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WEリーグカップ(グループステージB)第4節(ピックアップゲーム:ノジマステラ神奈川相模原対サンフレッチェ広島レジーナ)

今回のピックアップゲームは、ノジマステラ神奈川相模原対サンフレッチェ広島レディースです。

 ノジマステラ神奈川相模原に関しては、既にレビュー↓を書いており、移籍の動向については記述済なので割愛し、

サンフレッチェ広島レジーナの移籍の動向のみ掲載します。

⚽サンフレッチェ広島レジーナ
【退団選手】
無し

【入団選手】
巻胡花(広島文教大附属高等学校)、森宙舞(作陽高等学校)、瀧澤千聖(AC長野パルセイロ・レディース)

1.試合全体の印象

 初めての相模原ギオンスタジアムにて、芝生席から生観戦した。終盤まで膠着状態が続いていたが、終盤に激しい展開が待っていた。スタジアムのボルテージは最高潮だった。最後まで諦めずに闘い続けた両チームから、多くの人が大いに刺激をもらった試合だったのではないだろうか。
 印象に残ったのは、レジーナの若手の瀧澤選手と柳瀬選手の2人。瀧澤選手は芝生席からも脅威が伝わってきたし、スタジアム観戦では誰か分からないが、ボールを持った瞬間にエネルギースイッチが入る選手がいるなと思っていて、後でyoutubeで見返したら、柳瀬選手だった。スタジアム観戦では分からなかった好プレーもyoutubeでは多く発見できた。ノジマは最終ラインの伊東選手の縦パスのタイミングや正確性にセンスがあると感じた。また、スタジアム観戦の時には分からなかったが、後半から入った右SBの井上選手が非常に冷静に瀧澤選手や柳瀬選手といった技術の高い選手に対応できており、チームにパワーを与えていたことがよくわかった。
 終盤では、2試合連続で藤原選手がゴールを決めたり、川島選手や立花選手が次々とゴール、最後はオウンゴールで引き分けるわけだが、ゴールが入りそうもない時間帯が長かった試合で、終盤でこんなにも劇的な展開が待っているとは、サッカーは改めて不思議なスポーツだと感じた。

2.先発出場選手の印象

⚽ノジマステラ神奈川相模原

GK1 久野 自信を持ったプレーで後ろからチームにパワーをもたらした。62分、至近距離から瀧澤に決定的シュートを打たれるが、なんとか反応し、キャッチ。72分、伊東が抜かれ、谷口との1対1になりかけるが、躊躇なく前に出てクリアしてピンチを断つ。

右SB3 石田み 相対する瀧澤の対応に非常に苦戦していた。

CB5 大賀 安定感のあるプレーと存在感を発揮。前半、得意のロングフィードの回数は少なかった。後半51分、小川のフィードをヘッドでクリア。後半52分、松本を狙ってロングフィードするがつながらず。54分、スルーパスを入れられかけるが、落ち着いて対応し、最終的にスローインを獲得。76分、立花を狙ったロングフィードに落ち着いて対応、外に出す。

CB22 伊東 昨シーズンはノジマの店舗で働きながらプレーし、今シーズンよりプロ契約とのこと(実況からの情報)。昨シーズンにもみられたが、縦パスを入れるタイミング、正確性にセンスを感じる。47分、松原志保のシュートを体を張って阻止。55分、中村の縦パスをインターセプト。57分、小川のクロスボールをヘディングクリア。63分、右サイド前線までオーバーラップしていたが、生かされることはなかった。74分、齋原から奪ってそのまま駆け上がりオーバーラップしたが、生かされなかった。

左SB2 平野 8分、佐山のロングフィードに落ち着いて対応して事なきを得る。28分、南野か松本から非常に良いパスをゴール前で受けるがトラップが大きくなり、決定機を決めきれず。44分、ナイスディフェンス。92分、藤原からのパスを受け、相手に当て、CK獲得。このCKがゴールにつながる。後半48分、左サイド前線で、南野・藤原・杉田と良い連携をみせて、決定機のきっかけとなるパスワークを展開。63分、杉田のFKから右サイドに流れて受ける意表を突くポジショニングをみせるがつながっていかず。91分の川島に決められた失点シーンでは、川島にマーク・プレッシャーはかけていたのだが、川島のシュートの技がそれを上回った。92分、右サイドで相手に当ててCKを獲得、同点ゴールのきっかけを作り出す。

ボランチ6 松原有 中盤での奪い合いで闘ったり、攻撃参加も積極的にするなど攻守にわたり活発に躍動した。3分、左サイドをオーバーラップ、CKを獲得。49ー50分、藤原のバックパスを受け、フェイントを入れてからミドルシュートするが枠外。52分、左サイドで、松原優の縦パスをインターセプト。89分にもインターセプトからミドルシュートを放つがGK正面。

