見出し画像

あのね。

「私たちは否定するのではなく、とにかくお話を聞かせてもらう。相談しようと思った、相談しに来た行為は、尊いものだと思うからだ。」

これは岡山で障がい児の保護者支援をされているNPO法人ペアレント・サポートすてっぷ理事長の安藤希代子さんの言葉だ。

安藤さんは、うさぎカフェという場所を通して、「保護者の居場所」づくりに取り組まれている。

***

困っていること。悩んでいること。少しモヤモヤしたこと。毎日の生活の中で感じる違和感。そんな気持ちを周りの人に渡すとき、私は沢山のエネルギーを使っているように思う。

「こんな小さなこと話してもいいのかな。」
「友だちの負担になってしまうかな。」
「今のタイミングじゃなくてもいいんじゃないかな。」
「嫌われちゃうかも。」他にも沢山。

色んな気持ちがあって、それでも一人でどうしようもできない。
そんなときに初めて「助けて」と私は言っているように思う。

自分の奥深くにある感情を渡せるのは、「この人だったらきっと、きっと大丈夫。」と信じることができたとき。それから自分の気持ちを恐る恐る差し出している。それくらい、慎重に、慎重に、誰に自分の気持ちを渡せるかを私は懸命に考えているように思う。

「この人なら自分の気持ちを受けとめてくれるかも。」
そう思えたとき、初めて勇気をふりしぼって「あのね」と相手に自分の気持ちを渡している。

そんな中、
「あなたも悪かったんじゃない?」
「なんでこうしなかったの?○○すべきだよ」
「そんなこと考えず、楽しくやっていこうよ」
「そんなこと気にしなくてもいいよ」
と自分の気持ちを渡した相手に言われてしまったらどうだろう?

蕾のようにゆっくり、ゆっくりと、開きかけていた心が、そこまでかけた時間をまるで忘れてしまったかのようなスピードで、一瞬で閉じてしまう。そして、私たちはまた言葉を閉ざしてしまう。心の扉に鍵をかけてしまう。

だからこそ、安藤さんがお話しされた言葉は私にとって、一つの、でも、とてつもなく大きな希望なのだ。

それは、この世の中に、自分の気持ちを安心して渡せる人がいるということを、うさぎカフェという場所が、その場にいてくれるスタッフの皆さんが証明してくれているからだ。

たとえ言葉として相手に自分の思いを渡せなかったとしても、その場にいてもいい。カフェでご飯を食べるという目的でここに来てもいい。でも、いつでも話したいと思ったときには話してもいい。そんなもしものときの“ボタン”を私たち一人ひとりに渡してくれる。

そんなうさぎカフェという場を、ずっと守ってきてくださったスタッフの皆さんに、心からの感謝の気持ちが届きますように。

自分の気持ちを安心して相手にゆだねてみようと信じることができる場所、それがうさぎカフェなのだ。

***

安藤希代子さんのご著書はこちらです。

うさぎカフェでいただけたご飯、すごく美味しかったです。歓迎して迎えてくださってありがとうございます。うさぎカフェのお話を、そして安藤さんのお気持ちをお聞かせくださり、とても嬉しかったことを鮮明に覚えています^^

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?