見出し画像

わたしのほんとの願い


ハンモック
花ぶらんこ
白いヴェールのウェディングドレス
豪華客船
もかまたり

「夢の中ではいつも風が吹いている」

透きとおった宝石のような湖
グリーン車
静寂
雨の音

「こんな夢をみた」

夢の中のわたしは万能の神にもかかわらず、空を飛ぶことさえままならない。
追いかけられる。
落ちる。
蛇に虫に闇に。

「旅をするように生きたい、なんてのたまってみる。」

人生は旅だ。
思うようにならない旅だ。

バレリーナのように軽やかに舞い、歌姫のように甘い言葉をささやく。
人魚のように自由に泳ぎ、猫のように丸まって眠る。

「かなぐり捨てたいものたちを、ひとつ残らず放り出して」

チェロ
ショパン
古本屋
喫茶店のポスター
映画館

忘れてしまったものたち
行ってしまったひとたち

空回りする言葉
共有するはずだった感情
優しい嘘
メランコリー

たゆたうものたちに、カタチは必要だろうか。

読書感想文ほど、野暮な宿題はないと思っていた。ディベートだのスピーチだのにやたらと力を入れる昨今の風潮は、言語化で失われるものを軽くみすぎているのではないかと思う、一方で、
いや、私が間違っているかもしれない。
そんな責任逃れのような修正思考が自動的に稼働してしまう。

根拠や自信など、持った者勝ちなんだろうか。
いつもいつも、それで見失なってしまうのだ。

「わたしのほんとの願いを」

感動の仕方を教えているかのような気持ち悪さ。生きる意味なんて、誰かに与えてもらうもんじゃないだろう?

ああ、そんなことが言いたいんじゃない。
他人のものを欲しがるのも羨ましがるのも、もうやめにしたいのだ。

「わたしのたからものを」

花吹雪
満天の星空
お日さまの匂いのお布団
空っぽの洗濯かご
ひとりの部屋
食洗機の音
ろうそくの火
チョコレート
桃の香り

宝物はここにあるのに、
ここじゃない何処かを夢に見る。
身軽でいたいと強く願うのに、
手放せないものたちは今日も美しい。

時間だ。
ひたひたと押し寄せる。
終わりの始まり。
いつまでも逃げてはいられない。
言い訳も尽きてきた、
違う、
言い訳をしたくなくなったのだ。

わたしの力をいかんなく発揮する
わたしにできること
わたしが求めるもの
わたしを求めるもの

お利口であることにもう飽きたのに、
馬鹿になるにはプライドが高すぎるのだ。

winwinとか
常識とか
批判されていちいち落ち込む素直さを
薄くなっていく自分を
繋ぎとめるもの。

怒りだけが、わたしの輪郭をあらわにする。

形をとったわたしは、形のないわたしとは別人だろうか。

どろどろと溶けていくわたし。

毎日、眠っては再生する。

昨日のわたしと今日のわたしが同じだなんて、信じられるわけがない。

今のわたしは。
明日のわたしは。

私以外の誰かになりたいなんて、もう思いたくないんだよ。

月が追ってくる。
星が道筋を示す。

時間だよ。
飲み込むか飲み込まれるか。
正解などないのなら、
自分が、やりたいようにやるだけだ。

私の願いを

私の怒りを
私の悲しみを
私の喜びを
分け与えることこそすれ、
手放す気も誰かのせいにする気も、
ひとかけらもない。

パーティに着ていく服なんて
もう死ぬほどどうだっていいのだ。

私の宝物は、私が築いてきた日々。
私の願いは、私が誇らしくあること。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?