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第28回鶴見岳一気登山

4 月 12 日、日曜日は 5 時半起床、携帯のお天気アプリで雨でないこと確認し、もそもそと寝袋から這い出して、カーテンを開けて窓の外の天気を見る。まだ空は暗い。トイレ、洗面を済ませて、準備していた服に着替える。ザックの荷物を再確認、昨夜付けたゼッケン付きシャツは現地で着替えるように、ザックの一番上に入れた。スパビーチのスタートまでは、チャリで行くことに、ヘルメットと専用のシューズを履いて、玄関を出ようとするが、若干、ザックが嵩張っている感じが気になる。少し考えて、ちゃり専用シューズは諦めて、山登りに使うシューズでそのまま、ちゃりも漕ぐことにする。履いてるチャリシューズを脱いで、ザックの底から山登り用シューズを取り出して履く。ザックの荷物を詰め込み直して出発した のが 6 時、風が気持ちいい。 5 分も漕ぐと身体が暖まって来る。息も上げることなく、足に負荷をかけることもなく、別大国道で海を見ながら 18 キロ、 7 時少し過ぎ、受付開始が 8 時なので、ジョイフルでモーニング、既にゼッケンを付けた人たちがグループだったり、一人だったりとチラホラ席に座って賑わっている。 1 時間かけてコーヒーを 3 杯も飲んで、ゆっくりして受付会場に移動、駐輪場にちゃりを縛り付けて、ゼッケン付きの服に着替えようとザックをもそもそ、あれーっ、ない。夕べ、しっかりゼッケンを付けたシャツが入ってない。あーシューズを引っ張り出す時に、取り出して、そのまま入れ忘れたのか。やれやれ、絶対忘れてはいけないものを忘れてしまった。がっくり肩とテンションを落として受付で、その旨を伝えると、綺麗なお姉ちゃんが、あらあら忘れましたか。なんとかなると思いますよ。あちらの本部で聞いてみて下さいと笑顔で案内され、少しほっとして、本部に近づくと、ゼッケン忘れコーナーと表示があって、なんだ俺だけじゃなかったのかと、また一つホッとして、また綺麗なお姉さんから、頑張って下さいとス マイル で、白い布とマジックを渡されて、周囲にも手書きの白ゼッケンが居ることに、さらにホッとして、開会のセレモニーに移動するのでありました。参加者 3700 人がスパビーチに集まっているから、結構な人出でしたが、そんな中で、出会ったのが我が社の登録ヘルパーの末松さん、お友達と3人で参加してましたね。ちょっと感激でしたよ。砂浜の方では吹奏楽団の生演奏にセレモニーの挨拶やら注意事項やらがあってて、私は、まず約束の海抜0メートルの波打ち際に足を付けて、スタート準備完了の状態で待機していると、韋駄天コース、所謂、掛け上がる人たちのスタートの 9 時です。猛ダッシュで 200 名くらいがスタートして行くと、後は数分置きにハーフウォーク、続いて、私がエントリーしたのびのびさくらウォークのスタートとなるのですが、ちょっとコーヒーを飲み過ぎたのか、おしっこがしたくなって、公衆便所を見ると、もうスタートしていると言うのに、長蛇の列、この列に並んで待つことを考えると、更に尿意は高まり、走ってトイレ行列の最後尾の人となった。男性は女性の3倍に速度で掃けて行く、これは設備的な性差別になるのではないかなどと思いつつ、尿意を放出、気を取り直して、スタートの列に並んで、だらだらとスパビーチを出て、登山を始める。急ぎたくても人の渋滞で、実にゆっくりとした歩きで始まった一気登山の序章でありました。

