようだ。そのため、乙女ゲームとして必要なキャラクターとの恋愛エンディング以外に、宇宙の女王となるエンディング(恋愛エンディングと両立不可)があった。しかし、発売後ユーザーからの反響はメインとなるはずの女王エンディングではなく、恋愛エンディングの方だったようだ。

 そしてその後しばらくは、「アンジェリーク」シリーズが市場を引っ張っていく形となる。それ以外に話題となった乙女ゲームとしては、ゲームに先駆け、マンガや小説、ドラマCD、更には攻略対象となる5人の男の子キャラクターの声優らが「E.M.U.」というユニットを組んでライブを行うなどのメディアミックスで女性ファンを惹きつけていた「卒業M」がある。もともと、男性向の美少女ゲーム「卒業」シリーズの女性向けバージョンのゲームを作るという目的に企画されていた作品だ。結局、「卒業M」は女性向ゲームという市場がまだ小規模だった中で、ゲーム以外のアプローチから、特に「声優」をウリにすることでファンを獲得する事に成功した事例だと考える。

 先程の「卒業M」は男性向美少女ゲームの派生作品であったし、「e'tude prologue~揺れ動く心のかたち~」[26]は主人公の性別を選択でき、美少女ゲームと乙女ゲームの両方の側面を持っていた。つまり、女性向のゲームというのは、それ単体で作られたというよりも、男性向の延長線上で考えられていたのだと思う。

コーエーから始まった新たな試み(2000年~2002年)

 さて、「アンジェリーク」を生み出したコーエーから、新しいシリーズが誕生したのが2000年だ。「遙かなる時空の中で」[27]は、現代の高校生だった主人公が、平安京に似た異世界「京」に召喚され、そこで「龍神の神子」として京に迫る危機から世界を救うという物語だ。その主人公を守る役目を担った8人の男性キャラクターと、恋愛ができるようになっている。それまで「アンジェリーク」シリーズ、「アルバレアの乙女」[28]、「ファンタスティックフォーチュン」[29]と西洋ファンタジーが多かった乙女ゲームの世界に和風ファンタジーという新たな風を吹き込んだのだ。

 また、2000年3月にPS2が発売され、それと同じ年の11月に乙女ゲームでは初となるPS2用ソフト「アンジェリーク トロワ」は発売されている。男性に比べて女性の方が新機種に対応するのが遅いと言われているゲーム業界において、この速さは異例と考えられる。更に、詳しくは後述するが、「アンジェリーク メモワール2000」「ネオロマンス[30]・フェスタ」といったゲームに出演する声優らによるイベントも催されている。「卒業M」でも声優によるライブが行われていた。しかし、ネオロマンスのイベントでは、トークやライブドラマ(複数の声優が台本を手に持ち、その場で演じる朗読劇)、キャラクターソングを歌うライブパートと内容的にも盛りだくさんとなっている。この「声優イベント」は現在では他の乙女ゲームでも頻繁に催されているが、やはりネオロマンスのイベントが先駆けと考えてもいいだろう。

女性向の「ときメモ」の登場(2002年)

 KONAMIから発売されている男性向美少女ゲーム「ときめきメモリアル」シリーズがある。この作品は、高校入学から卒業までの3年間、主人公が自分を磨く(コマンドを実行してパラメータを上げる)事で、魅力的な女の子と親密になることができるゲームである。1994年にPC版で、1995年にPS版が発売され、以降多機種にわたる移植や続編(攻略対象を一新しながら3まで続いた)、また特定のヒロインに特化したソフトなど続々と派生作品が誕生し、男性向美少女ゲームの中でも大ヒットした作品だ。そして、2002年に女性向けゲームとしての「ときめきメモリアル Girl’s Side」(以下、GS)が発売されたのだ。『乙女ゲーム胸キュンガイド』に開発者らのインタビュー記事が掲載されていた。このソフトの開発の経緯について、男性向と思われている「ときめき」シリーズだが「もともと女性ユーザーが多かった」ことを挙げ、「学園ラブコメという世界観は女の子の方が昔から少女マンガなどで慣れ親しんでいる」「主人公が女の子の方が本来の姿なのではないか」と述べている。その狙い通り、「GS」は好評を得て、2006年に続編「ときめきメモリアルGirl's Side 2nd kiss」(以下、GS2)、またニンテンドーDSへの移植作品として2007年に「ときめきメモリアル Girl's Side 1st Love」(以下、DS版GS)、2008年に「ときめきメモリアル Girl's Side 2nd Season」(以下、DS版GS2)が行われている。

 さて、この作品の登場を取り上げたのは、やはりここが乙女ゲーム業界にとってひとつの節目だと考えるからである。『乙女ゲーム胸キュンガイド』によると、このGSが「記録的な大成功を収めた」とある。また「乙女ゲームで、「学園物」が新たなスタンダードの1つになった。」かも書かれている。確かにそれまではファンタジー世界が舞台であったり、現代日本が舞台でもどこか非現実的な要素(主人公が怪盗である等)があったりした。また、「e'tude prologue~揺れ動く心のかたち~」や「FIRST LIVE」[31]は現実的ではあったが、パソコン用のゲームであったため、やはりヒットというには物足りない。少女マンガで定番の学園恋愛モノが乙女ゲームに広く取り入れられるようになったことによって、作品の幅が広がるだけでなく、様々な女性を乙女ゲームに取り込むことができるようになったのではないだろうか。

 実際、女性向ゲーム専用の売り場ガールズフロアを持つメッセサンオー[32]の、ガールズコーナー担当者も「どこで「乙女ゲーはイケる!」って思った?」という問いに対し、「やっぱり「ときメモ ガールズサイド」ですね。」と述べていることからも、このGSが及ぼした影響の大きさを実感できるのではないだろうか。

18禁[33]乙女ゲームの登場(2003年)

