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産地を訪ねて

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ものづくりの産地で見て来たことをまとめました。
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#工芸品

木曽漆器とつくり手〜蒔絵体験2〜

先日、蒔絵体験をしました。 蒔絵(まきえ)は漆器の上に漆で絵を描きその上に金粉などをまいて絵を描く技法です。始まりは平安時代と言われています。 洗ったりしたら金粉がすぐに取れたりしないの?と心配になる方もいるかもしれませんが、 漆は金継など接着剤としても非常に優れた性質を持っているので、ちょっとやそっとでは取れません! プリンターも化学物質もなかった時代に人と自然の知恵から生まれたすばらしい技術です。 初心者なのでカーボン紙を使って絵を写した後、漆に触れてかぶれないよう注

木曽漆器とつくり手〜蒔絵体験1〜

蒔絵(まきえ)は漆器の上に漆で絵を描きその上に金粉などをまいて絵を描く技法です。始まりは平安時代と言われています。 洗ったりしたら金粉がすぐに取れたりしないの?と心配になる方もいるかもしれませんが、漆は金継など接着剤としても非常に優れた性質を持っているので、ちょっとやそっとでは取れません!プリンターも化学物質もなかった時代に人と自然の知恵から生まれたすばらしい技術です。 名古屋城の本丸御殿修復に関わった小川さんに蒔絵に使う漆を見せていただきました。 下絵は漆黒の上に描い

木曽漆器とつくり手〜国産漆を訪ねて〜

長野県塩尻市にある漆精製工場にお邪魔し、漆の精製現場と国産漆についてお話を伺いました。 貴重な国産漆日本の漆は海外の漆よりも濃度が高く、不純物も少ない、そして固まると非常に強いのが特徴です。 現在、日本で使われている漆の9割が海外から輸入されたものです。日本産の漆は非常に貴重で中国産と比べると価格は7倍から8倍くらいになります。 そのため、下地の部分は海外産を使用し、最後の上塗りに国産漆を使用することが多いそうです。 中国産は流れ出た漆を受け皿にためて採取するため、雨

木曽漆器とつくり手

長野県塩尻市の木曽漆器産地で つくり手の方たちにお話を伺いました。 【漆とオリンピック】 漆器(しっき)といえば英語でjapanとも表現される日本を代表する伝統的工芸品です。長野オリンピックではメダルに木曽漆器の技術が用いられました。 当時はまだ小学生だったので、大人になって塩尻市の「木曽くらしの工芸品館」を旅行で訪れたときに初めて長野オリンピックのメダルを見ました。 そのときあらゆる光を吸い込み呼吸をしているような漆黒の美しさにすぐに心をひきつけられ、世界一かっこいい

台湾 藺草と生きる人々を訪ねて (前編)

藺草編み 台湾伝統工芸のはなし 【はじめに】 出張で年に何度か訪れるようになった台湾。訪れるたびに、人々の心のやわらかさに驚く。 この地で生まれたものはみんな親戚なんじゃないかと思うくらい、人と人との距離が近い。 それは、「他人」ではなく「そばにいる誰か」とでもいうような、ちょっと不思議なほっとする感覚。 少しずつ彼らが住む、台湾のことを知りたくなっていった。そんな中、ネットで見かけた藺草(いぐさ)編み。 わら細工とまた違い、ひと編み、ひと編みがとて