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「アンパンマン」はディープで重いテーマをライトに見せる凄いアニメ。

2歳はちょうど「アンパンマン」に目覚める時期。
ママ友と話してても、いつの間にやら、どこからともなくアンパンマンが生活に侵入してきたと聞きます。

家で見せたこともないのに突然、アンパンマンが見たいと言いだしたり、歌を歌ったり。

保育園から持ち帰ってくるようですが、いつの時代もアンパンマンは子どもの心を掴んで離さない存在のようです。

とはいえ、幼児アニメは他にも沢山あります。
今だと「はなかっぱ」が市民権を持っているし、「トーマス」もテッパン。
「しまじろう」もamazonプライムで無料で見られるのでうちの子も大好きです。

でも、これら「ほかの作品」を見てみると、アンパンマンが異色なことに気づきます。

なんというか、アンパンマンはディープで重いテーマをライトに見せている作品なんですよね。

可愛いキャラクターたち、悪さをした「ばいきんまん」をアンパンチで退治するお決まりの流れ。
さらっと観るとどこにでもある幼児向けアニメ、なんだけど

私が最初に「あ」と思ったのは「アンパンマン音頭」という歌を聴いたとき。

盆踊りでよく流れる歌なのですが、歌詞の中に「ひもじい人を救うため、空の果てまで飛んでいく」という歌詞があるんです。
ひもじい、って今の時代にまず使わない表現ですよね。

「お腹が空いた」ってより、妙に生々しい印象を待つのは私だけだろうか。

そういえばと思い出したのが、作者のやなせたかしさんは戦争を経験しているということ。

アンパンマンは飢えた子どもにパンを配る物語が原点なんです。

正義を理由に街を壊すヒーローでなく、空腹でさみしい時に寄り添って満たしてくれる異色のヒーロー、アンパンマン。

今の時代は食べるに困ることがないから、「お腹が空いた」というのはすごく可愛い次元の困難だけれど、日本では昔はそれが死に直結してたんですよね。
お腹が空いても食べられない。
食べられないから生きていけない。

そんな子どもたちを救うことが、やなせたかしさんにとって確かな正義だったんですよね。

アンパンマンの自分の顔を分け与える行為は、ヘンテコでかっこ悪い。
それに顔が欠けると弱くなるからリスクなんだけど、それでもお腹が空いて泣いてる子がいたら、アンパンマンは笑顔で差し出すわけです。
「ぼくのかおをお食べ」って。

なんて地味で優しい正義だろう。

そもそもアンパンマンはご飯を食べないんですよね。だから、「自分が飢えて死ぬかもしれないけれど、少ない食料を分け与える」というより「顔が欠けることで力が弱くなるけれど、それでも分け与える」ってスタンスなんです。

これは実社会でも同じ。
誰かを助けるとき、時間なのか、労力なのか、金銭なのか、どこかに負担はあるもの。
でも、それを差し引いてでも目の前の人を笑顔にしたい。

少しの負担は良しとして、見返りを一切求めず人に貢献することは、自己犠牲というより「愛」なんじゃないかなと思います。

すごいなー。
あらゆる幼児アニメが直接的な表現や言葉で「人を大切にすること」を訴える中で、アンパンマンは、この『顔を分け与える表現』で間接的に訴えているんですよね

よく、アンパンマンは海外だと人食に受け取られて気持ち悪がられるとか、暴力(アンパンチ)で解決するなんて野蛮だとか、そういう意見も見かけるのですが、そういう否定的な人はやなせたかしの背景や日本人の道徳という視点で見てみると良いと思います。

最近は「ばいきんまん」が悪さをして退治されるだけでなく、フランケンロボくんの回だとパパとしての情をチラつかせていたり、自分を怖がらない友好的なキャラクターには悪さをしきれず、ツンデレで帰っていったり、「対峙」だけでない「和解」という着地をする回もあります。

これも、無理に「ばいきんまん」の個性を変えず、他のキャラクターの対応によってポジションの変わる感じが、深くて凄いなーと感心しきりです。

キャラクターありきの幼児教育を疑問視する声もあるけれど、私はアンパンマンだけは日本人に生まれたからには見せてあげてほしいなと思ったりします。

歌もそうですが、すごく哲学的な要素も強い上に日本が生んだ日本人らしい幼児アニメだと思うのです。

アンパンマンを見てると、色んなキャラクターが自分たちの美味しいご飯を町の人たちに食べさせようと旅をしてやってくるのです。

常に「お腹いっぱいの幸せ」をテーマにしていて、その一貫した姿勢に感動します。

そんな私は子どもの頃の夢が「アンパンマンになること」でした。

あの頃は親に爆笑されたけど、大人になった今は「アンパンマンのような人になりたいな」と思ったりします😌

一周回って別の意味を持って戻ってきた感じですね。笑

そして保育園の夏祭りに向けてこっそり、アンパンマン音頭をマスターしたのはここだけの話ですw

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