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ミュージカル「ローマの休日」

幕が閉じたあと、なんて清らかな作品なんだろうか、、とこちらの心も浄化されたような、そんな作品でした。

一歩間違えたらアン王女のようなヒロインは好きになれないキャラクターになり得るけど、素直にアン王女を応援できたのは、彼女がきちんとジョーやアーヴィンと過ごす「ローマの休日」を「今日だけの特別な日」として弁えていたこと。

王女という役目から逃げたいわけではなく、作品タイトルの通り、彼女にとってあくまでも「休日」であった。そこがアン王女のなかで最初から最後まで貫かれていたところが良かったかな。ここがブレて、ジョーと駆け落ちしちゃったり、この人と結婚する!!っていうオチだったら、この作品で感じたピュアな気持ちはなくなってしまっただろう。お互い好き同士であると気づいても、きちんとけじめをつけて元に戻っていくからこそ、この「ローマの休日」の物語が美しい所以だと思った。

たった1日だけど、その1日でこれまで夢見ていた小さな幸せを叶えることができたアン王女と、アン王女の、ピュアで汚れを知らない美しい心に、彼女を利用しようとしていたジョーの心が変わっていく様がよかった。

きっと二人の未来は明るいなあと思わせてくれるから、切ないけど、ハッピーエンドだなあって。

アン王女を演じたのは土屋太鳳ちゃん。

誰からも愛され、そして愛し、真っ直ぐに育ってきたアン王女として、説得力がすごかった。チャーミング、という言葉がピッタリなアン王女だったな。

この作品からはとにかくピュアさを感じたんだけど、そのピュア度は確実にたおちゃんが引き上げていたと思う。

ローマの休日を経たアン王女の成長と自覚の違いが、最初と最後はっきり現れていたのもよかったなぁ。。最初に登場したときと、最後の記者会見の場面では顔つきが違うの。

唯一頑張れーって思ったのは歌。歌になると、音程を当てることに意識がいっちゃっている気がして、気持ちがのっていないように感じたのね。歌以外はとっても良かっただけに、ここは本当にもやもやしてしまった。

ただ、これからもまた舞台で観てみたいなあと思ったので、これからに期待です。

ジョーは平方元基くん。

ラストの泣いてるような笑顔にグッときた。げんきくんの切ない芝居好きです。。

アン王女にある一言を言われて、自分がしようとしていたこと(彼女を利用してお金儲けしていたこと)を改めて、そこから変わっていくところがよかったな。

きっとジョーは仕事への向き合い方とか、自分への向き合い方も変わってゆくのではないだろうか。。。

ここからは頭の悪い感想だけれども、スーツが似合いすぎている。。

スタイルが素晴らしすぎる〜。ネクタイゆるゆるな胸元も色気があって大変よかったです。。

アーヴィンは藤森慎吾さん。

あなた役者さんでしたっけ?!ってくらい、うまくてびっくりした。

間の取り方や軽さがちょうど良くって。

アーヴィンのキャラクターが、藤森さんのパブリックイメージと相違ない役だから尚更(?!)はまり役で、もっと違和感あるのかななんておもっていたけど、

本当に良くて、また別の役でも観たい!って思った。

豪華な舞台装置を見るのも久しぶりでわくわくしたな。

特にアン王女が大使館から飛び出すところは、自分も一緒に飛び出していくような感覚になった。

ここのところ、少人数の作品かコンサートが多かったので、アンサンブルさんもたくさんいて、場面転換も多い作品自体半年以上ぶりで。この日は客席も前後左右空いた状態ではなく、これまでと同じように隣にも人がいる状態だったので、少しずつ元に戻ってきたなあという感じ。ちょっとずつ、前のように安心して作品を見られるようになっていくといいなあ。

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