 2003年は、乙女ゲーム業界にとって1つの転機となった年だろう。乙女ゲームに初めて18禁と呼ばれる性描写を含んだ作品「星の王女」[34]が発売されたのだ。それまで、女性向けの18禁ゲームといえば、BLゲームだったが、それは女性がいない世界、つまりプレイヤーが自分を投影しなくて済む世界だからこそ女性プレイヤーに受け入れやすかったのだろう。この作品はその後シリーズ化され、「星の王女」とタイトルに含まれる関連ゲームは7タイトル発売されるほどの人気を誇っている。また、このタイトルが発売された当時「女性向ゲームだけを作っているメーカーがほかにない時代」とプロデューサーが言っていた。確かに、それまでのコーエーやKONAMIなど大手のメーカーは多種多様なゲームの1つとして乙女ゲームがあった。

新ブランド、新規企業の参加(2004年~2005年)

 2004年 に発売された乙女ゲームのタイトル数は15本、初めて2桁になった。これはおそらく「GS」のヒットと関係していると考えられる。ゲームの開発には2年ほど掛かるという話を聞いた事があるのだが、それを考えれば丁度時期があう。カプコンやティラミスヴィラ、DAISY CHAINなど新規参入の企業が増えているのも特徴的だろう。

乙女ゲームの新展開(2004年)

 この年、乙女ゲームの中でも随一の人気を誇る「遙かなる時空の中で」がTVアニメになった。それまでOVAなどでアニメにはなっていたが、地上波で見られるアニメとして放送されたのは乙女ゲームとしては初めてだった。それまで、TVアニメからゲーム化という流れは多数あったが、乙女ゲームをTVアニメへという流れはこれ以降登場したのだ。それ以降、同じネオロマンスシリーズの「アンジェリーク」「金色のコルダ」[35]「遙かなる時空の中で3」[36]「ネオ アンジェリーク」[37]が現在までにTVアニメ化されている他、「マイネリーベ」[38]や携帯電話を使ったゲーム「マージナルプリンス~月桂樹の王子達~」[39]もTVアニメになっている。更に「遙かなる時空の中で」はTVだけに留まらず、劇場版アニメとして上映されたこともある。

乙女ゲーム大ブーム(2006年~2008年)

 2006年に発売された乙女ゲームタイトルは38本となり、2005年の21本のほぼ倍近い数のタイトルが発売された。2007年・2008年も30本以上のタイトルの発売となり、今が一番旬といった感じだ。また、新しく開発された新作ソフトの数は減っているように見えても、この数字に含まれない他ハードへの移植も多く行われているので、実際はそれほど減ってはいないだろう。これほどまでに乙女ゲームのタイトルが増えると、製作する際に他のゲームとの差別化を図る必要が生じる。だからこそ、「乙女的恋革命★ラブレボ!!」[40]や「ラストエスコート」シリーズ[41]「放課後は白銀の調べ」[42]といった、ユニークな設定の作品も生まれてきて、またそれらがヒット作へとなっていくのだろう。

二次元から三次元へ(2008年)

 ここ近年、「テニスの王子様」[43]や「少年陰陽師」[44]といった女性に人気の高いマンガや小説がミュージカルや舞台になるという傾向があった。カッコイイ男性キャラクターが多く登場するこれらの作品に起用された若手イケメン俳優達はその後テレビドラマや歌手として活躍している。この二次元から三次元へという潮流が乙女ゲームにも波及してきたのが2008年だ。2008年1月から2月にかけて東京と大阪で「ネオロマンス・ステージ 遙かなる時空の中で 舞一夜」が上演された。またこの舞台は夏に再演が行われ、2009年1月には第2弾「ネオロマンス・ステージ 遙かなる時空の中で 朧草紙」も上演されている。

 この舞台化は「遙か」だけではない。2008年12月から2009年1月には、「緋色の欠片」[45]が舞台になる。

第3章 乙女ゲームに携わる人々

乙女ゲームのユーザーと主人公の関係

 ユーザーが主人公をどのように見ているかと言う問いに対して、私は3つのパターンに分けられると考える。

まず1つ目は、主人公をキャラクターの一人として捉え、第三者の視点(あるいはゲーム世界を操る神のような視点)でゲームを楽しむといったユーザーだ。

それと対極の位置にいるだろうと考えられるのは、主人公に自分を投影し、「自分=主人公」と考えるユーザーだ。主人公の名前を自分の本名や自分なりのオリジナルネームに変更して、感情移入の度合を高めているのだ。

3つ目は、先程までに挙げた二つの中間に位置するタイプだ。主人公をキャラクターとして捉えながら、自分の感情を主人公に寄せて共感するユーザーだ。「主人公←自分」とでもいうのだろうか。まるで役者がその役を演じるように、プレイヤーが主人公になりきっていると考えることもできるだろう。

 

声優

声優の活躍とその理由

 声優はアニメやゲームでキャラクターの声を当てるのが主な仕事だ。また声の仕事として、テレビ番組やコマーシャルのナレーションや、ドラマCDやキャラクターソングという仕事も多い。声優とは、声だけ演技をする、「裏方」のようなものだと思っている人も多いのではないだろうか。しかし、「裏方」仕事の他にも、本人の名義でCDや写真集を発売する他、握手会やライブなどの催し物も多く行っている。ここまでくると、規模は小さいながらも、アイドルのような存在へとなっているのだ。キャラクターを超え、声優自身がファンの消費の対象となっているということだ。

乙女ゲームでは男性キャラクターが多いので、多くは男性声優によって声が当てられる。人気のある男性声優ばかりがキャラクターを演じるゲームも多く、乙女ゲームや声優について少し知っている人ならお馴染みの名前が並ぶ。先程述べたように、どんな声優を使っているかというのがユーザーに対するアピールに繋がるのだ。

