TOKYO MER 第3話レビュー 共に闘った者たちの絆に憧れる

回を増すごとにドラマの緊迫感がアップしていく。これはすごい。大体ドラマって、第1話だけスケールが大きかったりもするが、TOKYO MER は、3話になってもまったく手を抜かない。むしろ今回の第3話は、初めて通常の1時間におさめたに関わらず、刑事事件の現場のシーンが最初から最後まで続くドキドキ感で、まるでアクション映画。私はこの3話が一番興奮したかもしれない。

冒頭10分の間に、次々と展開が詰め込まれていく。

飲食店に拳銃を持って男が立てこもる事件が発生。犯人は店に住み込みで働く、女性従業員の元夫だ。元妻のかおりや店長などが刺され、警察が包囲する惨事になる。犯人は拳銃を発砲し、長女のひまりを人質にとり、かおりを連れてくるようにと要求する。その間ひまりの容態が急変。実はひまりは重度のⅠ型糖尿病で、いますぐ状況に応じて薬剤を投与しないと命が危ない。しかし、かおりはオペが終わったばかりの危険な状態で、すぐにMERから病院へ搬送しなければならない。焦る警察官たちと喜多見。MERチームの蔵前夏梅は、同じ母親の立場から、自分が犯人のもとへ行くと決心する。

今回は「鈴木亮平さん推し」を色々刺激してくれました。

相変わらず、ダメといわれるとスイッチが入る喜多見先生。笑顔で現場に突入し、SITに怒号を浴びせられながらも、すばやくトリアージを開始。かおりさんをお姫様だっこしながらMERカーへ走る姿は、まるでハリウッド映画の主演俳優のようで、はあ・・・ものすごくかっこいい。

そのとき、さっき喜多見に怒号を浴びせていたSITの隊長・新井が、走る喜多見の背後に手榴弾を投げて爆発させるというシーンもいい。犯人の目を撹乱して喜多見を援護するという展開で、一瞬なのだが、新井隊長の能力の高さを感じてすごく好き。

SIT隊長役は、杉良太郎さんの息子さん、山田純大さん。まさに今回は当たり役。山田さんは、2時間サスペンスなどでもおなじみの男前名バイプレイヤー。ガタイも亮平さんに負けずにかっこよく、鋭い目の演技がうまい。無骨な警察官役がよく似あうスタイルがほんとに素敵だ。ちなみに、「西郷どん」でも平岡円四郎役(徳川慶喜の第1の側近で非業の死を遂げる人)としてご出演だった。

鈴木亮平さんの外国のアクターのようなリアクションが最高

かおりを運んですぐ、MERカーに新井隊長が乗り込んできて、喜多見チーフの胸ぐらをつかみにくる。私はそのシーンが実に好きだ。

「貴様!死ぬつもりか!」

この時の喜多見チーフの姿をじっくり見て欲しい。両手を挙げるあのリアクション、捕まれた新井の手を見て、ふう~とする表情、やばい。あなた、外国の方ですか?何なのですか?その、色っぽさは。ああいうグローバルな演技が自然にできるのは、日本人俳優では鈴木亮平さんだけだ。

何度もそこをリピートしてうっとりしてたら、ふと、気が付いた。喜多見チーフって、アメリカ育ちだったよな。なぜだか私は、そこで全てが納得してしまった。喜多見幸太というキャラが、たまに海外ドラマの主人公のように見えるのは、鈴木亮平さんが持ち合わせる「ハンサムな紳士感」のだだ漏れなのだと今までは思っていたが、実は、外国文化で育ってきたという喜多見のキャラを鈴木亮平さんが落とし込んだ結果なのかもしれないと。実に細やかな役づくりだ。勝手に想像だが、鈴木亮平さんを俳優としてますます尊敬して愛おしく思ってしまった。

「悪いが、急いでます」

このせりふも、いい。それから、隊長の腕をガッとつかむところ。表現しにくいんだけど、鍛え上げられた腕と大胸筋がかもしだす男たちのすばやい力加減。喜多見のフッという息遣いもたまらない。2人の身長差も最高。

