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囲碁のプロ試験のしくみ


三村九段のミム囲碁ラジオ第51回

今回は囲碁のプロ棋士になるためのプロ試験についてサクッと解説をします。この放送はプロ棋士40年、囲碁サロンと子供囲碁道場を運営する三村智保が囲碁情報をお伝えする番組です。

プロ棋士になりたいと思った時には院生になる必要があります。院生というのは日本棋院、関西棋院、2つあるプロ棋士の団体の生徒という意味合いですね。院の生徒で院生です。

これは14歳までしかなることができません。14歳を過ぎてしまうと入会することができない。職業としてプロになっても、ある程度低年齢の時にレベルに達しないと優勝争いするような選手にはなれないということで、いつまでも大人になってもずっとプロ試験を追いかけていって、それでもしダメだったら後で困ったことになりますから、年齢制限を厳しく設定してある程度年齢が若いうちだったら入れるという風になっています。

14歳過ぎたら院生にはなれない、17歳過ぎると院生を退会することになります。日本棋院と関西棋院がまず2つあるそして日本棋院の中は東京、関西、中部3つに分かれていきます。それぞれに院生のシステムがあります。

東京が一番大きいですね。現在の人数は40から50名ぐらいの院生がいてリーグ戦を行います。Aクラス10名、Bクラス10名、Cクラス10名、そして残りがDクラス。今4つのクラスでやっています。私が院生だった頃はA、B1、B2、C1、C2、D、Eクラスとたくさんありました。この頃院生が多かったんですね。

基本的には将棋の順位戦みたいな雰囲気で、B1とかC1とかC2とかというふうに分けています。毎月上位者が上のクラスに上がって下位のものは下に下がるということを行っています。対局は土曜日と日曜日、朝9時半から夕方4時半まで東京の院生たちはその時間枠で対局を行っています。

東京のプロ試験は年に2回あって、C、5、6の3ヶ月の成績で1位になった1人がプロに採用されます。ジュニア枠で年齢制限での大会になりますけども、それ以上の年齢の人は外来試験というのを受けることができます。それに参加をして外来の中から4名が勝ち上がって、そしてBクラスの院生たちと一緒にまた予選を行って、その中から6名が勝ち上がります。その6名とAクラスの10名を合わせた16名で15局のリーグ戦を行って上位2名がプロになります。ということで東京からは年間通して3名、それ以外に推薦制度があります。

これは時々制度も変わるので難しいんですけども、現在は小学生の英才枠っていうのがあって、小学生でAクラスにいるとか、低年齢で上位に入っている子を推薦でとってしまうという制度があります。最近はでもそれで採用されている棋士というのはなかなか出ていません。

あとは女子だけのプロ試験があります。1月から女子の院生の中で予選を行って最終的に残った8名9名での総当たり戦で1位になった1人がプロになります。それ以外に女子の場合は推薦制度があって、院生のAクラスに5回在籍というぐらいの成績を上げた女子を、棋士たちが十分な強さがあると判断した場合に推薦されてプロ棋士になる制度があります。院生の年齢制限は男子も女子も同じ17歳までとなっています。

大阪の日本棋院の関西総本部、大阪での院生たちは現在10名ぐらいいると思います。こちらはちょっと制度が違って土曜と日曜の対局を行って年間の総合成績で1位になったものがプロになるという制度になっています。

中部の方がまたちょっと自信がないんですけど、おそらく東京と同じような制度になっているのではないかと思います。人数が少ないということで隔年採用ということで、今年は中部から1人選ばれ次の年は大阪から1人選ばれる交代番号で採用されるということになっています。

あとは関西棋院ですね。関西棋院はまた別団体で、こちらはこちらで院生というのがいて、これも時期によって違うと思います。少し前ですと15名とか20名ぐらい院生がいて、これは総当たり戦とかではなくて対局をしてレーティングを上げていって、段を上げていって、2級1級初段と成績規定の成績を上げると段が上がっていって、最後初段になるとプロになるという制度になっているそうです。だからこれは年間に何人までということは決まってない、規定の成績を上げれば何人でもプロになれるというところがあります。

ということで今回は日本のプロ棋士のプロになるための試験の制度について解説をしてみました。それではまた次の放送でお会いしましょう。囲碁棋士の三村智保でした。

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