声優によるイベントの中で声優らしいイベントとしては、作品に特化したイベントだろう。これらのイベントでは、作品に登場する声優を招き、その場でアテレコや朗読劇をしたり、トークをしたり、キャラクターソングを歌ったりするコーナーのあるイベントが多い。乙女ゲームのキャラクターというフィルターを通すことで、不特定多数に語りかける「声優」から、目の前の主人公だけに話しかける「恋人候補」へと変わっていく。

 

第4章 現実の恋愛と乙女ゲーム

第1節 現代の恋愛の特徴と乙女ゲーム

現代の恋愛の特徴とは

乙女ゲームで描かれる恋愛と、現実の恋愛とはどのような関係にあるのだろうか。現実における恋愛を若者向雑誌の弁説を中心に論じた『恋愛の社会学 「遊び」とロマンティック・ラブの変容』(谷本菜穂 2008年 青弓社)を元に考えてみた。

 この本には現代における恋愛の特徴を4つ挙げてある。A物語の結末(結婚)の先送り(ロマンティック・ラブの衰退と重大視)・B人間関係の曖昧さを楽しむ傾向(恋愛の遊戯化)・C曖昧なアプローチ方法や演出を歓迎する・D二人自閉(対社会性の希薄化)の4つである。では、この4点について乙女ゲームではどのようになっているのだろうか。

現代の恋愛の特徴と乙女ゲームの比較

Aロマンティック・ラブの衰退と重大視

 現代の恋愛において、結婚という結末を重要視する傾向にあり、それ故にその重大な結末を先延ばしにする人々が増えている。特に女性にとっては結婚によって変わるものが大きいという意識があるので、結婚への意欲は強く、その前提となる恋愛も常に意識せざるをえない重要な事項なのではないだろうか。だからこそ、スポーツ・バトル・ラブコメなど多種多様な題材がある少年マンガに対し、少女マンガで描かれるのは恋愛の物語であり続けるのではないかと思う。

 では、乙女ゲームではどうだろう。乙女ゲームの中で結婚が描かれる場合はいくつかある。その中でも一般的な描き方としてはゲームの結末(エンディング)として主人公と攻略対象が結婚式を迎えるというものだ。恋愛の過程を経ての幸せな結末となっており、結婚への憧れを抱かせるようなものとなっている。

 

B人間関係の曖昧さを楽しむ(恋愛の遊戯化)

 現実でも、「他にもいい人がいるのではないか。」という思いを抱き、複数の人間の間で揺れながら恋愛をする人が多いだろう。そのこと自体が、複数の男性キャラクターから恋愛対象を選び恋愛をしていく乙女ゲームと似ていると思う。乙女ゲームの中で繰り広げられているのは、多くは告白が行われる前の段階である。だから、他に恋人や夫がいて浮気をするというものではなくなるので、「揺れる」事に罪悪感がなく、まさにゲーム感覚でお気に入りの相手を選べるという訳だ。

先程、「多くは告白が行われる前の段階である。」と言った。すなわち、ゲーム中に告白を迎えたり、設定が人妻であったりして、告白後の恋人(もしくは夫)がいる主人公も少数ではあるが存在をするという事だ。ゲーム中に告白を迎える作品としては、「フルハウスキス」シリーズ[46]や、「Love Drops~みらくる同居物語~」[47]などが挙げられる。これらには乗り換えルートと呼ばれるルートが存在し、一度恋人が出来た後に他の人の好感度を上げると、途中で恋人を振って他の人と恋愛ができるという展開だ。更に、人妻という設定を持ちながらも他の男性と恋愛が出来る「DEAR My SUN!! ムスコ★育成★狂騒曲」[48]が昨年発売され、また新婚の人妻の「浮気」をテーマにした「銀の冠碧の涙」[49]という作品が来年の発売を目指し、現在開発中だ。まだ、特定の相手が出来てからの「揺れる」恋愛を描く物語は少ないけれども、それぞれに続編や声優イベント開催などが展開され、作品自体が人気を博していると考えられるとともに、「揺れる」恋愛を描く事に需要はあるのだ。

 

C曖昧なアプローチ方法や演出を歓迎する

 男女に異性にする共通するアプローチの仕方として効果的なのは、「さり気なさ」や「好意を匂わせる行動」らしい。好意を伝えるあからさまな態度は逆効果という事だ。これは、結末の先延ばしとも関係しているだろう。好意をはっきりと伝えるという事(告白)は、その返事を要求するものであり、付き合うなり拒否するなりの何らかの決着を付ける必要がある。

乙女ゲームの多くも「告白する・付き合う」という関係性になる事が結末となっている作品が多く、それまでは好意を示しながらも直接的な告白や、更には好意に対する返事を相手に求めることはできない。曖昧なアプローチを歓迎する傾向がなければ、告白前の間接的なアプローチの高揚感を楽しむということはないだろう。

更に、現実で女性に多いアプローチとしては「相手がアプローチしやすい環境を作る」というものがある。これは男性側にアプローチを求める女性の受動的な姿勢だ。乙女ゲームは、女性主人公が積極的に男性キャラクターに声を掛け、恋に落としていくように思われるかも知れないが、実際は男性キャラクターからアプローチを仕掛けられることも多く、ゲーム内で告白をするか、されるかと言ったら、告白をされることが多いような気がする。そして、男性からアプローチしてもらえるように、相手に会いに行き二人きりになるなどの工夫が必要となっていくのだ。

 

D二人自閉(対社会性の希薄化)

 恋愛というのが、自分と恋人の2人の関係性でのみ捉えられる傾向にある現代だというのだ。乙女ゲームを含む恋愛ゲーム[50]の多くは、1人でプレイする仕様になっている。恋愛を自分とゲーム内のキャラクターだけのもので片付けてしまえるからだろう。

