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ハンドヒーリング

ある日の仕事帰り、行きつけの喫茶店でコーヒーを飲んでいると、ママさんが、隣の席に座っていたお姉さんにこの人にやってみればと、意味不明の声かけをした。するとお姉さん、年の頃は44、5歳だろうか。「お疲れではありませんか」と声を掛けて来た。「いや、疲れてないっす」「じゃ、どこか痛いところとかないですか」「痛いところですか。あーあります、あります。この肘、どうしょうもなく痛いです」「従業員のNさんもお手上げだと言ってました」「ハンドヒーリングって知ってますか」「はっ、なんですそれ」「まあちょっとやってみますから、そのままコーヒーを飲んでいて下さい」と言って、何やら向こうで手をくねくねし始めて、「今、痛みをとってますから」と、約5分くらい。「どうですか」「え、何が」「肘の痛むところを触ってみて下さい」で、触ってみると、あら不思議、トンガっていた痛みが和らいでる感じ。廻りはまだ痛みが残っている 。そのことをそのまま伝えると、「では、今度は近くでやってみていいですか」「はい、いいですよ」「お姉さん、綺麗だから」(これも思っただけ)さらにそれから腎臓が弱っているとか、心臓が弱っているとかいいながら、さらに5分くらい。「はい、終わりました。どうですか」肘を触ったり押したりしたら、なんと痛みがなくなってるぅ。びっくり。こんな技を持つ綺麗なお姉さんがいるんだ。早速、お礼を言って連絡先を交換して、凄く楽しい気持ちで綺麗なかみさんの待つ我が家に帰って来ました。さて、話はこれで終わらないのですね。夜、早速、お礼のメールを送ったら、明日も会いませんか、もっと良くして差し上げますとのお誘いが速効で返って来るではないですか。はい、もう絶対、仕事休ん でも行きます行きますとお返事をして翌日、仕事も上の空で定時に引き上げて、待ち合わせた某所に行くと、昨日のお姉さん待ってましたね。さあ、こちらへどうぞと案内されるがままに付いて行くと、足を引きずりながらお礼を言ってるオバサンとすれ違ったり、杖をついたまま、これまたお礼を言っているオイサンともすれ違って、何やら個室に通されて、これに記入してお待ち下さいと問診票みたいな同意書みたいな用紙に記入しながら、お姉さんの登場を待っていると、なんと牛乳瓶の底のようなメガネを掛けた痩せオバサンが来て、いきなり「あなたどこが悪いの、それ見せて」とぞんざいに記入用紙を見ながら話し掛けてくるではないか。「はい、肘が少し」「あっそう」「じゃ始めるわよ」と、また手 をひらひらクイクイと動かし始めて、「あなたは疲れてるわ。70歳くらいに見えるよ。心臓が一番弱ってる。あーこりゃいけん」「はあ、そうですか。元気なんですけどね。疲れて見えますか」「あんたみたいな仕事の要にいる人はね。もっと元気にならんといかんのよ」「はい、どう肘は」うーん、あんまり変わらないけど、昨日のお姉さんの方が効いたけど、「あーはい、だいぶいいです」「ほらね、どうあなたこの治す力が欲しいと思わない」「はあ。いやこれで十分です」「あのね、私は48の頃、子宮が腫れて死にかけていたの、その時にこれに出会って、今はほれこんなに元気」「あんたも廻りに障害者とか難病の人がたくさんいるんやろ。あなたが治してあげられるんや。凄いと思わんかい」「はあ、私にはそんな力はないです」「だから、もし良かったらやけど、たった1回で授かることができる宇宙のパワーなんや」「本当なら70万のところやけど、今やったら56万、こんなチャンスはないで、どや」「そうですか、今日はありがとうございました。その伝授する話は、またゆっくり考えさせて下さい」と、こんなやり取りでがっくり肩を落として帰宅したのですが、帰って見せてもらったパンフにあった団体名をネットで調べたら、社団法人○○○といって、元は「株式会社△△△」という名前で昨年、詐欺容疑で集団訴訟を起こされて改名して活動しているようなことが、たくさん載っていてびっくり。あるんですね、こんなことって、でも、痛みが無くなった事実は何と説明したらいいものか。いやー、やばいやばい。皆さんもお気をつけ下さいね。
20150305

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