2022年 年始の戯言 大相撲とは別のプロ相撲リーグが欲しい

2021年は相撲界にとってまさに変動の年であった。

不世出の大横綱白鵬の引退、そして私が子供の頃に応援していた元関脇逆鉾の愛弟子、井筒相撲の正統後継者にして、それを最も高度に体現した横綱鶴竜の引退。

対をなすように、大関から序二段に陥落した照ノ富士が、1月場所の時点で関脇に戻り、7月場所後に横綱に昇進。年4場所を制し、年間77勝13敗で年間最多勝を獲得。1場所およそ13勝2敗ペースの堂々たる成績で、照ノ富士時代を印象付けた。

一方で、私自身はこの1年で大相撲への関心が急激に減退してしまった。

1986年に寺尾をきっかけに相撲が好きになり、2002年に寺尾が引退。2003年に幕下時代の白鵬に目を付け、自分が目を付けた力士が大横綱に成長するという相撲ファンなら誰もが憧れるクエストを100点満点中、1800点くらいで達成してしまったのは理由の一つだろう。「私にとって」これ以上のクエストがあまり思い浮かばない(関係者とお近づきになる、とかは私の中で別ジャンルの範疇だ)強いて言えば、同世代の力士が親方になって弟子を育てていく姿を見たいが、好きな親方の弟子なら全員を応援するかと言えば、そうではないことがすでに私の中で証明済だ。

白鵬を追いかけながら、彼への批判の声を聞くにつけ、私はそもそも「大相撲」がそんなに好きではないのかもしれない、という結論に達した。私が「大相撲」の中で好きなのは「年六場所制」と「番付」くらいで、その他の部分に妙味を感じることもなくはないが、どちらかと言えば「そういう世界だから」と、子供の頃に特に何も考えず、発達した右脳で受容した部分が大半だ。

相撲は好きだが、大相撲はちょっと…という観点は競技者にとってはより重要な問題で、角界の特殊性ゆえに実力がありながらプロの世界に進まないアマチュア選手は大勢いる。

大相撲とは別の、21世紀のニーズ、テクノロジー、社会規範に支えられた、もう一つのプロ相撲リーグがあれば、相撲を続けたいアマ選手に新たな選択肢ができる。また、相撲部屋の外国人枠や、文化の壁の問題で、入門が困難な外国人にも機会が開けることになり、ワールドワイドな意味でも相撲の発展に繋がるのでは、と夢想山している。

もちろん最悪の場合、大相撲、プロ相撲リーグ、両者が足を引っ張って共倒れになることもありうるが…とはいえ、アクションを起こさぬことには「相撲」にとって危機的な状況が迫っている。娯楽の選択肢が少なく、「とりあえず大相撲」を見る習慣があった高齢者が、もう10年、20年同じように支えてくれるワケではない。

新しいプロ相撲リーグの魅力は「理念」から組織を一から構築できることだ。たとえば大相撲の世界において、なぜ幕内は42名なのか、十両は28名なのか、年寄株は105なのか、を明確に説明できる人はいないと思う。歴史的変遷を説明することはできても、現在に生きる様式として妥当性を理由に変更を加えることは容易ではない。(一方で、この不明瞭さに魅力があるのもたしかなので、大相撲はプロ相撲リーグと共存が可能と考える)

反面、プロ相撲リーグはその在り方に説明ができ、説明ができないものは淘汰される。つまりファン(それは、他のスポーツや娯楽をも楽しむ一個人)に寄り添った世界を一から構築できるということなのだ。

また、勝負判定や立ち合いなど、最新のテクノロジーを導入して限りなく「あいまい」をなくすことが可能であり、土俵の素材、広さ、高さ、まわしのきつさのテンションに至るまで、安全とエンタメ性を第一にした改良が可能だ(たぶん)。

また、両国一極集中(笑)あるいは大都市一極集中の中央集権的?大相撲の世界から、各地方に相撲チームを作って地方分権的?な相撲人気を開拓できると思う。幸い、日本各地には「相撲どころ」が存在するし、あるいは地方に強豪私立校が存在するので、他のマイナースポーツに比べて全国各地に強固な下地があると言って差し支えないと思う。

また、大相撲はスポーツではない、と言い切った現役力士もいるが、大相撲には非スポーツの魅力を存分に現代に届けてもらい、プロ相撲リーグは完全にプロスポーツとして契約社会の上で運営していく。

実際、ここまで書いた中でプロ相撲リーグに魅力を感じる相撲ファンはそう多くはないと思う。だから、プロ相撲リーグができたからと言って、大相撲の人気を食うとは私は思わないし、私自身が大相撲を完全に見なくなるかといえばそんなこともないだろう。

私がそもそもこのようなプロ相撲リーグの発想に至ったのは、嫁(実在)の影響で最近Bリーグを見るようになったからだ。バスケットボールは5人で試合が成立するため、比較的少人数でチームを運営することができる。1チームの登録選手は13,4名ほどで、プロ野球に慣れ親しんだ私には脳髄に電撃が走るほどの人数の少なさだ。

相撲は、そもそもが個人競技であるし、国体成年の団体戦は3人1チームだし、一般的に団体戦は5人で行われることが多い。7人制や9人制の団体戦もあるようだが、戦隊ヒーローやSMAP、嵐などが5人で長続きしたことを考えると、日本人には5人制が最も馴染むと思う(笑)

5人の団体戦を軸にチームを構築するとすれば、1チームの登録人数は7人~10人程度で済むし、Bリーグに倣って、外国人を2名、帰化選手を1名登録できるようにすればよいと思う。

プロ相撲リーグのメインストリームは「団体戦」を想定している。相対する2チームだけだと興行的に難しそうなので、4チームを一箇所に集めて、1日で3チームと総当たりにしたらよいと思う。

個人の技量審査については年2場所?程度行って、選手個人の評価を高めたり、各チームの実力均衡の判断基準になればよいと思う。

プロ相撲リーグから、日本人なら誰もが知っているクラスの選手を2人輩出したい。大谷翔平とはいかないまでも、田中マーくんクラスの(いなければとにかく推す)

個人TOP8で総当たりのリーグを作り、ここに出場する選手は日本人の半数の知名度を持つように「頑張る」あるいは、国内マーケットにはある程度見切りをつけて、海外からの支持を得られるように動くのが正解かもしれない。

妄想だけが進むが、すでに実業団チームがある場合にプロ化は困難を極めるようで、相撲も例外ではないだろう。しかし、アマ相撲界で絶対的な影響力を持つT中にメスが入ったことは、クリーンな?プロ相撲リーグ構築に向けては追い風だと思う。

ここに書ききれない夢想や問題点は多々あるが(そもそもコロナが明けないと話にもならない)しがらみを乗り越えたBリーグは素人目にも面白く、今の時代「好きなことをしてとりあえず年収300万」は相撲競技者の一部に希望をもたらすのではないだろうか?

2022年、私の移り行く興味に大相撲は生き残れるのか?楽しみにしている


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