 さて、ほぼ二列縦隊の行列は、所々の交差点で渋滞の種を蒔きながら、境川沿いに散り始めた桜や菜の花を楽しみ、ゆっくりとなだらかに境川を遡上して行きます。道々には近所の人が声援を送ってくれたりして、途中、途中でゼッケンにスタンプを押してくれるチェックポイントもあって、差ほど疲れることなく、とぼとぼと歩いていると、なんと知人の訪問介護事業所の社長ご夫妻にばったり、スタッフと家族 10 名で参加しているとのこと、凄い。来年は我が社も 10 名で参加するぞと、心に誓うのでありました。
 もう少しは上がって来たかと、チェックポイントの表示を見ると、南石垣公演でまだ 148メートル、全行程のまだ 10 分の1でした。そろそろ大分自動車道を越えて、勾配も少し山登りらしくなって、やまなみハイウエイを越えたあたりから、さらに山登り然として来て、ときどき息も上がり気味で、堀田神社のチェックポイントで、地域の人たちやボランティアさんたちが、おにぎりやらお弁当やらを販売している。何か詰め込んでおこうとキョロキョロと見まわすと酒まんじゅうがあるではないか、でも何故か5個入り販売、売り子のおばちゃんに1個だけ分けてと言ったら、出来ませんとのお返事、じゃあ要りませんと、踵を返そうとすると、横に居た綺麗なお姉さんが、私も買ったけど、こんなには食べれないので、お一つ如何ですかと、心に染みるような心づかいを、もう遠慮なんてしません、もしかしたら何かの縁 、何か の出会いかも知れないのです。ありがとうと丁寧にお礼を言って頂きました。もちろん無料です。右手にまだ温かい酒まんじゅうを握って、お姉さんの後ろ姿を目で追っていると、その先には、素敵なお兄さんが居ました。そうそうこれが現実なんだと、右手に酒まんじゅうをガブリと喰ってやりました。それからしばらく神社の長い階段を上がり、少し険しい道を進んで行くと、前方から歓声が聞こえて来ました。よいしょともう一頑張り越えると、距離にして 8 キロ、高低差 500 メートルのロープウエイ駅に到着、ここがハーフコースのゴール、ここまでが約2時間、休憩することなく一気に後半戦に挑むことになるのであります。

 ロープウエイ乗り場が段々と下に見えて来て、別府の町、別府湾、高崎山が遥か下に見下ろせるようになって来ました。おうもうこんな高さまで来たのかと下界を見下ろしては景色を楽しむ余裕もまだここではあったのだ。ただ、ここからの登り勾配は、いつまでも緩むことなくつづらに折れて、延々と続いている。徐々にふくらはぎやら、太ももの後ろあたりがピクピクと悲鳴を上げ始め、ここに来て、ちゃりで来た自分の愚かさを責めたりしてみたら、そら見たことか、右足が痙攣、なんとかルートから少し外れた所の木を支えに、痙攣が治まるまで、じっと我慢すること5分、一度、座って筋肉を休ませようとも思ったけれど、まだ7合目あたり、しかも一気登山なのである。休んだら一気じゃないだ ろうと 、勝手な理解で登山続行。ガスも段々と濃くなってきて、きっと遭難する奴は、己の力を過信する奴、いや、力もないのに背伸びする私のようなのが遭難して、皆に迷惑をかけるのだろうなと思ったりする。もう足だけでは登れない、手で岩や枝や根を掴んで、身体を引き上げるようにして登るような箇所が次から次と繰り出して来る。呼吸も荒くなると、今度は禁煙して1年半の自分を褒め称えながら、また次の一歩、次の一歩と重ねて行く。風も出て気温もぐんと下がり、雨まで混じって、途中途中にトランシーバーを持って立っているおいちゃんが、後もう少しやで、頑張ってのアナウンス、ちょっと前も後もう少しと言ってたから、具体的な数字をくれと思って喘いでいたら、後 20 分との声が上の方から届いて来て、気持ち復活、気の持ちようとは不思議なもので、霧の中を彷徨っていた元気が帰って来たような感じなんですね。しかし、この険しさは半端ないですね。去年、雨で中止になった訳を、ここに来て理解した感じです。今日でも結構、濡れて滑るのに、危ない危ない、これ以上雨でも降ったら滑落ですよ。あともうひと踏ん張り、よいしょよっこらしょ、ひーほーふー、あー着いた。所要時間 4 時間 30 分でした。もう十分、頑張った頑張った。私、お疲れさん。鶴見山上駅の待合室で記念品を受け取って、ガスで景色も見えないし、汗が冷やされて寒い寒い。101 人乗りロープウエイに早く乗りたい。しかし小学生も爺ちゃん婆ちゃんも、皆、なんとか登りきるんですね。とにかくこののびのびさくらウォークの参加者 1600 人だから、最後の最後まで並ぶんですよね。やっとロープウエイに乗って、喘いで登った 2 時間半の道のり800 メートルをたった 10 分で下ってしまいやがった。ここはロープウエイ乗り場という名前とばかり思っていたら、別府高原駅というちゃんとした名前があったのでした。知らなかった。ここから亀の井バスに乗りスパビーチまで移動、はいお疲れ様で終わらないのは、ちゃりで来てしまったから、ここから自宅まで来た道を 18 キロを帰るのか。後悔先に立たずの、誰にも知られない最後の自分との闘いが残っていたのでありました。くそー、来年は10 人くらい道ずれにしてやるぞと、重たいペダルを踏みしめながら心に決めたのでありました。
20150422

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