![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/144311820/rectangle_large_type_2_1882efcc14fdbc6d0f094c7736c4f06a.png?width=800)
Photo by
whaleaya16
地下二階の庭
どうしてこんなに悲しいんだろう。
雨の音が聞こえる。
どうしてあんなことを言ってしまったんだろう。
何度も反芻する。
気を悪くしたんじゃないかと不安になる。
そんな自分が心底面倒くさくなる。
もう今日は誰にも会いたくない、そう思いながら本棚の背表紙を眺める。
本はいい。
誰かを傷つける心配がないから。
私が傷つく心配だけすればいいから。
自分が傷ついたことを誰かの責任にしようとする人は嫌いだ。大嫌いだ。
私は自分で責任を取ってるつもりだけど、本当は取れていないのかな。そうかもしれないなら、
私は不機嫌を撒き散らしたかな
いや、不機嫌を撒き散らす人に嫌な思いをしたから、自分が同じことをしたんじゃないかと心配になっただけだ。
もししてたとしても、あの人よりましだ。
反面教師として、気をつければいいだけだ。
ああもう心底本当に面倒くさい。
もういっそ嫌われた方が楽かもしれない。
そもそもの期待値が低い方がいいかもしれない。
完璧であるほどアラが目立つものだ。
もう少し隙を作った方がいいのだ。
何のために?
生きていくために。
微かな絶望をかかえ、私は地下二階の庭を夢想する。
それはナルニアへ続くクローゼット
不思議の国へと落ちる穴
私の半分はいつもそこにいる。
そこは私の地下二階の王国
シトリンの月が夜空を照らす、
緑の瞳の妖精王の森
壁に囲まれた世界の終わり
ああ、光る白い石を忘れずにね、
帰り道を見失わないように。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?