ボランチ19 石田千 12分、左サイドで藤原からパスを受け、右サイドの松本に大きくサイドチェンジするが、ピンポイントで合わずややそれる。後半46分、スローインをボールコントロールから苦し紛れのバックパスの一連の過程の中で瀧澤に狙われ奪われてしまい、あわや失点のピンチを生み出してしまう。53分、右サイドのスローインを受け、巧く相手をはがすボール運びから縦パスを展開。65分、周りを見ながら中盤でボールを受けゲームを組み立てなおすボランチらしい姿勢をみせる。

トップ下10 杉田 1分、ポストプレーがつながっていかない。セットプレーではキッカーを務めた。39分、ファウルを得てFKを獲得。41分、運び、展開する力を発揮。後半も引き続き、ボールを運び視野を確保しながら、しっかりと展開する中盤らしいプレーを連発。後半47分、交代出場の左SBの井上が瀧澤から奪ったボールを中盤で縦関係で受け、前を向き、運び、右サイドの平野に展開。59分、右サイドからの松本のピンポイントクロスにヘッドで合わせるがGK正面。84分、縦パスを巧く受けて右の平田に展開。85分、前線で体を張ったプレーを阻止される。ノーファウルの判定。93分、蹴ったCKが混戦を経てゴールに吸い込まれる。

右FW20 松本 25分、左サイドを走り出し、それに合わせるように南野が右サイドからクロスを出すが追いつけず。面白くなりそうな展開だった。後半48分、左サイドのパスワークからこぼれてきたボールを、至近距離シュートするが、弾かれる。決定機だった。その後、悔しさを前面に出してレジーナから激しくボールを奪おうとするプレーもあった。57分、最終ラインからのクリアボールを落ち着いて処理・キープし、バックパス、安定感のあるプレーをみせた。59分、右サイドでを抜け出しながら迫力ある突破から中央で待つ杉田にピンポイントクロス。70-71分、右サイドで積極的に仕掛け、ファウルを誘ってよい位置でFK獲得。

センターフォワード9 南野 17分、左サイドから右サイドに展開するクロスボールを入れるが、正確性を欠く。20分、中村のパスを読み、インターセプト。25分、藤原からパスを受け、左サイドから右サイドへと展開するクロスを入れるが合わなかった。39分、奪うプレー。後半に入ってからは、平野・藤原・杉田らと流動的な関係性の中で良いコンビネーションを頻繁にみせるようになる。77分、リズムよいパスワークから最後に南野がシュートを放つがジャストミートせず。

左FW27 藤原 3分、ボールを奪われる。5分、平野にパスをしようとするがつながらずタッチラインの外へ。同分、川島へプレスに行き、奪ってからはコントロールして平野につなぐプレー。9分、松原志保にボールを奪われる。16分、インターセプトから素早く縦パスを入れるが、惜しくもつながらない。27分、小川にボールを奪われる。25分、相手のゴールキックのボールを処理した松原優菜からボールを奪い、素早く近距離の南野にパス、面白いパスワークのスイッチを入れるプレーとなった。34分、高い位置でボールを奪うまでは良かったが、シュートを打てる位置でパスを選択。後半48分、鋭い読みで駆け上がって左サイド前線でパスカットする好プレー。72分、久野のクリアボールを落ち着いてコントロールし、右の井上に展開。82分、低い位置から正確な縦パスを供給。83分、交代出場の平田が前線で頑張って残してつないだパスを受け、ミドルレンジからの右角に狙いすました豪快シュートがゴールに。2試合連続ゴール。この角度をちょっとでもフリーにさせてしまうと、確実に決めてくる恐ろしい選手である。

⚽サンフレッチェ広島レジーナ

GK31 福元 スタジアムにいるとよくわかるが、試合を通して、福元選手の指示の声が止むことはなかった。後半56分、バックパスを、落ち着いてダイレクトの正確な浮き球パスで右サイドの松原優に展開、確実につなげる。

右SB2 松原優 0分、スローインから、パスがつながっていく。5分、スローイングがつながっていかない。7分、縦パスを試みるが、つながらず。17分、谷口へのフィードつながらず。後半47分、平野とのマッチアップし、ボール奪取。48分、佐山が狙われて藤原にボールを奪われるが、それを素早くカバーリングして外に出す。後半51分、藤原の縦パスをカット。守備面では良い部分を多く発揮できたが、攻撃参加やフィードの点で目立ったプレーがないまま、58ー59分に、島袋と交代。

