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産地を訪ねて

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ものづくりの産地で見て来たことをまとめました。
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#エッセイ

旅する漆〜天然塗料「漆」の精製現場①〜

長野県で漆掻きを行う職人の竹内さんに漆の精製について教えていただきました。 ウルシの木から採取したばかりの漆は、余分な水分やホコリなどの不純物が混ざり、そのままでは使えないため精製作業を行います。 ウルシの木に傷をつけると樹液が出てくる。きれいに精製することで漆になります 竹内さんは漆の生産量日本一を誇る岩手県二戸市の職人さんのもとで修行した後、木曽で掻き子をしながら、漆の精製、塗もできるマルチにご活躍されている職人さんです。 今回は普段見ることができない精製工場を見

台湾 藺草と生きる人々を訪ねて (前編)

藺草編み 台湾伝統工芸のはなし 【はじめに】 出張で年に何度か訪れるようになった台湾。訪れるたびに、人々の心のやわらかさに驚く。 この地で生まれたものはみんな親戚なんじゃないかと思うくらい、人と人との距離が近い。 それは、「他人」ではなく「そばにいる誰か」とでもいうような、ちょっと不思議なほっとする感覚。 少しずつ彼らが住む、台湾のことを知りたくなっていった。そんな中、ネットで見かけた藺草(いぐさ)編み。 わら細工とまた違い、ひと編み、ひと編みがとて

台湾 藺草と生きる人々を訪ねて(後編)

【藺草編みの伝統をいまに伝える「藺子」】 お店の扉を開けると店員さんの挨拶よりも先に藺草(いぐさ)のいい香りが出迎えてくれました。 思わず「いい匂い!」と口々に話していると、店員さんもにっこり。 ・ 苑裡駅から歩いてすぐのところにある藺子。 伝統的な藺草編みを現代的にアレンジした帽子やカバンを始め、藺草を使った様々な小物を取り揃えているブランドです。 若手デザイナーと60~90代までの地元のつくり手の方が中心となって製品をつくる一方、若手の育成も行なっています。 店員さ