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テンペスト


雨が降る
わたしの上に
わたしの内に
しとしとと降り注ぐ
わたしはたぷたぷと波をうつ
わたしは涙のあつまりなのだろうか
ふとそんなことを思う

いつもそう、
やりたいことは沢山あるのに
動けなくなってしまう
イライラして頭が痛くなる
食べて寝たら治るのだ、簡単なことだ
同じことの繰り返しだ

雨がわたしを守るように、隠すように降る
怖いものは見なくていいよと囁く

眠りにつくわたしは、けれどもどこか冷静で、
雨がいつまでも降らないことに備え、
鎧をまとい始める。
準備を怠って傷つく自分に腹を立てないよう、先回りして、布石を打って、賢しくて
…何て鼻持ちならない奴だと嘲笑して、
どう転んでも傷つくのかと自虐的になって
全てを放り出す勇気はなくて


それでも、見たいものがあるのだ
やりたいことがあるのだ
それは、自分を探す、とかじゃなくて、
そんなものじゃなくて。

その隙間を埋める言葉をわたしは知らない
愛じゃない
生きる糧でも生きる意味でもなく

わたしが情熱を燃やすべき何か
夢中になる何か

大陸へ渡る船
今はみることのかなわぬステンドグラス
空を刺すレーザービーム

咲き誇るミモザ
息をのむ急降下
風のように走る子ども


世界がわたしの憂鬱を吹き飛ばすように輝く

それはまるで夜空を割る稲妻のように

私の甘えをせせら笑う。

死なないために生まれてきたわけじゃないだろう?

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それは天啓のように私の背中を押す
それは洪水のように私の迷いを流す







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