二人自閉は「プレイヤー―攻略対象」だけでなく、「主人公―攻略対象」との間にも起こりうる。

乙女ゲームは、ゲームの進め方によって分けることもできる。「同時攻略タイプ[51]」と「個別ルートタイプ」[52]である。物語の途中から特定の人物に特化したシナリオ(個別ルート)が展開される作品は少なくない。個別ルートのシナリオが始まると、主人公と攻略対象の出番が多くなる。そしてそれ以外の人物の出番が減少し、まさに「2人の関係」に焦点を当てるようになる。

プレイヤーとキャラクターだけでいいという「対社会性の希薄さ」だけでなく、ゲームの内容を考えても二人自閉というのは乙女ゲーム内の恋愛に見て取れることが分かる。

また、二人自閉と関係している現代の恋愛傾向として「感覚の類似」が存在する。同じ様な好みを持つ相手、同じ価値観をもっている相手を好ましく思い、そういう存在と一緒にいることを心地よいと感じるというものだ。これは、ゲームにも分かりやすく取り入れられている。主人公が攻略対象の好感度を上げようと思った時に、プレイヤーは自分の思っている行動を取るよりも、相手の感覚に近い行動を取ることが必要とされる。また、「ときめきメモリアルGirl’s Side」に見られるように、相手が得意とするもの(運動や芸術など)と同じものを得意にすることで相手からの好感度を得るといった方法も取られる。これは感覚の類似を重視する現代の恋愛傾向と同じではないだろうか。

「揺れる」ことの出来るロマンティック・ラブ

さてここまでで、乙女ゲームも現代の恋愛の特徴を持っていることが分かるのではないだろうか。私は、特徴のBやCに見られる「揺れる」恋愛を楽しむ現代的な傾向と、少女マンガのような既存のメディアによって作り上げられているロマンティック・ラブを良いとする感性を上手く取り入れているのが乙女ゲームではないかと考えた。

プレイヤーの視点から見れば多数のキャラクターの中から、自分のお気に入りを選択する「揺れる」恋愛を、一方でゲームの中の主人公の多くは1人の男性を好きになり、思い続けるロマンティック・ラブを体現しているものが多い。先程述べた個別ルートは、ロマンティック・ラブを表現する手段だったのであろう。

第2節 恋愛対象の魅力

現代の恋愛における魅力的な異性

異性として魅力的だというのはどの様な異性をさすのだろうか。同じく『恋愛の社会学』を元に考える。男性の魅力としては、70年代も現代も「女性をリードする」という従来の男性的性役割の属性があるのに対して、新たに「感覚の類似」に見られる共に歩みたいという女性側の願望も見て取れるようになった。同じ様に女性の魅力としても、ステレオタイプ的な女性の魅力を備えていることと、現代の傾向として感覚の類似が挙げられるそうだ。

乙女ゲームに描かれる恋愛の対象の魅力

乙女ゲームおいては、それこそ多くの男性キャラクターが登場する。キャラクターのタイプは、女性の扱いに慣れているナンパ系、恋に対して不器用な堅物系、可愛い年下系、頼れる年上系など幅広い。しかし傾向として「女性を守る・引っ張っていく」という気持ちは共通しているのではないだろうか。実際にゲームのシステムでも「遙かなる時空の中で」シリーズや「ネオ アンジェリーク」では、戦闘システムが存在するが主人公が出来ることは「応援」や「術(男性キャラクターと力を合わせる必要がある)」などサポート的な役割を担い、実際に戦闘をしているのは男性キャラクターだ。それゆえ、男性キャラクターは何かといえば「お前を守る」「守れる強さが欲しい」と言っている。つまり男性的な性役割を彼らは演じる必要があるのだ。

現実とゲームの女性の魅力とは

一方女性キャラクター、特にプレイヤーの分身であり、男性キャラクターから好意を寄せられる主対象の主人公はどうなっているのだろうか。乙女ゲームの主人公には「明るい」「前向き」といった性格のキャラクターが多い。これは、ストーリー上で何らかの環境の変化がある主人公たちが、その変化に対応できるよう設定される性格ではないかと考えられる。変化とは、例えば、「遙かなる時空の中で」シリーズの「異世界に飛ばされ、そこで龍神の神子としての使命を果たす」ことや、「水の旋律」の様に「引っ越した先で、因縁を持つ二つの一族の争いに巻き込まれる」などだ。ストーリーを進めていく上で、そこで起きている出来事を受容できる性格として明るく前向きなキャラクターと設定されているのだろう。しかし、それだけが理由ではないだろうとも思う。主人公が男性キャラクターに好かれる理由の描写が希薄であるとか、主人公の性格によっては「どこで主人公を好きになったか理解できない」「何故、この主人公を好きになるのか分からない」と言われることがある。つまり、プレイヤーである現実の女性から見て「男性に好かれそうな女の子」である事が主人公には必要となるのだ。実際、「明るい」というのは現代(90年代以降)において女性の魅力の一つに挙げられている。他に、「外見がいい」というのも女性的な魅力としてあるが、これに関しては設定では必ずしも美少女や美人という設定にはなっていない。むしろ、普通の女の子という設定になっているのだが、攻略対象の男性キャラクターらには「可愛い」「綺麗」などの言葉を掛けるようになる。特に、恋愛の過程を進めるうちにそのように言ってくれる機会も多くなる。よって、攻略対象にとっては「恋は盲目」ということもあるだろうが、主人公のことが外見的にも魅力的に映っているのだろう。

