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WEリーグカップ(グループステージA)第6節(ピックアップゲーム:AC長野パルセイロ・レディース対アルビレックス新潟レディース)

 今回のピックアップゲームは、AC長野パルセイロ・レディース対アルビレックス新潟レディースです。

オフシーズン期間のAC長野パルセイロ・レディースの移籍の動向は、以下の通りです。

⚽AC長野パルセイロ・レディース
【入団選手】
長江伊吹(INAC神戸レオネッサ)、岩下胡桃(山梨学院大学)、福田ゆい(マイナビ仙台レディース)、太田萌咲(JFAアカデミー福島)、菊池まりあ(INAC神戸レオネッサ)、安倍乃花(柳ヶ浦高等学校)、奥川千沙(マイナビ仙台レディース)、福田ゆい(マイナビ仙台レディース)、福田まい(マイナビ仙台レディース)、小澤寛(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)、風間優華(FCふじざくら山梨)
【退団選手】
池ヶ谷夏美(現役引退)、五嶋京香(大宮アルディージャVENTUS)、大河内友貴(リリーウルフ・F石川)、八坂芽依(現役引退)、住永楽夢(現役引退)、瀧澤千聖(サンフレッチェ広島レジーナ)、小林和音(つくばFCレディース)、泊志穂(現役引退)、藤田理子(伊賀FCくノ一三重)、新井翠(ニッパツ横浜FCシーガルズ)、中貝夢(現役引退?)

 アルビレックス新潟レディースの移籍の動向は、以下のリンクから飛んでください。

1.試合全体の印象

 1試合を通して、緊迫感溢れる好ゲームだった。前半は、長野の高い集中力、寄せの早さ、タイトな距離感で、新潟の攻撃を固い守備網で抑えきっていた。後半に入ると、道上を中心に新潟の攻撃に迫力が出てきて、長野は押し返されるようになった。しかし前半に得点した2点が効いて、後半新潟が1点返したものの、なんとかタイムアップし、長野が勝利、浦和の結果次第ではあるが、WEリーグカップ決勝進出への望みをつないだ。

2.先発出場選手の印象

⚽AC長野パルセイロ・レディース

GK1 伊藤有 52分、道上の見事な左隅を狙ったシュートにしっかりと反応し、弾いた。

右SB15 奥津 北川と何度もマッチアップさせ、簡単に崩されない集中した守備をみせた。リズムよくパス交換しながら攻めあがっていく場面もあり、幾度となくオーバーラップで攻撃でも大きな存在感を示した。

CB22 奥川 後半48分、右サイドで、代わって入ってきた園田瑞にしっかりと対応する。52分、道上に入れ替わるようにして突破され、ピンチの場面をつくりだす。

CB5 岩下 37分、北川から道上に縦パスが素早く入るが、しっかりとプレッシャーに入り、前を向かせない。ファウルになってしまったが。54分、道上に抜かれるとピンチの場面でしっかりと対応した。

左SB3 岡本 36分、福田の落としを、狙いすましたビームのような見事なミドルシュートで貴重な追加点。こういうシュートを打てる選手がサイドバックにいるのは非常に怖い。後半47分、滝川にボールを奪われる。53-54分、川船を走らせる縦パスを供給。77分、マッチアップしていた道上に角度のないところからシュートを放たれ、失点する。88-89分、滝川とマッチアップし、粘り強くついていき、GK獲得につなげる。

ボランチ2 肝付 攻守に渡り効いており、味方が奪われてもすぐにカバーリングするなど優れたポジショニングでチームに活力を与えた。幾度となく、素晴らしいボールコントロールや視野の広さからの展開力をみせた。12分のオーバーラップの場面では、稲村に素晴らしいラストパスを供給したが、わずかに合わなかあった。その後も、思い切りのいいオーバーラップをみせる場面があった。

ボランチ6 大久保 序盤から周りに指示を出す姿がみられた。27分、中盤でしっかり潰してボールを奪い切る。34分、右サイドの奥津のパスを受け、シュートを放つが、GK正面。62分、インターセプトからカウンターの起点となる。71分、園田悠と交錯し奪い合い、奪い切る。

右MF18 伊藤め 21分、浦川のロングフィードを読み、インターセプトする。80分、前線にオーバーラップする肝付を生かす浮き球パスを供給。87分、右サイドからシュートを放つがGKにセーブされる。

左MF8 福田 1分、左サイド遠目のFKから蹴りこんだボールを瀧澤が頭で合わせてゴールに吸い込まれあっけなく先制点。蹴る直前には奥津と会話をかわしていた。36分、浮き球を落ち着いたボールコントロールしてから、落として、岡本の見事なビームのようなミドルシュートをアシストし、貴重な追加点。

FW28 稲村 0分、左サイドタッチライン際でファウルされ、獲得したFKでいきなり先制点。24分、中盤で山谷と入れ替わって抜け出しビッグチャンスになりかけるが、山谷のイエローカードになるファウルで止められ、FK獲得。34分、積極的な仕掛けの後、左サイドから素早いクロスを入れ、誰にも合わなかったが、非常に効果的なプレーをみせた。39分、遠目からシュートを狙うが、外れる。

FW10 瀧澤 1分、福田のFKを頭で合わせいきなり先制点。積極的に仕掛けていくプレーで、セットプレーを獲得したり、チャンスを生み出した。69-70分、連続的にポストプレーで攻撃に関与する。