そこへ「オペの邪魔です!どいてください」と、夏梅さんが果敢に割り込んでくる。

「なんだと?こっちは命張って戦ってんだ。ひっこんでろ!」
と隊長。まるで、女は黙ってろ的な警察らしからぬ態度。しかし夏梅さんも負けていない。

「こっちも命張って戦ってるんです。出てってください!」

隊長を力づくで追い出す姿、まじでつよい。これが隊長さんと夏梅さんとの最初の絡みだったのですが、これが、あとでいいラストにつながる。

男たちの苦渋の表情がやばい

喜多見は、元妻の高輪にひまりのカルテを大至急で送るよう依頼する。担当医ではないと渋る高輪に「千晶しか頼めない」と急に呼び捨てに。緊迫した状況なのに、一瞬の隙で元夫感を出してくる喜多見チーフ。この人絶対にモテるよな・・・。命のためとはいえ、千晶呼びされたら、高輪先生も仕方ないなあってなるよな。

ひまりは、インスリン投与後に食事をとっていないため、低血糖で危険な状態だ。ブドウ糖を届けにいかなければならないのだが、犯人は非常に疑い深く、かおり以外は女の看護師しか受け付けない。

そこへ警察本庁?の理事官から新井隊長に無線が。現場のことも考えず警察の面子を守ろうとする会議室でのお偉い方のやりとりに、喜多見は、普段の温和な(ヘラヘラした:亮平談)姿にはない怒りの感情をあらわにする。

「・・・いいかげんにしろ。目の前で子供が死にかけてんだぞ。メンツとか恥とか、そんなものどうだっていいでしょう!」

「今俺たちが行かないと、ひまりちゃん、助からないんですよ!!」

うおあああおああ・・・やばい。かっこ良すぎる。(語彙)

仮に、私がその時居合わせていたら。(妄想)ただの仕事仲間だったのに。あっ、喜多見さん?こんな表情できるんだ・・・。と、その日から男として見てしまう、絶対に。

しかし、そんな気持ちには一切ならない?夏梅さん。その上「私にいかせてください」と恐れず勇気を出して声をあげる。さっきまでMERを下に見ていた新井隊長も、少しの沈黙のあと、部下に「シールド持ってこい!」という。このシーンもいいですね。会議室を無視してMERと協力して現場を選ぶ隊長さん、かっこいい。心配顔のあと、居てくれるだけで援護になるような真剣な佇まいの喜多見チーフ、最高。

しかし、ひまりちゃんは低血糖に加え、ナッツアレルギーの発作も発症していた。警察は、犯人が特効薬のエピペンを取りに行っている隙に展開へ強行突入して、ひまりと夏梅を保護する。

ここで、また展開は畳み込みへ。

突入した警察官の中野が、夏梅を守って路上で犯人の拳銃に撃たれ、今度は、夏梅が犯人の人質になってしまう。

SIT隊員中野の撃たれるシーンも良かった。

中野役は、若手俳優の濱正悟くん。「快盗戦隊ルパレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」のルパンブルー役で、特撮オタクが多いわが家でもお馴染みだ。ルパパト後は、知的なスマート男子の役柄が多い濱くんは、今回は熱い警察官役。鈴木亮平さんらすごい俳優さんたちとの共演、勉強になった・・・良かった!などと勝手に母目線で感動していた。大切な人の顔を思い出してがんばる中野、本当に良い役者の演技だった。

事件は会議室ではなく現場で起こっているってまさにこのこと

ひまりのオペをする喜多見チーフも素敵だった。ひまりには、「もうちょっとだよ~がんばろうね~!」と夢の中まで語りかけるようにとても優しく力強い。しかしスタッフには一転、わざと冷静で落ち着いた口調でオペをリード。すごい集中力だ。リアクションはハリウッド俳優なのだけど、患者に対する細やかさは日本のお医者さんというところが、喜多見チーフの人としてすごいところだ。
ああ・・・オペされたい。そして、オペの一部始終を録画して欲しい。

ひまりのオペを無事に終え、SITのベースへやってくる喜多見チーフは、医師というよりコスプレしてるSITさんくらいのなじみだった。共に命を救おうと戦う男たちが持つ、共通のオーラが放たれていた。

そこで、都知事にやゆされて、MERとSITの合同作戦が許可された。「警察の威信にかけて、医療従事者たちを守りぬけ!」などと抜かす警察組織。なんやねん、と普通に声出る。

第1話のレスキューに比べると、まだ現場のSITのほうが優秀かと思った。MERカーをシールドで守りながらSITたちは、一致団結して進む。医療従事者を守るために命がけなその姿、とても感動した。彼らもまた命をかけて犯罪から人の命を守っている。