女ウケする主人公

また、主人公の設定の時に大切な事は、男性からではなく、女性から見て魅力的な主人公でなければならないという点であろう。インターネット等でゲームをプレイした人の感想を見ていると、人気のある主人公はただ守られるだけの存在ではないというのが私の実感として存在する。例えば、「遙かなる時空の中で3」シリーズの主人公、春日望美だ。彼女は自ら剣を持ち、男性キャラクターと一緒に怨霊に切りかかるような女の子だ。しかも、他の男性キャラクターは、戦う相手によって戦闘に参加するキャラクターを入れ替えることができるが、主人公はいつも戦闘に参加しなければならないので、気がつくとどのキャラクターよりも優先的に強くしているプレイヤーも多い。その様な、一見ステレオタイプ的な女性とは違う、かっこいいキャラクターだが、女性としてはそんな同性に憧れを抱くのだろう。もちろん守られる主人公が多い中で、先頭に立って戦う主人公が珍しく、人気が出ているとも考えられる。しかし、かっこいい主人公の需要がある事は分かるのではないだろうか。ただ明るく前向きなだけではなく、「行動力がある」「好奇心旺盛」など能動的に動く事ができる主人公の設定が出てきているのはその需要に応えられるようにという事かもしれない。

おわりに

女性とゲーム

 さて、ここまでずっと乙女ゲームに注目して論を展開してきたが、一旦視点を「女性とゲーム」という部分に移してみたいと思う。はじめにで述べたように、ゲーム市場というのは男性が中心となっている事が多く、また「子どもが遊ぶもの」として捉えられがちだった。しかし実際には、今まで見てきたように女性向のゲームというのも多数開発されているのだ。ただそれが、男性や子ども中心のゲーム業界において、多くのユーザーが知る機会を逃していたのではないだろうか。

まず始めに、実際女性がどれだけゲームをしているのか確認しておこう。社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が2003年に行った「2003 CESAレディース調査報告書」(以下、レディース調査報告書)がある。ちなみにここでいうゲームとは、テレビゲームのことであり、それ以外のパソコンや携帯のアプリケーション、アーケードゲームといったゲームは含まれていない。(携帯電話やゲームセンターの利用状況に関しては同書第4章の「女性の余暇活動・ライフスタイル」で、3章「女性のゲームのプレイ動向」とは別に設問が設けられていた。)

調査は首都圏や京阪神在住の6歳以上の女性500人を無作為抽出しているのだが、その中でゲームユーザーは15.6%の78人に留まった。ゲームを「積極的に楽しんでいきたい」、「自分にとって面白いソフトがあればやってみたい」けれど、現在継続的にやっている訳ではない休眠顧客や新規期待顧客を合わせても45.4%の227人と過半数に満たない。大半は、ゲーム接触経験に関わらず「あまりやってみようと思わない」「全くやるつもりはない」と思うゲーム非受容層となっていた。更にそれを年齢別に見ていくと、ゲームユーザーが圧倒的に多いのが6~12歳の小学生であり、中学生・高校生と進むにつれて減少している。但し、16~18歳の層は、休眠顧客が60%もおり、ゲームの非受容層も10%と一番少ない。そして19~22歳の若者になるとまた少しユーザーの割合が増えている。23~29歳では再び減少し、30~39歳は一時的に増えるが、またその後の40~49歳・50~59歳・60歳以上になるとユーザーが1割未満となってしまう。

私なりに考察をしてみよう。現代の子どもたちにとってテレビゲームは身近な遊びとなっている。これは多くの人が実感することではないかと思うし、実際、1983年にファミリーコンピュータ(ファミコン)が誕生した時に子ども(6~12歳)だった年代(26~32歳)以降の世代では、「ゲームに一度も触った事がない」人はほとんど居ない。そして、年齢が進むにつれゲーム以外の楽しみが増え、高校生くらいになると、遊び=ゲームではなく、数たくさんある遊びの中の1つにゲームが存在しているのだと思う。遊びの中からテレビゲームを選択こそしていなくても、常に選択肢として意識はされている。大学生や社会人になる年代になると、時間的にも忙しくなり、また「ゲームは男性や子どもが楽しむもの」というイメージがあるためにゲームから遠ざかってしまう。更に女性は、現実の恋愛をするために、自分の外見を着飾る必要に迫られるようになってくる。それ故、妙齢の女性の多くは自分磨き・そして恋愛に時間と金銭を割くようになり、ゲームという余暇の過ごし方を切り捨てるのだ。そして、40代以降になると、そもそもゲームに触れた事のない人が多くなる。ファミコンが誕生した時に既に、ゲームで遊ぶだろう対象から除外されているのだから、当然の事と言えよう。

乙女ゲームと現実社会との関係性

最後に乙女ゲームと現実社会との関係について考えた事を述べておきたいと思う。先日友人と、横浜で行われるネオロマンスの声優イベントに行ってきた。その時に、友人が「ネオロマンスは本当に女性の為に作られたもの。ネオロマンスの世界に触れると、自分が女の子でいていいんだと言われている気分になる。」と言っていた。彼女の言葉は、ネオロマンスだけでなく、乙女ゲーム全般に通じるものがあると思う。乙女ゲームのユーザーは様々で、一言でまとめてしまえるものではないのだが、非ゲームユーザーの女性と比べると、現実の恋愛に対して積極的ではない人や外見にあまり気を遣わない人がいるのも事実だろう。そういう人たちにも「可愛い。」「好きだ。」と言ってくれる乙女ゲームの世界は、どんな女性も「女性」だと言われているような気分になるのだ。

性別というのは、身体的機能だけで区別される訳ではなく、容姿や社会的な役割、他者との関係などにおいて決められるものだと思う。つまり、女性は女性として生まれるだけでなく、「女性になる」必要があるのだ。その「女性になる」というのは、男性を意識して容姿を整えたり、いわゆる「女性らしい」立ち振る舞いが出来たりするようになるということだ。上手く「女性になる」事ができれば、現実の恋愛社会の中で上手く生きていく事ができる。しかし、現代は格差社会であり、恋愛にも格差が生まれているという。誰もが勝ち組になれる訳ではない。恋愛格差社会は男性だけではなく、女性の側にも存在するだろう。恋愛に積極的に参加できない人、また「女性になる」事が上手くない人たちにも、「女性である意味」を見出させる機能が乙女ゲームにはあるのだろう。実際、声優イベントに参加するユーザー達はここぞとばかりにおしゃれをしてくる。単純に、現実の恋愛の代替物として乙女ゲームがあるとは思っていない。現に現実の恋愛と乙女ゲームのプレイを両立させている人はいる。しかし、物語を通して「女性である意味」「女性になる」事を経験し、現実の恋愛社会に入っていくきっかけをくれるのではないだろうか。娯楽としてだけではなく、乙女ゲームユーザーにとって、それは自分の存在を認めてくれる「癒し」や、現実の生活に彩を添えてくれるもののような気がする。

