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AFC女子アジアカップ C組日本対ベトナム戦レビュー

この試合の見どころ

ミャンマー戦に5-0で勝利した後のベトナム(FIFAランキング32位)戦。フィニッシュの迫力や精度、再三のコーナーキックを生かせなかったことなど課題も残ったが、第2戦となるベトナム戦ではどのような戦いを見せてくれるのか。

<先発選手の印象>

GK田中桃(日テレ) なでしこジャパンデビュー戦となった。最終ラインのミスをしっかり良いポジショニングでカバーし、何事もなかったように修正するシーンがあった。圧倒的に攻めている試合の中で、集中力を保つことは難しかったと思うが、しっかりゲームに入れていた。ほぼシュートを打たれなかったので見せ場は少なかった。

右SB清水 攻撃の起点になることが多く、成宮との連携も非常に良く、豊富な運動量による再三のオーバーラップで相手の脅威となっていた。第1試合目よりも存在感があったように感じられた。

CB熊谷 後半の序盤49分、猶本のFKを田中美南がヘディングシュートし、相手GKがこぼしたところをしっかり詰めていた。意外にも代表では2点目とのこと。

CB高橋 先制点は高橋のロングボールから生まれた。シュートではなかったと思うが、高橋のロングボールを相手GKがはじき、成宮が詰めた。後半に入り、途中出場した宮川に良いフィードを再三送っていた。

左SB乗松(大宮V) 普段大宮ではCBをやっているらしいが、左SBスタートとなった。13分、ポジショニング、受け方が良かった為、左サイドでドフリーでボールを受けるシーンがあり、単純にセンタリングを上げるシーンがあったが、スペースが大きく空いていたので、ドリブルで仕掛けるようなプレーで、あわよくば自らシュートも打つような選択肢も作り出せるような怖さのあるプレーが見たかった。後半、熊谷が交代してからはCBに入った。

ボランチ猶本 2点目、3点目は猶本のフリーキックから。中盤で球際で闘う、ガッツあるプレーも見せていた。

ボランチ隅田(マイナビ仙台) 派手さはないが、的確なポジショニングや、さりげなく相手をはがすプレーなど、中盤の選手としてしっかり役割を果たしていた。

右MF成宮 右SB清水との連携が良く、また仕掛けるプレーで右サイドで強い存在感を示した。1点目と3点目は成宮。シュートシーン自体は、詰めるだけのような簡単なプレーのように見えるが、ゴールを決めるところにポジショニングできる嗅覚が非常に優れている選手なのだと思う。もっと強い相手と闘ったときに、どれだけ良さを出せるのか、非常に楽しみである。

左MF遠藤 1試合目でも魅せたが、やはりパスの受け方が非常に巧い。今日はCKを蹴ることも多かった。

FW田中美南 MVP的活躍だった。2点目の猶本からのフリーキック、相手DFのプレッシャーもある中で、しっかりヘディングシュートをし、相手GKのこぼれ球を熊谷が決める先制点を呼び込んだ。良く顔を出しポストプレーするシーンや惜しいシュートシーンもあった。ゴールという結果を残せなかったのは残念だったと思うが、チームの中で良く機能していた。

FW菅澤 24分のコーナーキックのこぼれ球をシュートしたシーンが最大の見せ場だったか。

<交代選手の印象>

MF宮澤 ボール奪取やゲームメイク、速さを生かしたプレーで今日も存在感を示した。68分のボールを奪ってからのカウンターでボールを受けてスピードに乗ったドリブルで駆け上がったシーンは良かったのだが、その後の工夫、テクニックに課題を感じた。そこの武器が磨かれれば、本当に怖い選手になると思う。

ボランチ長野 79分にボールを奪われたシーンは完全に相手が狙っていた。ゆっくりしたパスへの寄りが遅かった為に奪われてしまった。86分のワントラップスピードアップからの宝田へのクロスボールは良かった。87分のスルーパスはパスミスになってしまった。

右SB宝田 80分のオーバーラップの駆け上がりは非常に良かった。86分の長野からのクロスボールからのヘディングシュートは枠をとらえてほしかった。

左SB宮川(日テレ) ポジショニングが良いからか、CB高橋から良いフィードを受けるシーンが多く、良い内容だったと思う。基礎技術もしっかりしている印象で、トラップ、ボールコントロール等正確だった。

FW植木 ボールを奪われてしまったが、85分のボールの受け方で巧さを見せた。

<まとめ>

試合結果は3-0。解説の澤さんが再三おっしゃっていたが、単調なリズムで攻撃していたこと、解説の大野さんがおっしゃっていた、単発のプレーで終わってしまっていること、そこに課題があると感じた。個々に良いプレーは見えるのだが、チームとしての一体感やリズム、波状攻撃になるような迫力という点で物足りない内容だった。これから、さらに厳しい試合が待っている。ここからの試合の経験の中で、リズムを自ら作り出していくことや連続的な迫力をいかに体得していくかに注目していきたい。また、この2試合はほとんど危ない場面がなかったが、次の試合は守備の面でも真価が問われる試合となる。チーム一体となって有機的な関係性を攻守にわたって構築していくことが成長の鍵を握っているように思う。

2022.1.26.18:19 長野選手の記述が抜けていたため加筆

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