レンアイ漫画家 第10話 レビュー トラウマ級の悲しいエンディングの先には


つらすぎる。どうして。気持ちが通じ合って、お互いを求め合って、人生の相方かもしれないとまで思っていたのに。

普通の人が楽しいなって思えること、ふたりでたくさんこれからも経験するはずだったじゃないか。乗り越えるべき壁はあまりにも大きすぎた。

「まともな幸せは作家をだめにする」

それを自分でかけた呪いだと、刈部さんは自分で自覚していた。だから、苦しくても自分で乗り越えていこうと懸命に闘っていた。編集の向後さんも、そんな刈部さんを察して「いつまでも待つ」覚悟を持っていた。刈部さんは、現実と虚構のバランスを崩している。一筋縄ではいかない。時間が必要だった。

けれど、読者は待ってはくれないのか。可憐さんもプロの漫画家としてとてもストイックだ。それほどまでに、漫画家という仕事は、特にカリスマと呼ばれる人は、読者の人生まで常に意識するのか。

「まりあ様を返してちょうだい」
あまりにも冷酷な言葉だ。同じ漫画家として、また銀河天使に人生を導かれた愛読者として、可憐さんの言葉は重い。

あいこは、不器用なまでに刈部さんの幸せを願う献身的な人。だからこそ、離れる決心をした。彼と一緒に幸せになることは、彼から人生の目的を奪うことなのだから。

でも、本当はそんなことではなかったのに。「銀河天使」の令和編は、次号でラストを迎えることや、その構想も決まっていた。もう少しゆっくりとがんばっていたら、呪縛から開放されたかもしれない。しかし、その決められた構想が、刈部さんを最も苦しめたのだろう。

その構想とは。みすずが初めて出会う「人生の相方」と思った男は、結局ダメ男だった。その悲しみの末、みすずは再びタイムスリップする。その場所は、ゴールドラッシュの西部開拓時代。

「刈部さんが人生の相方だったら」

あいこの言葉は、刈部さんにはとても嬉しかったんだろう。その言葉の続きが「嬉しい」なのか、それとも「悲しい」や「つらい」なのか、一喜一憂してしまうほどに。

刈部さんが12年前に初めて出版社へ持ち込んだ漫画のモデルは、実はあいこだった。そしてまた再び、また漫画のモデルとしてあいこと出会った。

「もしかして、君がいう『人生の相方』っていうのは、こういうことだったりするんじゃないのかな」

ずっと前から俺たちはつながっていたんだ。

愛してるとか、結婚しようとか、そんな直接的な言葉じゃなく。運命なんじゃないか、と刈部さんはあいこに気付かせる。その言葉を聴いて、目を潤ませるあいこが本当に見ていて愛しくなる。

こんなにあいこを好きなのに。あいこからインスピレーションを得て描いているみすずに対して、人生の相方と思った男とのつらい別れなど、刈部さんに描けるはずがない。

幸せとは、人生の目的とは、何か。

辞書を引き、堂々巡りしながらも、あいことつきあい「好き」という感情を知ることになる刈部さんは、とてもチャーミングだ。

「公道でする意味がわからないこと」をついやってしまったり(キスとかハグとか手をつなぐとかいうことらしい)、ふと穏やかな風情になってしまう予想外の毎日を「意外と悪くない」と思える。
普通の人が送る、普通の幸せだ。

あいこの誕生日に、一緒にいようと約束した日に、あいこがした選択はあまりにも悲しかった。刈部さんが、あいこのために勇気を振り絞って入ったアクセサリーショップで、ネックレスにめぐり合ったときの愛しそうな表情と、そのあとの悲しい慟哭とのコントラストは、見ているこっちがトラウマになるほどに、つらく悲しかった。

正直、涙も出ないほど胸が苦しかった。

「俺は、漫画家だ!」と悲しみを堪えて決死に漫画を描く姿は、孤高の天才そのものだけれど、決してわたしには幸せそうに見えない。

次回いよいよ、最終話。

こんなに熱く、あいこと刈部さんを想って作ってくださっているドラマチームが、彼らを幸せにしないはずはない。だけど。鈴木亮平さんと吉岡里帆さんが迫真の演技すぎて、逆に不安になってしまう。

そして、ラストシーンのあとの衝撃の予告。これも一種のトラウマか。

刈部さんに、いったい何が。

・・・そう、このドラマはラブコメだってこと、忘れてました。

銀河天使を無事終了させて、どうやらトレードでも始めてしまった刈部さん。意識高い集団の中で、お酒が入り酔っ払った末に(酒に弱い)「モッツァレラチーズ!」などと叫んでしまったようだ。どんな顛末なのか。初めて付き合った人に失恋して、別の意味で成長しちゃったらしい。そんなびっくり展開、予想もしてなかったところは、最終回祭りって感じで脚本の松田裕子さんらスタッフさんたちがとっても楽しんでいる気配がする。とにもかくにも、スーツの刈部さんは、きっと素敵なんだろうな。

そして絶対、ハッピーエンド。レンくんとメモリーと一緒に。レン君の絵のような、みんなの笑顔が見れますように。。。。





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