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宇宙ステーションと金星

ゆうべはとても美しい空だった
西の空に三日月(ほんとうは四日月、という言葉はあるかしら)と、とびきり輝く金星。幾つもの明るい星たち。その中に火星も見えていたらしい。夜の散歩をしながら、なんてきれいなんだろうと思った。

その夜の散歩の前に母から電話があった。何?ときくと、月といっしょに見えているのは宇宙ステーションではないか?という。
違うよあれは金星だよ。宇宙ステーションはもっと小さくてすぐに見えなくなってしまうでしょ?
そういっても母は納得しない。だってもう10分みてるけどあの光るものはどんどん動いてる。星がそんなにどんどん動く?と。
動くよ、あれは金星だよ、絶対。
そういって電話を切った。

そして散歩に出て歩きながら思い出す。母の近所の友人が少し前に亡くなったことを。母は、私が「今日は宇宙ステーションがみえるよ」と方角と時刻を教えるといつもその友人と宇宙ステーションを見ていた。
去年は私はちょっとした宇宙ステーションを見るブームで、母も宇宙ステーションを見ることをとても気に入っていた。嬉しくて周りの人に教えていた。その友人は母より若い人だったのに病気になって半年ほどであっというまに亡くなってしまった。
一人暮らしの母は昨日は一人で10分間、金星を見ていたのだろうな。
そう思いながら夜の散歩を続けた。

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