ベランダ
高校を出てから戻ることなく、
今は妹夫婦が父親の面倒をみてくれている築47年の実家、
壁は落ち廊下たわむ、
先の寒波で水道管が破裂してやり替えた矢先、
春一番の奴が2階ベランダの庇を、
すっかり持って行ってしまった。
84歳の父親は梯子を登って修繕をすると
やる気満々だけど、
さすがに屋根には上らせられない。
今日は休みを取って応援、
あちこちに添え木をあてて、
時々落ちそうになりながら、
父親も妹夫婦も総出で波板を張る。
かつてこのメンバーで共同作業をしたことがあったかな。
もしかすると初めてかも知れない。
懐かしいような、どこか不思議な違和感と
なんとか復旧が終わった達成感がいい。
47年前に自分の部屋が出来た喜びに、
妹と一緒にいつまでもこのベランダから
景色と風の匂いを感じていたことが懐かしい。
家々が密集していて昔日の眺められる景色はないけれど、
吹く風にあの頃の匂いと、
老々の暮らしの兆し、
いや現実を感じた一日だった。
出来のいい妹には苦労のかけっ放しだ。
不肖の兄にいつまでも寛容でいてくれてありがとうな。
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