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最後のプロ試験を前にして師匠の藤沢秀行先生から掛けられた言葉

https://stand.fm/episodes/66f4e3efb0e01e3e8f9fce39

今回は初めて有料記事を試してみたいと思います。音声配信でもコンテンツの有料化をやってみると良いというアドバイスをいろんな方がしていて、今まで勇気が出なかったんですけども、今回はちょっとそれに向いている話かなと思います。

私がプロ棋士になる前、プロ試験を受けていた頃の、割とシリアスな体験談です。これは誰でも気楽に聞きたいと思うような話では無さそうで、ちょっと重い話でもあるので、有料にするのにちょうど良いかなと思いました。

それではいきます。大事な部分は私の師匠、藤沢秀行先生が、私が中々プロになれなかった頃にかけてくれた言葉、それがメインのお話になります。

私が院生になったのは13歳の時です。かなり遅かったんです。小学生で院生入りする人が多い中、プロを目指す決断がちょっと遅かったんですね。

13歳で院生になって、比較的クラスが順調に上がっていって14歳の時にAクラスに初めて上がったんですけども、その後大事な時期にAからトントンと2つクラスを連続で落としてしまって、プロ試験の予選にも出られなかったことがありました(当時は今と違ってプロ試験は年に1回)。

その時は私と年が近い森田道博九段とか、趙善津九段とか中小野田智己九段とか、みんなポンポンとプロ試験を通って棋士になって。
そして私は15歳の次の年もなれなくて、仲が良かった仲間がみんなプロになってプロの手合いに参加している中、自分はまだ院生で、みじめな思いをしていました。

その頃私は縁があって藤沢秀行先生の研究会に参加させて頂いていました。元々私が習っていた田岡敬一先生という方が観戦記者をされていて、藤沢先生とお知り合い。もし私の生徒がプロになった時は弟子にしてくださいという約束をしていたそうです。

それで森田道博君は13歳でプロになって、藤沢秀行門下になりました。その時私まだプロになってない院生なんですけども、なぜだか滑り込むように変な形で、本来ならプロしか参加できない研究会に参加させて頂いていました。

研究会のメンバーはすごくレベルが高くて、依田紀基さんとか小松英樹さんとか結城聡さんとか強い若手プロがいっぱいいて、それを秀行先生が講評して指導するわけです。

私がその頃、先生に碁を見ていただいた時に、思いもしないことを言われました。40年経った今でもよく覚えています。

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