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中嶋・立花の両サイドの積極的な仕掛けの脅威/継続的に質の高いプレーを続けていた田中が終盤で同点弾(WEリーグ2022第4節サンフレッチェ広島レジーナ対INAC神戸レオネッサ戦レビュー)

試合の注目ポイント

 レジーナは昨シーズン覇者INACに勝利した数少ないチーム。内容も真っ向勝負だった。ここまで2連勝中のINAC神戸に対し、今シーズン、レジーナはどのような戦いをみせていくのか。

ハイライト・試合結果・スタッツ

先発選手の印象

⚽サンフレッチェ広島レジーナ

GK1 木稲 3分、田中の強めのシュートをしっかり弾く。93分にも、田中の強いシュートを弾いてピンチを逃れた。

右SB25 塩田 30分、水野のカットインに対応、シュートを打たれてしまうが、枠外だった。56分、同サイドの立花に素晴らしい縦へのフィード。73分、水野とのマッチアップでは、しっかりと最後までついていき、正確なクロスをあげさせなかった。

CB6 佐山 15分、ファウルになってしまったが、髙瀬に入ったボールに対し、しっかりとチャージ、自由にさせなかった。24分、裏に抜け出す上野にタイミング・正確性・スピードすべて揃った素晴らしいロングフィードを供給。

CB4 中村 3分、対応している田中に強シュートを放たれてしまう。19分、非常に良いロングフィードが中嶋に供給されたが、オフサイドになってしまった。24分、成宮が中盤で混戦の中から前を向く素晴らしいプレーをして素早い縦パスを入れたが、そこに素早く反応しインターセプト。

左SB5 木﨑 45分、中嶋が前を向いて突破していけるような素晴らしいフィードを展開。60分、中嶋と連携して守屋をサイドに追い込み自由にさせない守備。

ボランチ15 小川 CKのキッカーをつとめた。14分、中盤でしっかりコントロールから左に展開、ボランチらしいプレーを発揮。19分、シンプルにダイレクトではたくプレーで中嶋に前を向いてドリブル突破させるシーンを演出。29分、田中に対し、粘り強くプレッシャーをかけ続け、前に進ませない素晴らしいディフェンスをみせる。32分、ミドルシュートを放つが枠外。

ボランチ10 近賀 42分、中盤から縦パスを上野に供給するが、惜しくも通らず。後半、中盤で高瀬とマッチアップするシーンが多く、ファウルを獲得することも。66分、ダイレクトで左サイドに展開し攻撃のリズムを生み出す。

右MF26 立花 37分、素晴らしいカバーリングをみせる。56分、塩田からの素晴らしいフィードを受けて、期待感を感じさせるドリブル突破をみせるが、シュートまで至らず。62分、上野の見事なボール奪取、運びからのパスを受け、積極的に仕掛けるプレーがペナルティエリア内での竹重のファウルを誘い、PK獲得。

左MF11 中嶋 序盤はあまりボールを触るシーンがなかった。19分、小川が簡単にはたいたボールを受け、左サイドの縦へ突破、ニアサイドの谷口にクロスを上げるが、惜しくも合わず。31分、抜群のキープ力で囲まれながらも奪われず、バックパスをつなぐ。45分、左サイドのスペースを抜け出しカットインからの強いシュート、GKにキャッチされたが、中嶋らしい迫力あるプレーがみられた。後半51分、低い位置から左サイド縦方向にポジショニングする谷口に正確なフィードを供給。72分、低い位置での、またぎフェイントから奪われないキープで観客席をどよめかせる。74分、中央で巧い奪い方からパスアンドゴーで右サイドを駆け上がり、カットインから谷口にパス、シュートで終わった。タフで圧巻のプレーだった。91分、プレスバックで守屋から奪う。

FW9 上野 24分、最終ラインからのロングフィードに抜け出しGKと1対1になるが、シュートは山下にセーブされた。61分、右サイドライン際で、脇坂からボール奪取、縦に運んだ後、立花に展開。63分、PKのキッカーとなり、審判の笛の音が鳴ってからしばらく間をおいて、おちついて右隅に流し込んで先制点。

FW13 谷口 18分、高い位置でボールを奪うプレー。32分、右サイドからセンタリングをあげるチャンスメイク。後半50分、右サイドから左サイドに大きくサイドチェンジするフィードを供給。58分、少しのボールキープから浮き球で駆け上がる立花が前を向いて受けるようなパスを供給。69分、ボール奪取から縦にドリブル、上野にパス、攻撃のスイッチを入れるプレー。74分、中嶋からのパスをダイレクトでコントロールシュートするが枠外。

⚽INAC神戸レオネッサ

GK18 山下 24分、裏に抜け出した上野の1対1の局面となるが、しっかりシュートを好セーブ。

DF15 井手 前半は大きなミスもなく安定した守備やビルドアップをみせた。84分の前線へのロングフィード、うまくつながらなかったが、狙いは良かった。93分、右サイド守屋に正確なグランダーのロングパス。

