物語の主人公

私が他所へ異動が決まった時に、花向けの言葉を色紙に書いて渡してくれた相勤者がいました。

定年も間際な方で、たった半年間だけ一緒に交番のペアを組んでいただけだったけれど、私みたいな若いペーペーにこんなことをしてくれるなんて!と驚きでした。

贈って頂いた言葉は、「人生みな物語の主人公であれ」という言葉。

若いころから読書家だったそうなので、何となくその方に似合った感じの言葉でした。

「自分は自分の人生の主役なのだから、それなりに自分にとって正しい道を選びとって進んでいくのだ!」という考えだそうです。

警察っぽい視点から見ると、人道に外れることはするな、とも取れますね。

そういえば不祥事を起こしたという人の話題でも、「物語の主人公なわけだから、そんな道に外れたことをするわけないのに、どうしてなのかな」と口にすることもある方でした。

色んな解釈があるかもしれませんが、私はこの言葉を頂いて、そうか、朝ドラのヒロインとして生きよう!と思いましたよ(笑)

今思い返せば、学校卒業後に配属された場所は同じ県内だとしても第二のふるさとだし、その後の異動になった数々の配属先もたくさんの思い入れがある大事なところ。

事情があって仕事は辞めてしまったけれども、今も子育てをしながら、警察官時代という荒波にもまれた中で成長させてもらい、この経験が世の中の役に立てるよう、別のところで進んでいるところです。

そんな風に推し進めてもらっていたのは、何よりも行く先々で出会った人たちからの影響でした。

その場所その場所で、たくさんの人たちの影響を受けながら自分の人生は紡がれていく。

そして逆もあってほしい。私も人にいい影響を与えられる人となりになりたいと思わされます。

警察官って、異動が多く、人との結びつきをあまり作らないイメージかもしれませんが、意外と人との縁を大事に思っている方は多いのですよ。

色紙をもらった時のような驚きを、何回か別の人で経験して、その度に感動し、胸にしまっていました。

異動で一回別れても、縁があって他の異動で再開し、「あの時は大変だったね」などと懐かしく言葉を交わしたりもしていました。

あの人はどうしてるかな、と一緒に働いた人のことを思い出すこともあります。

警察官は、体力的にも精神的にも大変な仕事の分、お互いを思いやって一生懸命働いています。

対、「人」の仕事だからこそ、人間力が磨かれていき、周りに素晴らしい人がたくさんいることに気づくときがあるでしょう。

人との出会いを大切にして、物語の主人公として恥じない生き方をしたいなぁと今でも思いながら過ごしています。

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