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小学生にオセッカイをやいてから考えた地域育児っていうこと。


ついこのまえ、ワタシが暮らす地域で、ちょっと不穏なニュースが流れたり、埼玉で子供を1人にしちゃいけない法案がニュースになったりしました。それを見ながら、ああ、子供たちが大きくなると、心配するとか心配がなくなったっていうわけじゃないけど、ワタシが暮らし方を替えなくちゃって悩まなくていいのは気楽だなぁ、と胸を撫でおろしていました。

スマホを持った人たちしかいない現在の暮らしは、お金はかかるというデメリットは大きいけれど、便利で話が早いという大きすぎるメリットがあるから、もうこのスタイルは外せないな……

そんなことをしみじみ感じてたばかりのある日、
ちょっと遠くの街で用事を済ませて、駅に向かっていたワタシは、小学生に呼び止められました。
今は珍しくなった電話ボックスにいる3人組は3年生で、不審者が怖くて帰れなくなった友達をどうしたらいいか悩んでいる、というのです。

不審者???!!! で……出たの???!!!
子供の話は、的を得ません。うーーんと耳を傾け、頭を振り回転して事実を探し、要点をまとめないとならないんだったって思い出し、必死で聞き取りました。
50代にして補聴器を使っているほど聴力が弱いワタシは、小学校の先生方って耳がよくないと仕事できないなぁと感心しつつ、なんとかかんとか彼らの現状を把握したのでした。

学校で、暗くなったら1人で歩いちゃいけないって言われたんだけど、帰りが遅くなっちゃって、この子が怖くて家に帰れないんだ。この子はお兄ちゃんがいるんだけど、お兄ちゃんはもう下校してたの。だからお母さんにお迎えにこれるかどうか聞こうと思って、公衆電話から電話してるんだけど、ぷーぷーいっちゃうの。電話が壊れてるの? お母さんのスマホが壊れてるの? 私とあの子は家がすぐそこだから、ここでバイバイなの。

さすが女子は説明が上手だった


不審者は、出てなかった…… よかった。

この子っていうのは男の子で、3人の中で一番からだも小さくて、声も小さかった。同じ3年生だけど、恐怖の感じ方はマチマチだろうし、想像力もそれぞれだし、先生の話の届き方もバラバラだもんなぁ。
だからってまぁ、気を付けなさいっていった先生が悪いんでもない……
ましてや仕事していて電話に出られないお母さんが悪い訳でもない……
怖がってる子を怖がらせてるのは、ワレワレ大人なわけだ……


「もしキミがおばちゃんを不審者だって思わなくて怖くないなら、おばちゃんが送っていこうか?」

ときいてみたら、3人は大きくうなづいて、ありがとうございます! ととても大きな声で応えたので、ああ、助けて欲しかったんだね、本気で。
そうかそうか、たすけちゃろ。よし、今日はもう万歩計が1万歩を超えていて、しかも今年初のブーツだから早くお家に帰ってスリッパになりたいって思ってたけど、一肌ぬいぢゃろ。

と決心し、ワタシはその子を家まで送り届けました。
我が家の子供たちも、いやいやワタシも夫も、どこかで誰かにオセッカイしてもらいながら、安全に大きくなったのかもしれないし。
だからこの時間はそのお返しだ。
ああ、トイレに行っておいてよかった。お腹が空き過ぎてなくてよかった。
猫たちのご飯も出して来たし、炊飯器の予約してきたはず。
そういった余裕がなかったら、立ち止まらなかったかもしれない。
話を聞いても、立ち去るしかなかったかもしれない。
そしたらきっと、あの子はどうしたろってずっと気にしてた気がする。
この子たちはほかの解決方法を探したかもしれないけれど、ワタシは、この子を家まで送り届けて、自分が持ってしまった不安を解消したかった。

好奇心が旺盛で、オセッカイで、世話焼きたがりを満たすように暮らすには、お家のことを準備万端にやっとおくと、臨機応変に対応できるんだな。

なんてことを考えながら送り届けました。

あそこがぼくんち。

ワタシは、見知らぬおばちゃんがお家を知ったってなると、親御さんが不安になったりするかなぁと思ったから、ちょっと手前でバイバイしようねっていってたんだけど、彼が教えてくれた時は、すでに彼が住むマンションの入り口でした。
彼はワタシに小さく手を振ると、飛び込むようにエントランスに入って行きました。
そっか、怖かったんだもんね。変な気を遣っちゃってごめん。大人のシガラミみたいなの押し付けちゃって、彼の不安をうっかりしてた。
見知らぬおばちゃんに送ってもらってもいいっていうくらい、怖かったんだった。明日からお兄ちゃんと帰れるといいね。


地域で育てようってスローガンを見たことあったけど、ほんとねって実感しました。家に帰ってその話をしたら、息子が、
「その彼が大人になったとき、小さい子を助けるかもしれないね。ママもきっとたくさん助けてもらってきたから、できるんだろしね。」
と大人びたこといっていて、笑ってしまったけど。

夕方に歩くことがあったら、小学生にちょっとだけ、気持ちを傾けてみようって思った出来事でした。


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