CB6 佐山 終始鋭い読みや安心感を与えるプレーで最終ラインを統率した。1分、最終ラインで体入れてキープ。8分、ロングフィードを供給するが、対応される。48分、長距離から駆け上がった藤原にトラップミスを狙われてボールを奪われる。56分、縦に入れたパスが川島に通る。57分、中途半端な中盤へのショートパスが奪われる。

CB4 中村 10分、中途半端なパスが奪われる。20分にも、中途半端なパスが読まれて南野に奪われる。55分、体を張って南野を自由にさせない。55分、縦パスを入れるが読まれる。57分、南野への縦パスに激しくチャージし、ボールを奪う。64分、石田千のスルーパスに冷静に対応し、チャンスを作らせない。72分、松本の仕掛けに対し、木﨑の守備のカバーリングでピンチを断つ。85分、体を張って杉田の決定的なポジションでのプレーを阻止する。

左SB5 木﨑 17分、柳瀬へ縦パスが通る。後半57分、佐山のミスパスで嫌な流れになりかけたところを、積極的なインターセプトで流れを止める。

ボランチ15 小川 セットプレーのキッカーをつとめた。6分、ダイレクトで谷口へパスをつなぐ。19分、中盤で顔を出しパスを受け、左サイドにパスをつなぐ。27分、藤原からボールを奪う。後半80分、中盤から右サイドの島袋に正確なパスを展開。

ボランチ23 柳瀬 11分、瀧澤から始まったカウンター、谷口にパスが渡りつぶされるが、すぐに柳瀬がカバーリングして決定的なシュートまでもっていき、相手に当たってCKを獲得。流れを読む力・ポジショニングの良さ・タイミングの良さを感じられる一連のプレーだった。16分、奪うプレー。17分、木﨑からの縦パスを振り向き前を向きながら受けるプレー。19分、ボールを奪いながら前を向き、素早く谷口につけるパス、よどみなかった。29分、谷口への質の高いスルーパス。34分、ボールを奪う。43分、中盤から前を向き、枠内シュートまでもっていく力強いプレー。後半46分、交代出場の井上を背負いながら、何かやってくれそうな雰囲気を醸し出しながらボールをキープするも、前に振り向くことができずに相手にスローインを与える結果となってしまう。後半47分、中盤で素早くボールを拾ってスムーズに左サイドの瀧澤に展開。93分、自ら獲得したスローインから素早く齋原に投げ、齋原の鋭いセンタリングを、川島がスマートに流し込み、逆転に貢献。

MF18 松原志 0分、ドリブルからスルーパス、惜しかった。5分、中盤でキープ力をみせる。9分、藤原からボールを奪う。9分、キープ力をみせる。47分、シュートを放つがブロックされる。後半序盤、仕掛けるプレーで良い位置でファウルを誘い、FK獲得。

右MF7 川島 22分、高い位置でボールを奪った谷口からパスを受け、シュートを放つがブロックされる。32分、瀧澤に良い展開。45分、中盤でボールを奪われる。47分、谷口のポストプレーを右サイドで受け、さらにオーバーラップする松原優にパス。後半46分、高い位置でボールを奪った瀧澤からのパスをミドルレンジで受け、ダイレクトの枠内シュートはGK正面。67分、ノジマのCKのこぼれ球を拾ってスマートなボール運びから縦への展開パス、よどみない。80分、振り向きざまでシュートを放つが大きく枠の外に外れる。81分、齋原からのパスを受け、ワンタッチで絶妙な谷口へのパスを供給するが、ゴールならず。87分、南野のクロスに対し、戻りながらカット。91分、早い展開から始まった齋原からの鋭いクロスをスマートなダイレクトシュートで見事に右隅にゴールを決める。このゴールで完全にスタジアムはレジーナが勝ったかのような雰囲気になったのだが・・・。

左MF33 瀧澤 再三、左サイドから、質の高いセンタリングや、シュート性でニアで合わせればゴールを奪えそうなボールを供給したが、中で合わせられる人がいなかった。12分、左サイドで縦パスを川島に供給するが、やや厳しく惜しくもつながらなかった。19分、石田みなみからボールを奪う。30分、非凡なリズムのドリブルテクニックで相手を翻弄。41分、ボールのもらい方の巧さを発揮する。後半46分、前線の高い位置でボールを奪い、川島にパスして決定機を演出。しかし、その後は交代出場の井上に冷静に対応されてしまうことが多く、前半の躍動感あふれる突破は影を潜めた。ただ、62分、谷口と連携して前線でボール奪取し、決定的なシュートまでもっていくシーンもあったが、久野にセーブされる。67分にはノジマのテンポよいパス回しがノジマゴールの予感をさせるが、低い位置まで戻って冷静な読みでピンチを断ち切るプレーも。73分に立花と交代するが、抜群の積極的な仕掛け・ボール奪取の読みの勘の鋭さ、シュートやセンタリングまでもっていく力など、この試合のレジーナで最も華やかな見せ場を作ったプレーヤーの1人だったが、ゴールに至らなかったことは悔やまれる。

