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囲碁と将棋の違い

三村九段のミム囲碁ラジオ第45回:

今回は囲碁と将棋の違いの話をします。囲碁は「打つ」と言いますが、将棋は「指す」と言います。これはよく間違える方が多く、囲碁を「指します」とか、将棋を「打ちます」と言うことがあります。私は将棋側の人間ではないので経験はありませんが、もしかすると将棋を「打つ」という人もいるかもしれません。囲碁を「指す」ということは本当によく言われるので、今回これを聞いた方はこれだけでも覚えておいてください。囲碁は「打つ」、将棋は「指す」です。

この放送はプロ棋士40年、囲碁サロンと子供囲碁道場を運営する三村智保が囲碁の情報をサクッとお伝えします。

将棋にはまずキャラクターがあるということが大きいです。歩とか金とか銀とか種類があり、コマにそれぞれ動き方が違い、動ける範囲が違います。見た目の大きさも違ったりして、歩と角の違いも見たらすごく分かりやすいです。しかもコマの形は頭が尖っていますから、進む方向も分かりやすいです。だからキャラクターと方向性がすぐ見たら分かるということで、将棋はそのコマたちを使って王様を守りながら相手の王様を攻めるということをやるゲームです。

囲碁の場合は、石は丸くて尖っている場所がないので方向が分かりません。また、役割もありません。全部同じです。だから見ても何をやっているのか感じられない、分かりにくいと言われてしまう部分です。

囲碁というのは陣地が多い方が勝つゲームです。数字で争います。例えば選挙だと相手よりも1票でも多く取れば勝ちです。それに似ています。また、無人島に行って2つのチームが土地を囲い合う、杭を打ってロープを張って大きい方が勝つ、相手の方が大きいと見れば中でまた囲いを作ったりとか、そういう境界線での争いです。そこでは戦争というものが起きます。

将棋もコマがぶつかり合って取ったり取られたりして、最終的には王様を倒すことができたら勝ち、そこで終わります。囲碁は囲いを完成させて最後にそれを数えて何対何、どちらの勝ちかということをやって勝負が決まります。陣地取りゲームと王様を殺すゲーム、簡単に言えばそういうことです。

将棋の方がやはり見ていて分かりやすいという人が多いです。これは最大の特徴だと思います。
囲碁の方は、ある程度囲碁が分かるようにならないと見て分からないという特徴があります。ここを解決するために私たちが今努力しなければいけないと思っているところです。

ここはどうしたらいいのかというと、石にはキャラクターがないので方向も分かりませんが、形、グループで説明するということです。それが私の書いた石の形の本です。石の形で囲碁を考えようということで、判断材料として石を一つでは判断できないので3つ4つできたこの集合を見てそれに名前を付けます。

囲碁用語はどうしても必要になってしまいますが、まずは2つ石があればその2つは「一間飛び」例えば「小目」「コスミ」とか、その基本的な囲碁用語を覚えると、その2つのグループとして碁盤を見ることができるようになります。またもっとたくさん並んでいる時の壁であるとか、少し曲がっている形で「アキ三角」とか、あとは4つ5つ狭いところに集まってしまっているのを団子とか言いますが、そういう囲碁用語をわかりやすく伝えて覚えてもらえると、グループとして見られるようになります。

私は普段テレビで解説をする時に、囲碁用語をなるべくあまり使わないようにします。一般的な言葉で説明した方が伝わりやすいと思ってるからなのですが、逆に囲碁用語をもっと前面に出していって定着した時には見て分かりやすくなる。ということはあるかもしれません。

もちろんそう簡単にはいきません。これは長く取り組まなければいけない課題です。

ということで今回は囲碁と将棋の違いをサクッと説明してみましたが、どうだったでしょうか。それではまた次の放送でお会いしましょう。
囲碁棋士の三村智保でした。

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