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【CL愛知7-2best64】炎MM

0.前置き

※本記事ではカードの非公式名称(例:アルセウス&ディアルガ&パルキアGX→ADP、ミュウツー&ミュウGX→MM)を使用します。

※情報の付与として()、デッキアーキタイプとして【】、カード名として《》を使用します(例:【ADPZ(《やまびこホーン》入り)】)

 この度は2021年3月28日に行われたCL愛知において、溶接工を主体としたMMのデッキ【炎MM】を使用して7-2のbest64入賞となりました。正直まだ順位の上げようがあったのではないか、と満足は出来ないものにはなりましたが練習時間が対人・一人回し合計して10時間あるかないかの状態ではまず最低限の結果にはなったものと考えています。

 また、前回のシティリーグシーズン2優勝に引き続き悪くはない順位で大会を終えられたこともあり、大会に向けた考え方であったり対戦中の思考力は悪くないものを持っているのではないでしょうか。

 前置きはここまでとして、以降環境の予想、【炎MM】を選択するまでの思考、採用カード決定の流れ及びデッキリスト、構築上の反省、各対面ごとのプレイ指南、CL後環境の【炎MM】についてを記載させていただきます。

 勝負事は結果が全てであり、CL優勝の【炎MM】と比べれば私の【炎MM】とその記事ははっきり言って劣ったものではあるのですが、よりこのアーキタイプについての知見を深める・多くの使用者の思考を学ぶことにより自らの学びを深めると言った用途には使えるかと思います。

 また、完全に私事ではあるのですが現在私が所謂「オタク」になったきっかけでもあるエヴァンゲリオン完結作「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」が公開されております。本記事で得た収益は基本的にこちらの作品のチケット代orグッズ代として利用させていただきます。best64祝い兼私のオタク活動の支援として購入していただければ幸いです。

以下、基本常態。

1.環境の予想

 CL愛知前は新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点からジムバトル含む公式イベントがあらかた中止となっており、直前に発売された「双璧のファイター」おろか「一撃マスター」「連撃マスター」までのカードプールでさえも環境がはっきりとしない状態であった。但し、CL開催決定発表後では有志が開催した対面での非公認自主大会やリモート大会によりいくつかのデッキが非常に強力であると注目されつつあった。そういった情報をもとに、CL愛知でのデッキ数の分布はFig.1のようになると考えた。

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 Fig.1において、tierとはデッキそのもののパワーではなく、あくまでも予想される使用者数の多さを表している。Tier 1は最も使用者数が多いデッキ郡であり、逆にTier 3は無視はできないが使用者数としては少ないデッキ郡である。

 予測不能としているデッキについてそれぞれ、黒MMは以前Twitterに投稿されているのを発見しわかりやすい強さがあることから使用者がいると考えた(元ツイートのURLを控え忘れました、どなたかご存じでしたら教えていただきたいです)。インテレオンは台湾で行われた高雄リージョナル(日本の「一撃マスター」「連撃マスター」までのカードプール)でベスト8になった段景仁選手のデッキが強力であったことから、使用者がいると考えた。トゲキッスVmaxは目立った結果を残してはいないものの、複数の強力なデッキを思いついたため同じように考えて持ち込む人間がいると予想した。


2.【炎MM】を選択するまでの思考

 まず今回はCLでありシティリーグと比べて圧倒的に対戦数が多くなるということがデッキ選定を行う際に最も考慮すべき条件であった。例えば私が優勝したシティリーグでは予選4回戦+決勝トーナメント3回戦の合計7戦が最大対戦回数であった。対してCL愛知スタンダードは予選9回戦+決勝トーナメント4回戦の最大13回戦、まともに対戦していたら走り切ることになるであろう予選だけでもシティリーグの最大対戦数を上回っている。

 これが何を意味しているかと言えば、デッキに求められる再現性は高まり、偏差の小ささとデッキパワーの高さの両立がよりシビアなレベルにあるということである。

 再現性を高めるという点で【ムゲンダイナ】【連撃ウーラオス】を除いたVmax主体のデッキは使用候補から外れることになった。【ムゲンダイナ】は大量のサーチカードと《クロバットV》の存在により進化デッキとは思えない再現性を実現し、【連撃ウーラオス】は《オクタン》による確定サーチや《メッソン》による種ポケモンの設置等盤面形成能力に秀でている。