⚽アルビレックス新潟レディース

GK1 平尾 14分、バックパスのボールをダイレクトでロングフィード、正確につなげた。44分、ゴールキックはミスキックとなりタッチラインの外へ。

右SB(後半途中からCB)13 加藤 71分、良いタイミング且つ正確な縦パスを入れる。

CB20 山谷 24分、稲村に入れ替わられ、決定的な場面を作られるのをイエローカードのファウルで阻止した。

CB2 浦川 12分、縦パスがインターセプトされてしまう。35分、良いリズムで長野のカウンターアタックが始めり、タイミングよく奥津がオーバーラップして危機的な場面になりかけるが、冷静に対応する。

左SB14 北川 18分、道上に縦へ正確なロングフィード。ボール保持する機会は多かったが、長野のタイトな守備に対して、相手をはがし、崩すプレーがなかなか披露できない、苦しい試合だった。37分、奥津からボールを奪い、素早く前線へつけるパスを供給。

ボランチ10 上尾野辺 中継役として顔出ししていたが、得意のスルーパスは影を潜めた。

ボランチ16 園田悠 豊富な運動量で、積極的にチャンスメイクした。

右MF17 滝川 16分、タイトな長野の守備をかいくぐりながら、何度も中継役として攻撃のリズムを作り始めるが、シュートまでもっていけず。前半は、普段の生き生きとしたプレーが影をひそめた。後半46分、ゴール前でシュートを放つが枠外。47分、岡本からボールを奪う。69分、仕掛けてシュートを放つが力なくGK正面。

左MF23 山本 いつもの積極的な仕掛けるプレーが影をひそめる。43分、右サイドの低い位置でボールを奪い、前線にフィードするがつながらず。

FW6 柳澤 21分、ファウルを受け、FK獲得。

FW11 道上 後半に入ってエンジンがかかり、迫力ある突破で脅威的な存在感を放ち続けた。52分、DFと入れ替わるようにして突破し、左隅に狙うシュートを放つが、GKにファインセーブされた。77分、右サイドで仕掛け、角度のないところから放ったシュートが右隅に突き刺さり、1点返す。

3.交代出場選手の印象

⚽AC長野パルセイロ・レディース

46分 MF14 菊池(out福田) 60分、岡本との連携で、左サイドを攻めあがる。64分、良い位置でボールをもつが、その後の展開はカットされてしまう。67分、FK時、奥津が蹴るような雰囲気を漂わせておいて、猛ダッシュで菊池がかけより蹴りこむというトリックプレーがあった。

46分 FW11 川船(out稲村) 立ち上がりからよくボールを触り、リズムをつくろうとするが、なかなか決定的なシーンを作るまでに至らない。68分、右サイドで迫力ある突破をみせる。

82分 FW20 村上(out瀧澤) 86分、肝付からのパスを受け、ミドルシュートを放つも枠外。90分、奥川からのFKのロングフィードを受け、時間を使うコーナーエリアでのボールキープのプレー。最終的にはGKになってしまった。

93分 右SB4 長江(out奥津) 短時間ではあるが、この試合で、パルセイロデビューを果たす。

⚽アルビレックス新潟レディース

46分 MF32 白沢(out山本) 64分、中盤で先に触り、つないだ。

46分 FW7 園田瑞(out柳澤) 立ち上がりからよくボールに触り、新潟の好リズムの渦中にいた。76分、ためてから、走らせるパスを供給する巧さをみせる。77分、道上のゴールにつながるプレーの前の浮き球パスを供給。

76分 右MF34 長崎(out浦川) 積極果敢に仕掛けるプレーをみせる。

82分 FW8 石淵(out園田瑞) 入って早々、82分、右サイドで道上に縦パスを供給するが通らず。

4.まとめ

 WEリーグ初の試み、2022年のWEリーグカップをどこよりも盛り上げているのはAC長野パルセイロ・レディースだ!と印象付けるような試合となった。Twitter上でも、長野のサッカーの素晴らしさをつぶやく声が多数みたれた。この試合は、カップ戦の決勝にのぞみをつなげることができるかどうかの重要な試合。そこで、長野はサッカーを見る眼の肥えた人々も惹きつけるような、魅力的なサッカーを展開することができた。Twitter上では長野のサッカーについて「ストーミングだ」と言う声も多数挙がっていた。不勉強な筆者はこの言葉をこの試合で初めて知り、この記事で知識を入れた程度である。

 筆者の個人的な感覚では、特に前半の長野は、新潟の選手をフリーにさせることがほとんどなかったということが非常に印象的だった。相手がやりにくい一番いやなプレッシングの距離感を保ち続けていたことが、最も見事だったと感じたし、凄まじい集中力を感じた。また、セットプレー時には、より一層緊迫感が高まる雰囲気がたちこめていたのも印象に残っている。先制点もそうだったが、ひとつひとつのセットプレーを大切にしていたし、戦略的にセットプレーを獲得する意識すらあったのではないかと思わせた。
 一方の新潟は、後半に入って、道上が一気にギアを上げてきて、前半の長野の流れを、新潟の流れに引き寄せることに成功した。しかし、戦術・道上といった印象で、もう一段階分厚い攻めを展開することが必要だったように思う。
 もうすぐ、WEリーグカップAグループ最終戦の埼玉ダービーが幕を開ける。決勝に行くのは、長野か、浦和か。しっかりと見届けたいと思う。

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