乙女ゲームが出来上がってくる意味

「レディース調査報告書」によると、ゲーム業界では「少子化などによるゲーム人口の減少が心配され」、「以前ゲームに参加されていたユーザーの呼び戻し」と同時に、「これまであまり参加する機会のなかった新規ユーザーの喚起」が必要となっている。だからこそ、このレディース調査報告書も、「今後のゲーム市場拡大を図るため新規ユーザーの取り込みを目的」としている。「ゲーム参加人口では全体として男性に偏った傾向があり、全人口の半数を占める女性の参加機会が少なかったというのがこれまでの実態」であり、「ゲームを文化の一部として定着させていくためには、女性層の普及を促進する事が重要」だとも述べられている。

そこから考えると、ゲームに触れる機会の少ない女性、それもできるだけ幅広い女性に、ゲームを楽しめるようにという窓口としての機能が乙女ゲームに求められていると推測できる。女性をターゲットに組み込み、ゲーム市場を拡大させることによって、商業的利益を得る目的も、もちろんあっただろう。

しかし、それは作り手の意図である。そのような理由だけで乙女ゲームが売れる訳ではない。売れるためには、ユーザーが乙女ゲームをやりたいと思わなければいけないからだ。

それでは、ユーザーから見た時に、乙女ゲームのどんなところが魅力的なのだろうか。

 彼女達の求めているものが単なる「恋愛物語」だとしたら、ゲーム以外にも少女マンガや恋愛小説、テレビドラマなど、ラブストーリーを描く媒体は数多く存在する。それらと乙女ゲームの最大の違いは、ストーリーを受容する側が主人公を操作し、物語を選択することが出来るというところにあるだろう。人々の好みが多様化し、何かを選択することに慣れてしまった人々の中には、マンガや小説といった一通りしかない「物語」では、自分の好みの物語に出会えないかもしれない。乙女ゲームを楽しむ人々は、恋愛を描く「物語」を受け入れるだけの姿勢に物足りなさを感じ、物語に「参加する」ことを望んでいるのではないだろうか。実際、乙女ゲームを楽しむ人の中には、ゲームで描かれた物語だけでは物足りず、二次創作をしている人もいるし、ネオロマンス作品に限定された同人誌即売会なども行われている。そもそも乙女ゲームジャンルに限らず、同人誌では既存の作品のパロディや二次創作が多く見られる。少年マンガに出てくるキャラクター同士に恋愛関係を見出すBLや、SFアニメのキャラクター達を学園物に置き換えるなど、本来の原作とは違うストーリーを作り出しているのだ。またネット上では、名前変換小説(夢小説・ドリーム小説)が公開されており、既存のキャラクターとオリジナルキャラクター(読み手の分身)とが同じ世界に存在して、恋愛するといった物語になっている。このように、原作をそれだけで楽しむのではなく、自分の好きなように操作しているのである。その「操作性」をシステムとして組み込み、楽しめるようにしたのがゲームであり、そのゲームの中に乙女ゲームは存在するのである。

この「操作性」や「選択性」は、現実の恋愛にも通じる部分がある。現実の恋愛(広くとらえるならば現代社会)では、人は常に何かを選択する機会に直面し、また自分自身でどのように過ごすのかを常に決定している。それをゲームでも経験する事ができるのだ。しかも乙女ゲームでは、現実の恋愛よりもずっと手軽に好きな人と結ばれることができる。ユーザーは、ゲーム機にソフトをセットし、起動させ、そしてゲームを進めるだけでいい。ゲームの世界の中で、行く先を決める、毎日の行動を決める、会話を選択する。それらを何度か繰り返せば、好きな人との幸せな様子を楽しめる。現実の恋愛では、相手の気持ちを相手の態度などから推測しなければならないが、ゲームでは好感度という数値で可視化されている事も多い。更にもし、不幸な結末を迎えたり、自分の狙っていたキャラと結末を迎えることが出来なかったりすれば、攻略本や攻略サイトにあるやり方でゲームを進めれば、自分の思い通りの物語を楽しむ事ができる。また、重大な選択を迫られた時も、セーブをしておけば、選択にミスした際にそこからロードして、やり直す事ができる。このように見ていくと、現実の恋愛を模しながらも、その現実の恋愛の煩わしい部分を取り除いているのが乙女ゲームのように思える。

また、システムだけが乙女ゲームにおける恋愛の煩わしさを取り除いているのではない。ストーリーにおいても、一人の女性主人公の周りに多くの男性を配置する事で、ライバルがいない物語を作る事ができる。男性を取り合うライバルキャラという位置づけのキャラクターは、少ない。攻略対象となるキャラクターに恋人や妻がいる事はもっと稀である。更に、乙女ゲームにおいては、恋愛がゲームの主軸であるので、他の物事も恋愛を進めるために機能している。しかし現実の恋愛ではそうではない。日々、学業や仕事、趣味、家事などと恋愛は自分でバランスを取り、両立させていかなければならない。そう考えると、乙女ゲームでは「攻略対象との恋愛」に集中できるよう、それに純化したストーリーを用意しているのだとも言えるだろう。