ワントップ13 谷口 5分、中盤でボールを受け、右サイドの川島に展開。22分、高い位置でボールを奪い、川島にパス、シュートに至るが相手にブロックされる。47分、見事なポストプレー。後半51分、中盤の小川?からのスルーパスを右サイドで受け、オーバーラップする川島に縦パスが通る。62分、前線で大賀からボール奪取し、こぼれ球を瀧澤が拾って決定的シュートまでもっていくもゴールならず。71分、中盤で冷静にボールコントロールから、右サイドの島袋に展開。81分、川島から最高の形でパスを受け、井上に対応されるが切り返してシュートまでもっていく。惜しくもバーを叩きゴールならず。

3.交代出場選手の印象

⚽ノジマステラ神奈川相模原

46分 右SB 井上(out石田み) 昨シーズン1試合のみの出場、大怪我からの復帰で、前節でサブ入り、この試合で途中交代ながら初出場。前半、対応に苦慮していた瀧澤や、時折流れてくる柳瀬といった、技術の高い選手に対し、冷静な好守備を連発し、サイドの安定化に貢献。
 後半立ち上がり早々、スローインする機会があるものの、パスはつながっていかない。46分、要注意プレイヤー柳瀬のフェイントを織り交ぜたボールキープに対し、前を向かせない守備で対応し、最終的にスローインを獲得。47分、瀧澤の仕掛けに冷静に対応し、ボールを奪い、縦パスで杉田につなぐ。54-55分には、オーバーラップして攻撃参加する場面も。57分、最終ラインから南野に縦パス。57分、左サイドで積極的に仕掛けてくる瀧澤に落ち着いて対応し、ゴールキックを獲得する。60分、右サイドオーバーラップでフリーでボールを受ける。74分、中盤でインターセプトして前線・縦にパスを入れる。82分、積極的なオーバーラップで前線まで駆け上がり、フリーで受けるがオフサイド。

79分 MF7 平田(out松本) 83分、走りながら縦パスを受け、プレッシャーを受けながらも奪われず、しっかりと藤原につないだプレーが先制点につながる!87分に奪われた立花の失点シーンでは、最後までプレッシャーにいっていたのだが・・・。87分、浮き球で南野に右サイド縦へ展開、通る。

⚽サンフレッチェ広島レジーナ

59分 右FW19 齋原(out松原志) 81分、中盤付近にいた立花からの縦パスを受け、逆サイドの川島に展開、視野の広さをみせた。91分、柳瀬の素早いスローインからワントラップからの鋭いクロスで川島のスマートなボレーシュートをアシスト。

59分 右SB20 島袋(out松原優) 61分、右サイドでボールを受け、運び、縦パスを入れ、そのまま追い越す積極性をみせるが生かせず。62分、久野のゴールキックをヘッドでクリア。66分、リズムよいパス交換で駆け上がっていくが、最後の谷口へのパスはオフサイド。68分、川島のパスを受け、前線にボールを運んでいき、井上に対応されてもなお強気で突破を試みるがファウルとなってしまう。

74分 左FW26 立花(out瀧澤) 入ってから、何度かフリーでボールを受ける場面があった。81分、齋原に縦パスを入れて、そのまま前線へ駆け上がり、86分、中央エリアでボールを受けてはたき、もう一度受けて強気のプレーで混戦の中、シュート、諦めない連続プレーの結果、追いつくゴールを決める。

4.まとめ

 前半、パスが何本も正確につながっていくのはレジーナの方が優勢だったが、後半に入ってからは左サイドの平野・藤原・南野・杉田の4人を中心としたパスワークからノジマも良いリズムを生み出し、拮抗した展開となった。交代出場選手も両チーム、全員非常に大きな存在感を示し、ゲームに活力をもたらした。
 スタジアム観戦1回とyoutube観戦1回を通して、スタジアムでもはっきりと目立つ活躍をする選手、スタジアム観戦ではわからないが、youtubeで見直すとチームに大きく貢献していたことがわかる選手、がいて非常に勉強になる試合だった。試合を2回見る価値のある、最後まで諦めないことの重要性も伝えてくれる、非常に面白い試合だった。

2022.9.13 加筆修正

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