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川島直『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』河出書房新書

Amazonで注文したのだが届いた本の分厚いこと。ソフトカバーでちょうど400頁だ。アメリカ文学の話題がてんこ盛りで、その中でいきいきと描かれるジュリアン・バトラーとパートナーのジョージ・ジョン。アメリカ文学の巨匠の名前が入り乱れて、すべてがフィクション。

アメリカ文学に詳しい人なら事実とフィクションの混じり具合が超絶面白いことだろう。それほど詳しくないわたしでも充分に楽しかった。初めは『ブライズヘッド、ふたたび』のパロディのようにも見えた主人公の二人がやがていきいきと個性を発揮していく。長い小説だが、途中で犬が出てきて雰囲気が柔らかくなった気がする。最後の参考文献にはびっくりだった。実名っぽいものが多いけれどどこまで実名なのだろうかと調べたくなる(怠惰だから調べない)。出版社は河出書房新社の存在が断然、目立つ(笑)。こういう小説が日本で書かれたということが快挙。かつて「村上春樹の小説は日本らしさがないからダメ」なんて言った評論家はこの小説を読んでなんと言うんだろう。

風邪とそれにつづく腰痛で2日間寝込んでしまったときに読了した。通勤通学の電車で読むわけにはいかない分厚さだから、ベッドで読めたのはラッキーでした。

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