ゲームシステムとストーリーの両方から恋愛を手軽に楽しめる工夫がされ、それもまた乙女ゲームの魅力となっているのだろう。

「おわりに」の最後に

この論文で私が考えた事を最後に整理しておこう。

まず乙女ゲームは、感覚の類似や「揺れ」といった現代の恋愛の特徴を持っているということ。ただ有しているだけではなくロマンティック・ラブの要素を合わせる事によって、保守的と言われがちな女性の感性に訴えているのだと分かった。また、乙女ゲームが操作性をもっていることで、現実世界に近付いているのだろう。ただ、ゲームは現実をトレースしているのではなく、純化した恋愛、恋愛に特化した世界を見せていることもまた事実である。それによって手軽に恋愛の気分を楽しむことができるのだ。

次に、乙女ゲームはその操作性によって、他のメディアで描かれる恋愛物語とは違ったアプローチを可能にしているのだということ。ここに乙女ゲームの魅力があるのだろう。

そして、乙女ゲームを楽しむユーザーは、どんな女性にも平等に「好きだ」などの甘い言葉を投げかけてくれる乙女ゲームに、「女性である」ことを肯定されているのだということ。自己肯定の世界が、ユーザーたちにとっては癒される空間になっているのではないだろうか。

今回の論文では、上手く先行研究を発見できず、美少女ゲーム論やオタク男性論、ジェンダー研究など近似する分野から参考せざるをえなかった事や、ゲーム業界全体の知識が不足していた事など、自分の力不足を痛感する場面も多々あった。それでも、自分の好きなものを研究対象に出来て、またこの研究をきっかけに知り合えた方もいて、自分自身が楽しんで取り組めた事がとてもよかった。話を聞かせてくれた友人たち、一年共に頑張ったゼミのメンバー、指導をしてくださった先生方、そして今回研究させていただいた乙女ゲームに携わっている全ての人に感謝を捧げたいと思う。

私はこれからも、暫くは乙女ゲームを楽しんでいく予定だ。もう、次にプレイしたいゲームも決めてある。そして、ずっと乙女ゲームを好きで居続けたいとも思っている。これからも、乙女ゲーム業界が更なる発展をしていくことを、ユーザーとして楽しみにしたい。

 

参考文献・参考資料

『腐女子化する世界 東池袋のオタク女子たち』 杉浦由美子 中央公論新社 2006

『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』 東浩紀 講談社 2001

『ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2』 東浩紀 講談社 2007

『萌える男』 本田透 筑摩書房 2005

『「ケータイ・ネット人間」の精神分析 少年も大人も引きこもりの時代』小此木啓吾 飛鳥新社 2000

『なぜ、きみに恋をしたんだろう』菜の花すみれ2007

『最新ゲーム業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』橘寛基 秀和システム2006

『恋愛の社会学 「遊び」とロマンティック・ラブの変容』谷本菜穂 青弓社 2008

『日本のフェミニズム7 表現とメディア』編者:井上輝子・上野千鶴子・江原由美子 編集協力:天野正子 岩波書店 1995

『東京お出かけガイドTOKYO Otome Road』マッグガーデン2006

①『B’sLOG 別冊乙女ゲーム白書』エンターブレイン 2006

②『B’sLOG 別冊乙女ゲーム白書2007』エンターブレイン 2007

『B’sLOG 別冊BLゲーム白書』エンターブレイン2006

③『B’sLOG Dolce』エンターブレイン2008

④『乙女ゲーム胸キュンガイド』ブックマン社 2006

『B’sLOG』エンターブレイン

『Cool-B SweetPrincess』大宙出版

(こちらのVol.2の付録CD-ROMを参考資料⑤とした)

『Cool-B』大宙出版

『Girl’s Style』メディアワークス

※①~⑤はそれぞれ、資料「乙女ゲームクロニクル」を作成する際の参考資料として、まとめ記事を使用している



[1]「遙かなる時空の中で4」(2008/6/発売 コーエー)

[2] 乙女ゲームでは、主人公の名前が変換できるものが多いが、公式の設定が決められている。その呼び名を指す言葉。

[3] 通常のイベント画面(立ち絵やテキスト表示)と異なり、背景や人物が一枚に描かれた絵。イベントグラフィック、一枚絵と呼ばれることもある。ちなみにスチルは女性向け独特の用語らしい。

[4] キャラクターのイラスト。背景画像を組み合わせて、キャラの様子を伝える。表情やポーズに変化をつけたり、口や目を動かす事であたかもキャラクターが存在しているかのように見える

[5] 既存のキャラクターや世界観を用いて、創作をすること。

[6] プレイヤーの能力ではなく、キャラクターに設定された能力値によって事象の成否を決める事でゲームが進むゲームジャンル

[7] コントロールのボタンなどが直接キャラクターの行動と連動し。それをを操作し、ゲームの進めていくジャンル

[8] 2005年に任天堂より発売された携帯ゲーム機。現在「ニンテンドーDSLight」「ニンテンドーDSi」と新型が販売されているが、この論文ではそれら全てをまとめてニンテンドーDSと呼ばせてもらう。

[9] 『日本のフェミニズム⑦ 表現とメディア』より要約

[10] 「しゅごキャラ!」(PEACH-PIT 2006年~「なかよし」に連載開始 講談社)

[11] 主人公と恋愛(同性なら友情)した後、エンディングがあるキャラクターを攻略対象と呼ぶ。

[12] 「カレと彼の間で~ホワイトラビリンス~」(2005年2月14日 AMEDEO)「カレと彼の間で~再婚家族編~」(2006年2月13日 AMEDEO)「カレと彼の間で~DXツインズパック版~」(2006年8月11日 AMEDEO)の総称

[13] 「アンジェリークエトワール」(2003年12月19日 コーエー)

[14] 「銀魂」(空知英秋 2003年12月~週刊少年ジャンプに掲載 集英社)

