どこからが性暴力？ - 「この程度じゃ…」と気持ちに蓋をする前に

2020年9月9日 14:56

「性暴力」と聞いたときに、どんなことを想像するでしょうか。

イメージしたものと、あなたの悲しい体験が少し違うように感じられる時、
「あれは性暴力だったんだろうか」
「この程度じゃ、性暴力とは認められないんじゃないか」
と自分自身に疑いを持ってしまう方もいるかもしれません。

内閣府のホームページでは、性暴力を「望まない性的行為のすべて」と定義しています。性暴力の定義と、その後の受けられる支援について、こちらの記事でもご紹介しました。

今回は「どこからが性暴力？」という点について、さらに詳しく考えてみたいと思います。

「望まない性的行為」ってどういうこと？

「望まない性的行為のすべて」と言われたとき、「"性的行為のすべて"って一体なんだろう？」とはっきりイメージすることは難しいかもしれません。

では、次の4つの例を見てみましょう。

・直接触られたわけではないけれど、路上でいきなり性器を見せられた
・夫婦の間で、パートナーが避妊に協力してくれない
・友人から裸の写真を送るようにしつこく迫られた
・会社の上司と一緒に風俗店に無理やり行かされる

これらの例を見て、
「直接、殴る蹴るの暴力を振るわれたわけじゃないし、性暴力じゃないでしょ？」
と考えた方も多いと思います。

でも実は、これらのケースはすべて「望まない性的行為」と考えられるのです。

映画やドラマの中でよく描かれる、「女性が見ず知らずの人に襲われて、セックスを強要される」ことだけが、性暴力ではありません。あなたの望んでいない（すなわち性的同意の伴わない）すべての行為は性暴力、と呼んでいいのです。

そう考えるとあなたの身の回りでも、性暴力の被害に遭われた方は少なくないかもしれません。

しかし残念ながら、私たちの生きる社会はこの"性的同意"がきちんと認識されているとは言い難いのが現状です。

たとえば被害を受け家族や警察に相談したとしても
「もっとひどいことをされなかっただけマシ」
「夫婦／恋人なのだからそれくらい仕方ない」
などと、軽く流されてしまうことも少なくはありません。

もしくは
「家に上がったんだから仕方がない」
「そんな格好をしていたのだからOKと思われたんじゃない？」
など、被害者に落ち度があったかのように言われることも多くありますよね。

これはヴィクティムブレイミングやセカンドレイプ、二次加害と言われ、ようやくの思いで被害を相談した被害者をさらに追い詰めてしまう言葉です。

ヴィクティムブレイミング（Victim Blaming）とは、「受けた被害について、その責任は被害者にある」として、被害者を責めることです。日本語では「被害者非難・犠牲者非難」と呼ばれます。

この文章を読む人にmimosasが伝えたいのは、
周りに否定されたり、訴えを聞き入れてもらえなかったとしても、それはあなたの受けた被害を"なかったこと"にするものではないということ。そして、「被害を受けた直後に認識できなかった自分が悪い」と自分を責めないでほしいということ。

"性的同意"の考え方が浸透していない社会では、「あの経験が性暴力だった」と認識するのは、とても難しいことでもあります。

自分の心を守るために「大したことない」と受け流そうとするのは、ある意味で自然なことですし、また自分が性暴力の被害を受けたと認識するのはときに痛みを伴うことでもあります。

だから、どうか「被害を受けた直後に認識できなかった自分が悪い」と自分を責めないであげてください。

そしてもし、あなたが「あの行為に私は同意していなかったし、性暴力だったのかもしれないな」と感じたら、信頼できる誰かや支援センター、もしくは警察に相談してみてください。カウンセリングを受けて心の傷をケアすることも、きっとあなたの力になるはずです。

どんなところに相談したらいいのかわからないという場合は、mimosasの記事も参考にしてみて、あなたの一番しっくりくる方法を探してみてくださいね。

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2021/4/29
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