 次に、Tier上位、特にTier 1と予想しているデッキ全体に微有利以上を取れるデッキを検討した。その結果として以下の複数のデッキが該当した。

・【ADPZ(《クロバットV》2枚以上, 《オドリドリGX》採用)】
・【連撃ウーラオス(《ジラーチGX》2枚以上, 《ボスの指令》4枚)】→【連撃ウーラオス】1と呼称する
・【連撃ウーラオス(《連撃インテレオン》《ミミッキュ(シャドーボックス)》採用)】→【連撃ウーラオス】2と呼称する
・【炎MM】

以上のデッキについて、一度実際の60枚を見ることを目的とし、細かい調整をせず大まかな形を組んだ(Fig.2~Fig.4)

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Fig.2 【ADPZ】


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Fig.3 【連撃ウーラオス】1


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Fig.4 【連撃ウーラオス】2


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Fig.5 【炎MM】

 全てのサンプルリストを仮想敵のデッキにぶつけて検証するには時間も体力も足りなかったため、リストを見ただけで得られる情報をもとに最適なデッキの選定を行うことにした。以下にはサンプルリスト作成時のコンセプトと、その評価について記す。なおこの評価はあくまでリストを見て判断したものであり、実際の対戦に基づくものではない。


Ⅰ. ADPZ

 まずADPZはオルタージェネシスGXを宣言した《ADP》は次の相手のターンできぜつするということを前提にした。というのもそもそもオルタージェネシスGXを宣言した後アルティメットレイまで言えるとしたらそれはかなりの確率で勝利出来るため、その後の動きを構築上強く意識する必要はないからである。故に、本当に求めるべきはオルタ―ジェネシスGXを宣言した次のターンにブレイブキャリバーかハッスルバイトによってサイドを取る、あるいは何某かの手段でもう1ターン稼いでブレイブキャリバーかハッスルバイトを使うことである。

 この2つの目標のうち、今回は前者を選択した。そのため、オルタージェネシスGXの次のターンに要求されるカードは多くなる。これを達成するため、ドローに繋がる《オドリドリGX》を採用した。また、最後のサイドを取る《ボスの指令》を引きに行くため《デデンネGX》《クロバットV》の両方を使うことが少なくなかったため、《クロバットV》の2枚目が必要と感じ、採用した。

 【ADPZ】のスタジアムは《混沌のうねり》と《トキワの森》で二分されているように感じるが、今回は《トキワの森》を採用した。前述の通り10戦前後の試合をこなす必要があるため偏差を小さくすることの重要性が大きいことから、自分の強い動きを通しやすくするカードの優先度が高いと考えたからである。

 また、最近では《やまびこホーン》を採用したリストも目にするが私は採用しなかった。【ジュナイパー】のようなダメージロック系統に対して取れるサイドを能動的に増やす意味では効果的だが、《デデンネGX》《クロバットV》《ワタシラガV》を呼んでサイド3枚に変換するに使うには2枚以上、出来れば3枚採用したいと考えたからだ。

 このリストの評価として、多くのデッキに微有利以上が付いており、逃げのデッキとしては非常に優秀と考えた。しかしながら、《炎MM》《黒MM》に対しては明確な不利を取りがちな点が気になった。またその不利の取り方もカードを数枚差し替える程度では返しきれないレベルであり、良くも悪くも座った時点で勝敗が決定するタイプのデッキであった。《黒MM》は予選で1回あたるかどうかと予想してはいたが、《炎MM》は少なくとも1回、もしかしたら2回対戦してもおかしくないデッキと考えており、予選で1敗した時点で半数が決勝トーナメント進出出来なくなるCL愛知のルールには向かないデッキと判断した。故に使用を見送った。


Ⅱ.【連撃ウーラオス】1 

 しっぷうづきとキョダイレンゲキのうち各ターンで適している方を打ち続ける、ということを目的として作成した。その途中《オクタン》は毎ターン《連撃エネルギー》か《連撃ウーラオスVmax》を担保してくれるとはいえ、《テッポウオ》を用意しておかなければ点が気になり、抜くことになった。その分《デデンネGX》《クロバットV》《博士の研究》《マリィ》を十分な枚数採用することで、縦引きによる再現性の向上を目指した。