[15] 「コードギアス 反逆のルルーシュ」(サンライズ 2006年10月~MBS・TBS系列アニメ放送)

[16] 「FINAL FANTASY」(1987年 スクエア)に始まる日本のRPG作品

[17] 「テイルズオブファンタジア」(1995年12月 ナムコ)に始まる日本のRPG作品。

[18] 「戦国BASARA」(2005年7月 カプコン)に始まる日本のアクションゲーム

[19] 戦争や育成といった、何かの経験を追体験できるゲーム

[20] プレイヤーがコマンドの選択や入力により行動を選択していく形式のゲーム。

[21] 「ときめきメモリアルGirl's Side」に始まる女性向け恋愛シミュレーションゲーム

[22] 「アンジェリーク」(1994年9月23日 コーエー)に始まる女性向け恋愛シミュレーションゲーム

[23] 「遙かなる時空の中で盤上遊戯」(2003年6月26日 コーエー)

[24] 「信長の野望」(1983年4月 光栄(後のコーエー))に始まる戦国時代をテーマにした歴史シミュレーションゲーム

[25] 「三國志」(1985年 光栄(後のコーエー))に始まる歴史シミュレーションゲーム

[26] 「e'tude prologue~揺れ動く心のかたち~」(1998年8月7日 TAKUYO)

[27] 「遙かなる時空の中で」(2000年4月6日 コーエー)

[28] 「アルバレアの乙女」(1997年6月27日 NECホームエレクトロニクス)

[29] 「ファンタスティックフォーチュン」(1998年11月27日 富士通)

[30] ネオロマンスとは、コーエーから発売されている女性向ゲームの総称である。「アンジェリーク」シリーズ「遙かなる時空の中で」シリーズ、「金色のコルダ」シリーズ、「ネオ アンジェリーク」シリーズがある。(2008年現在)

[31] 「FIRST LIVE」(2000年8月4日 AMEDEO)

[32] 東京秋葉原に本店を持つゲームショップ。男性向のソフトや一般ゲームなど幅広く取り扱っている。2008年現在、本店の2階フロア半分と3階フロアが女性向作品の売り場になっている他、通信販売でも「メッセサンオーガールズゲームショップ」として男性向や一般ゲームとは別に販売されている。ゲームを購入した際に付いてくるショップオリジナルの特典に力を入れている。

[33] 18歳未満の人が所有する、プレイすること、また18歳未満の人に販売する事を禁じられているソフト。主に、性描写やグロテスクな表現が含まれている事が多い。パソコンで遊べるソフトは、コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)によって規定されている。

[34] 「星の王女」(2003年8月25日 美蕾)

[35] 「金色のコルダ」(2003年9月19日 コーエー)

[36] 「遙かなる時空の中で3」(2004年12月22日 コーエー)「遙かなる時空の中で3 十六夜記」(2005年9月22日 コーエー)

[37] 「ネオ アンジェリーク」(2006年3月4日 コーエー)

[38] 「耽美夢想マイネリーベ」(2001年4月26日 KONAMI)「マイネリーベ~優美なる記憶~」(2004年9月22日)

[39] 「マージナルプリンス〜月桂樹の王子達〜」(2005年8月15日よりi-modeでサービス開始 Serendipity)

[40] 「乙女的恋革命★ラブレボ!!」(2006年1月26日 インターチャンネル)体重100kgの主人公がダイエットに挑む作品。

[41] 「ラスト・エスコート~漆黒の黒蝶物語~」(2006年1月26日 D3パブリッシャー)「ラスト・エスコート~黒蝶スペシャルナイト~」(2006年7月27日 D3パブリッシャー)「ラスト・エスコート2~深夜の甘い棘~」(2008年2月21日 D3パブリッシャー)の総称 攻略対象がホストという作品。

[42] 「放課後は白銀の調べ」(2008年2月28日 ディンプル)主人公が男装して男子高に潜入した。

[43] 「テニスの王子様」(許斐剛 1999年7月~2008年3月週刊少年ジャンプに連載 集英社)

[44] 「少年陰陽師」(結城光流/著 あさぎ桜/挿絵 2002年1月~ 角川書店)

[45] 「緋色の欠片」(2006年7月6日 IF乙女いと♪)

[46] 「フルハウスキス」(2007年7月22日 カプコン)「フルハウスキス2」(2006年2月23日 カプコン)「フルハウスキス2~恋愛迷宮~」(2007年12月20日より順次公開 カプコン)の総称

[47] 「Love Drops~みらくる同居物語~」(2006年3月3日 シュガービーンズ)

[48] 「DEAR My SUN!! ムスコ★育成★狂騒曲」(2007年9月6日 D3パブリッシャー)

[49] 「銀の冠碧の涙」(2009年発売予定 アロマリエ)

[50] ここでいう恋愛ゲームとは、男性向の美少女ゲーム、女性向の乙女ゲーム、BLゲームを含めている。それらは、RPGやADVも含めて恋愛の過程を追体験できる(シミュレーションできる)という意味で恋愛シミュレーションゲームという名称で呼ばれることもある。

[51]共通のシナリオが長く、複数の攻略対象と恋愛過程を進めていき、最後の最後に攻略対象を選択する(告白をする、もしくは告白を受ける)ことができる。例えば、最初に登場した「アンジェリーク」シリーズや、「遙かなる時空の中で」「遙かなる時空の中で2」、「金色のコルダ」シリーズはこのタイプにあたる。また、「フルハウスキス」「ときめきメモリアルGirl’s Side 1st」のように二股をかける(2人を同時攻略)をすることで発生するシナリオを持つゲームも存在する。

[52] 例えば「遙かなる時空の中で3」「遙かなる時空の中で4」「緋色の欠片」シリーズがこれにあたる。また最初に攻略する人物を決めてしまう「VitaminX」もこの「個別ルートタイプ」と考えられる。


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