DF5 三宅 今シーズン、自ら立候補してキャプテン就任(※)。29分、左サイド水野に正確なロングフィード。43分、ロングシュートを放つが枠外。49分、正確なロングフィードでチャンスメイク。51分、谷口とのマッチアップでしっかりと奪い切った後、中盤に縦フィードも正確につないでいく。73分、CKのこぼれ球を拾い、右サイドから髙瀬にドンピシャのクロスを供給するが、ゴールならず。

DF4 竹重 12分、立花の突破を阻止するプレー。31分、上野に入るボールに先に触ってピンチを防ぐ。32分にも上野からボールを奪う良い対応をみせる。62分、立花の積極的な仕掛けに対し、ペナルティエリア内でたまらずファウル、PKを与えてしまう。67分、水野に良いフィードを供給。

ボランチ7 脇阪 大阪府出身の23歳(※)。47分、右サイドに正確に展開。49分、ダイレクトで正確なパスを展開。54分、遠目のFKで田中に合わせるがゴールならず。64分、ミドルシュートを放つが枠外。

ボランチ6 伊藤 39分、こぼれ球を拾ってミドルシュートを放つがミートせず。後半46分、開始早々いきなり縦に素晴らしいフィードを供給。50分、中盤で何度もブロックに入り、広島の縦フィードを阻止する重要なプレー。52分に、中央から左サイド空いているスペースに素晴らしいパスを供給するが守屋のところでうまくおさまらず。93分、裏に抜け出す田中に浮き球パスを供給、決定機を演出。

右MF2 守屋 45分、裏を抜け出す中嶋に対応したが、カットインからの強いシュートを許した。後半52分、伊藤からの左空きスペースへの素晴らしいパスに良いタイミングで走り出していたが、うまくボールがおさまらず、ゴールキックとなってしまった。コンビネーションは合っていた。

トップ下10 成宮 前半は、珍しくあまり目立たず、普段よりは、良さを発揮できていない印象だった。後半49分、中央エリアで田中のパスを受けて縦に少し運んで右サイドの守屋に展開。

左MF14 水野 CKのキッカーをつとめた。序盤から積極的に攻撃に関与した。11分、左サイドから縦に髙瀬に絶妙なパスを供給。30分、カットインからミドルシュート、惜しくも枠外。88分、田中へのアーリークロスで同点弾をしっかりとアシスト。

FW9 田中 3分、右サイドから強めのシュートを放つが、木稲が好セーブ。42分、守屋からのパスを受け、右サイドを迫力ある突破。54分、脇坂のFKに頭で合わせるが枠外。58分、左サイドの水野に展開したのち、攻めあがってこぼれたボールを決定的シュートするがサイドネット。60分、遠いところから走りこんできてスローインのボールを受けてシンプルにスローアーに返すプレー。66分、佐山から体を入れてノーファウルでボールを奪う。85分、水野からのパスを中央で受け浮かして反転シュートするが、ブロックされる。88分、右サイド水野からのアーリークロスに合わせてようやく同点。継続的に良いプレーを続けていたことが、終盤でようやく実った。93分にも裏に抜け出して決定的で強めの枠内シュートを放つが、GKの好セーブで得点ならず。

FW11 髙瀬 1分、左サイドからクロスを上げるがシュートまで至らず。後半、イエローカードをもらう場面もあった。73分、右サイドから三宅の正確なクロスを頭で合わせるがゴールならず。

交代選手の印象

⚽サンフレッチェ広島レジーナ

91分 MF19 齋原(out上野) 前線からプレスをかける姿勢をみせる。

93分 MF33 瀧澤(out立花) 出場してじきに試合終了。

⚽INAC神戸レオネッサ

68分 MF8 阪口(out脇阪) 72分、右サイド水野に正確なロングフィードを供給。CK、FKのキッカーをつとめた。

78分 FW23 浜野(out髙瀨) あまりボールに触る機会はなかった。

88分 FW24 愛川(out成宮) 味方と噛み合うシーンは少なかった。

(※)・・・実況解説(画面情報含む)からの情報

まとめ

 序盤は神戸が巧みなパスワークでボールを支配しているものの、レジーナも決定機は作らせないディフェンスで応戦。18分あたりからは、レジーナの攻撃のシーンも増えてきた。中盤ではボールをもたれて回されても、最終ラインでしっかりと体を張って自由にさせないディフェンスで、神戸を攻めあぐねさせた。後半に入ってからはレジーナの攻撃にエンジンがかかり始め、互角と表現しても良いような緊迫した展開に。両サイドの中嶋・立花の積極的な仕掛けは間違いなく脅威になっていて、PKゴールも立花の仕掛けがきっかけだった。神戸も決して悪い内容ではなかったが、最後のシュートシーンの機会をもっと多く作れるような怖さが欲しかった。試合を通じてシュートやゲームメイク、ポストプレーなどで質の高さを継続して発揮していた田中が終盤にようやく同点弾。両チーム技術の高さが発揮される質の高い見ごたえのあるゲームだったが、両チームの、さらなる熱い試合・展開を今後期待していきたい。

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