 《望遠スコープ》は採用しないには惜しいカードではあるが《連撃ウーラオスVmax》に《ふうせん》を貼りたい場合もあり、複数枚採用して使いきれるとは考えられなかった。しかしながら現物の枚数を増やせないからと言ってサーチできるカードも《グズマ&ハラ》程度しかなく、そこまで相性のいいカードとも思えなかった。そのため《望遠スコープ》を1枚採用した上で他のベンチ狙撃打点向上カードを採用する必要を感じた。

 ベンチ狙撃打点向上カードとして《ジグザグマ》を採用したところ、《ジグザグマ》と相性のいい《回収ネット》が自然と採用された。また、さらに《回収ネット》を利用したギミックとして《ヤレユータン》+《ミュウツー》の実質バトルサーチャーパッケージが搭載された。《回収ネット》の採用はバトル場の《連撃ウーラオスVmax》がベンチに下がり再びバトル場に出るというしっぷうづき連打の動きの助けにもなった。

 このリストの評価として、絶対に無理なマッチアップは【炎MM】と【ドラパルト】が非常に厳しく感じた。弱点は《ジラーチGX》でカバーできるものの、【炎MM】の追加効果ありミラクルツインGXはそれだけで勝負を決める力があり、【ドラパルト】は2回の攻撃で《ドラパルトVmax》を倒せない点が致命的であった。【ADPZ】の評価で述べた通り【炎MM】に不利な点は見過ごせなかったため使用を見送った。


Ⅲ.【連撃ウーラオス】2

 《ミミッキュ》と《インテレオン》によって不利な【炎MM】を何とかしようということを軸に構築した。

 《メッソン》着地後の《レベルボール》が《ジメレオン》を通じて全てのトレーナーズに化けるのは他のデッキにはない魅力と感じ、《レベルボール》を上限枚数投入した。

 《ジメレオン》により実質任意のタイミングで任意のトレーナーズをプレイできる点を評価し、《ミミッキュ》《ミュウ》《ジラーチGX》の再利用が可能になる《ふつうのつりざお》、《博士の研究》でトラッシュしたくないポケモンの巻き込みを防ぐ《ポケモン通信》を1枚ずつ採用した。

 《溶接工》のように毎ターン打ちたいサポートがあるわけでもないデッキには《ボスの指令》を3枚以上採用するべきと考えていた。しかし、前述の通り任意のタイミングでプレイできることを考えると、採用枚数=ゲーム中に使用する枚数でも問題ないと感じ、《ボスの指令》を2枚採用とした。

 《インテレオン》を採用した【連撃ウーラオス】はキョダイレンゲキを強く使うことに重点を置いたものが多い。しかし、殴り始めやキョダイレンゲキを使った次のターンに強い技を打てないのは構築上の欠陥であるから《ポケモンいれかえ》《ふうせん》《みずのとう》を不足なく採用した。これは【連撃ウーラオス】全般に言えることだが、2回以上の攻撃で相手のポケモンをきぜつさせることが多い都合上《あなぬけのひも》は効果的に使えないものとし、不採用となった。

 評価として、【炎MM】への対抗策を仕込んだつもりではあったが追加効果がついたミラクルツインGXが強すぎてそもそも【連撃ウーラオスVmax】である以上どうあがいても勝てないカードデザイン上の欠陥を感じた。そのため不採用となった。


Ⅳ. 【炎MM】

 Vmaxを主体としたデッキは先殴りに弱いことから、後1からVmaxを2回の攻撃で倒せるような技を打ちに行くことを目的とした。採用されているカードは世に出回っている極めて一般的なものとさほど変わりは無い。

 このデッキは《ガラルサンダーV》の採用により【ムゲンダイナ】も微不利程度までは勝率を向上させることができ、大きく不利を取るのは【ジュナイパー】【黒MM】だけと考えた。


Ⅰ~Ⅳのリストを上記のような内容で検討した結果、Ⅳの【炎MM】をベースに使用デッキを構築することに決定した。



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