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相撲日記1.5.12 夜は愛する

相撲日記と言いながら書けない日があることを不甲斐なく思っていたのだが、よくよく考えれば相撲日記は今場所始めたばかり。つまりまだ序ノ口なので7日間書けばいいのである。まったくなぜそのことに気付かなかったのか。いきなり関取気分とは太い野郎だ。

さて、夏場所も十二日目にして少しは固有名詞を書いていきたい。

中卒叩き上げの竜電が入門十三年目にして初の横綱戦かつの結びの一番。初金星とはならなかったが、着実に力をつけてここまで来たことを嬉しく思う。平成24年11月場所で関取に昇進したものの、股関節をケガして途中休場。以降、再起までに2年弱を要し、番付は序ノ口まで降格。

関取に復帰する平成28年11月まで丸4年を要した。それからはじわじわと番付を上げ、以前の自分を超える日々を過ごしている。平成30年11月場所には大関高安に初対戦で勝利。

初対戦とは書いたがそれは幕内における記録のことで、実はその9年前の平成21年7月場所において幕下時代に対戦があり、そのときは竜電が勝っている。9年経過しても2人とも20代であるところがミソで、いかにこの2人が当時の有望力士であったかを伺える記録と言えよう。

そして昨日は大関豪栄道に初勝利。上位陣に対しては、誰が相手でもワンチャンあるのでは?と思わせる地力がついてきたし、上位とフルで対戦して勝ち越せるかはともかく、上位に何度も顔を出す常連になる予感は現時点で十分だ。

年齢は現在28歳だが、今時はうまく身体をケアしながら過ごせば35歳くらいまではのびしろを期待してもよい。相撲に対する理解が深まっていく中で、その理解に身体がついていけば30代半ばの全盛期は珍しいことではなくなってきた。これまでの遠回りの経験が今後に活きることに期待したい。

さて、もう1人だけ触れておきたい。自己最高位前頭7枚目の明生が、大関復帰をかける栃ノ心を一気の寄りで下し6連勝で勝ち越しを決めた。明生は相撲どころ奄美大島出身の中卒叩き上げ。身体は小さい部類に入るが、私は関取に上がる前からプロ向きの勝負度胸に注目していた。

初の三役戦となる対栃ノ心戦でその持ち味を発揮したことも素晴らしいが、場所前の春巡業では、三十代に混ざってよく稽古していたらしく、その成果をすぐに見せたことにも感動した。

上位の若手力士は、自分の形にハメれば一つの好機で相手を仕留めるだけのパワーがある。そして、そのパワーを土俵の中での稽古でつけたかというと、そうとも言えないのが最近の稽古量減少の一因だろう。若手力士にとって、土俵の中での稽古は、自分が思う形にハメられる程度に身体が動くことを確認する場、端的に言って調整という位置づけのようである。

そして本場所の対戦では、自分の形に持ち込むための作戦の読み合いになる。似たようなトレーニング内容なので実力差が急に開くこともなく、作戦がハマるかハマらないかで勝ったり負けたりを繰り返しているように思う。

経験者ではないので感覚がわからないのだが、実戦稽古は「考える前に身体が勝手に動く」状態を作るためにするものだと理解してきた。

明生は場所前熱心に稽古したことによって、今そのようなゾーンに入れているのではないだろうか。今すぐ三賞をあげるべきである。8勝でもいい

ちなみに優勝争いトップを走る朝乃山も、明生に次いでよく稽古していたようだ。足首のケガなどで伸び悩んではいたが、この人も惚れ惚れするような大器だ。貴景勝が休場となった際「俺も休場する」と言った解説者がいたそうだが、見渡せば見所だらけなのである。

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