「せとうち中高生のための教育ミライ会議」開催しました!
2024年8月11日〜12日に、香川県高松市常磐町のコワーキングスペースBricを会場に、濱川学院さんのご支援のもと中高生を対象とした2日間のサマープログラムを開催しました。
夏休みの真っ只中、午前10時前に続々と中高生たちが集まってきました。みんな緊張した表情で、不安そうに席に座ります。主に高松市内の高校に通う高校1〜3年生たちです。中には、坂出や丸亀、三木の高校生や遠く愛媛県西条市から中学3年生が泊まりがけでやってきました。
最初に主催団体であるNPO法人みんなの進路委員会の谷村代表から挨拶があったあと、大学生・社会人メンターの3人によるチーム分けのためのワークがありました。
朝起きた順番などのお題を、直接的な時間の表現を避けながら協力して時間以内に列を作ります。最初はおどおどしていた高校生たちですが、ワークを通してだんだん馴染んでいきました。できた列を元に3つのチームを作り、今度はチームメンバーどうしの自己紹介を行います。共通点を見つけて盛り上がったり、気になる一面を見つけて驚いたり。チームメンバーの距離が少しずつ近くなっていきます。
昼食は、ちょうど南海トラフ地震注意情報が出ていることもあり、利用期限が迫った防災食をみんなで食べました。香川県のとある企業で備蓄されていたもので、従来のあまり美味しくないイメージの防災食と異なり、火などを使わずに温かい牛丼や中華丼などが食べれるという革命的なものです。蒸気が出るとわいわい盛り上がりながらみんなで仲良く食べました。
教育格差をテーマに取り組む若者から現場のリアルを知る
午後は、実際に教育格差をテーマに取り組む若者から、「どんな課題に取り組んでいるのか?」「どんな現実があるのか?」などの話を聞きました。
1人目は、主催団体であるNPO法人みんなの進路委員会の谷村さんです。香川県出身の30歳で、大学進学を機に上京して以降、自身が感じた地域間の教育格差、留学や海外大学進学などのとりわけグローバルな体験の格差に着目した活動をしています。四国地方の中高で行う出前授業やオンラインコミュニティなどの取り組みについて、四国地方の高校生の留学率や海外進学者の少なさなどを紹介しました。また、メンバーで現在シドニー工科大学の大学院生である丸山優果さんがオンラインでオーストラリアから参加し、生まれつき耳が聞こえない状況から様々な壁を乗り越えてオーストラリアの大学へ進学した体験談を話しました。
2人目は、一般社団法人HASSYADAI socialの森本さんです。全国の児童養護施設や少年院などをまわり、「それでも人生は選べる」というメッセージを伝え続けています。森本さんも香川県出身の25歳。ご自身の小学校教員になるまでとその後現職に移るまでのストーリーを通して、人生を自由に選べなかった子どもたちと寄り添う日々と思いを話しました。
社会課題へのアプローチを考える
現場のリアルについて学んだ後、3チームの中高生たちは自分たちが当事者として直面している教育格差について振り返り、どんな機会や仕組みなどがあればいいか考え始めました。
ある程度考えた後、ヒントとして世界80の街でゴミ拾いを行うNPO法人greenbirdの谷村さんより、グリーンバードが取り組むゴミ拾い×◯◯という社会課題アプローチの紹介がありました。関心の低い人々を巻き込む切り口に驚いたり、実際にゴミ拾いに参加したいと考えたりする生徒たちが多かったです。
その後、夜20時まで各チームは自分たちの考えをまとめました。途中、実際にビジネスの世界で事業開発や起業を経験された全日本空輸株式会社の中野さんとラク育の奥山さんから、中高生たちは鋭く本質をつくフィードバックを受けました。中には20時以降も自主的に議論を重ねるチームも。長い一日が終わりました。
2日目は11時からでしたが、9時くらいから続々と中高生たちは集まり、自主的に議論をスタートしていました。11時には全日本空輸株式会社の中野さんから、プレゼンテーションについての講習があり、スライド作成や発表の際の注意点や工夫するポイントについて学びました。
その後は14時からの発表に向けてラストスパート。中高生たちは直前までやばいやばいといいながら必死で考えを練り上げています。お昼ご飯のピザに少しテンションが上がりましたが、「やばいまだ終わってない!」とすぐに作業に戻る中高生たち。スタッフたちは、「本当に間に合うかなぁ」と逆に心配に…。
さあ運命の発表会です。聞き手として、濱川学院の濱川先生、たかまつ讃岐てらす財団の大美さん、高松南部3町商店街プロジェクトの星野さんが会場に到着し、一気に緊張感が増します。
緊迫の発表会。その結果は…
トップバッターはチーム「すむぅ爺」のみなさん。親の言いなりになってしまい、自分の意思で進路を選べないことに苦しむ友人がきっかけとなり、親や先生とは違う大人たちと安心して出会うことができる家庭や学校とは異なるサードプレイスを作るというアイデアでした。
2番目の発表は、チーム「未定」のみなさん。子どもの意思や思いを親や先生といった大人に伝えることが難しく、大人の強い影響のもと人生を歩んでいく現状に対する課題意識から、大人に対する子どもからの本音の手紙を募集し、商店街などで掲示するキャンペーンを企画しました。
ラストを飾るのは、チーム「ポケモンGOGOGO」のみなさん。このプログラムのように学校や地域を超えて中高生が交流できる機会をもっと増やしたいというアイデアです。こだわったのは、単なる交流の呼びかけではなく、K-Popなど好きなことや興味あることを呼び水にして、参加のハードルを下げ、より多くの人が関われる仕組みを目指した点です。
いずれのチームの発表も、まさに自身の体験から生まれた自分の言葉が紡がれていて、力強く、心を動かすものでした。聞き手の大人たちも、想像をはるかに超える発表に感激し、もし実現を目指してアクションする場合は全力でサポートすることを確約していました。
その後、有志7人が発表したプランを実現させたいということで自主的に集まり、秋ごろにゴール設定をして企画準備を始めています。中には、今回出会った仲間と考えたアイデアで起業をすると決意した参加者も。今後の活躍に目が離せません。
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