ようやく中野をMERカーへ運び込み手術を開始。銃弾を受けそうになりながらも中野を搬送する喜多見をテレビで見て、高輪先生が「大丈夫よ、あの人なら」とつぶやくシーンも色っぽい。喜多見と高輪先生だけにつながる心の絆がある。

中野の手術が開始され、喜多見と音羽はやはり最高のバディと感じた場面があった。一瞬、手順に戸惑った喜多見の迷いを音羽は瞬時に見抜き、的確にサポートしながらリードした。阿吽の呼吸。空気を読み、決して出しゃばらない音羽の優秀さが際立ったシーン。医師としての崇高な情熱を感じる。

そして音羽は、命が助かると嬉しそう、というこじらせキャラもすっかり定着。このドラマは、喜多見と音羽のキャラ立ちの対比が天才。悔しいけれど、音羽のファンはこれからどんどん増えるはず。早く、音羽ターンの話が見てみたい。

今回の主役は夏梅さん。菜々緒さんの女優魂

自分よりも娘、そして患者のことを最優先する夏梅さんは、まさに看護師の鏡。本当にかっこよかった。人質にもされたのに、犯人の命を優先して行動することを当たり前に選ぶ人。喜多見チーフの無鉄砲なやり方にすっかり感化され、喜多見を尊敬していると言い、同じく行動する。そんな強くて優しく誠実な夏梅さんを体現する、菜々緒さんの演技力も素晴らしかった。見た目も美しい女優さんだが、夏梅を演じるにあたっては、見た目以前に役を生きることを重視する女優魂を感じる。ますます、女優としての菜々緒さんの評価は上がると思う。将来は、米倉涼子さんのようなカリスマ女優になる気がする。

「殺せよ~!」と叫ぶ犯人に、

「ぶんなぐってやりたいけど、治療が面倒だからやめとく」と、可愛らしさもこもった夏梅の捨て台詞も素敵だった。みんな夏梅のファンになっちゃう。肉体も神経もすりへらしながらの激務の上、自分の命まで危険にさらされたのに、仕事が終われば娘のお迎えは最優先だし。ナイチンゲールを超えて女性としてあこがれる。

SITが、夏梅とMERに向かって整列し、最大の敬礼を送るシーンも大感動。このド派手な演出、日曜劇場の気持ちよいところ。
最初に暴言すら吐いていた新井隊長が、共に戦った戦友へ送る敬意が美しかった。そして、仲間と認めたからこその明るい笑顔。きっと、新井隊長は、SITの中では喜多見のような理想の上司として信頼が熱いんだろうな。

最高のチームワーク。仲良しMERが愛しい

喜多見の笑顔、でました。亮平さんが言うところの「喜多見はいつもへらへらしている」というやつですが。しかし、今回は中盤で怒りや苦渋の表情を浮かべる喜多見がしんどそう(色っぽい)だったから、そのギャップがやばい。熱いストーリーだったからこそ、ほっとする。

「さっ、行きましょう!お迎え6時ね~急ぎますよ!」と喜多見さん。

そのあとに、「わかりました~」という天然な徳丸くんと、

「はい!じゃあ閉めますよ~」と、あえて?喜多見っぽく言っちゃってる冬木先生もツボでした。

最初は喜多見の強引なやり方に、戸惑いと驚きを隠せなかったMERメンバーだったが、苦しい現場を共にして、どんどん一致団結し始めている。蚊帳の外で見ていた音羽も、気が付くとそこにちょこんと座っている感じ。きっと、音羽にとってもMERは一番居心地のよい場所になっていくはず。

夏梅さんも、仕事が終わると優しい母の顔に。医療従事者の皆さんの尊い仕事のそばには、私たちと変わらない生活がある、と気づかせてくれた。ある意味ベタとは言えるが、医療従事者への賛歌というテーマで作ってくれているこのドラマのおかげで、今まで気付かなかった敬意や感謝に気付くことができている。

来週のMERは、どんなことに気付かせてくれるのか。どんなシーンで私のオタク心をくすぐってくれるのか。本当に楽しみ。

要潤さん演じる千住さんと喜多見の距離が近づくと嬉しいな。男同士の固い絆のドラマが見たい。勝手に期待している。 

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