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「華優希」というタカラジェンヌⅢ〜私が愛した、宝塚のつむじ風〜


こんにちは。

一昨日のNHK版『はいからさんが通る』が
大変評判な様で
ウキウキの、みみまみです(((o(*゚▽゚*)o)))

このウキウキ気分で、
初演はいからさんの記事を書く!

とても幸せなことです(^^)

この初演はいからさんは、ファンにとって、
そして出演したジェンヌにとっても、
とても大きな公演でした。

そして、この公演で、足掛け3年半もの間、
私たちに夢を見せてくれた
『れい華コンビ』が誕生しました。

そのスタートの時を、
私の想像を交えつつ、
辿りたいと思います。


この記事は私の主観が入っております。
読む上で、その点はご注意ください






第三章

導く人


『はいからさんが通る』初演は、
別箱ならではのシンプルな舞台装置と
少人数だからこその舞台空間を活かし、
2020年の再演と比べても、
明るいラブコメに特化していました。

小柳先生の素晴らしい脚本・演出に加え、Elemental Gardenの藤間さん作曲の
主題歌「大正浪漫恋歌」

そして宝塚歌劇団が誇る作曲家・手島先生の
デュエットソング「風の誓い」


この2曲は作品の世界観を見事に表現し、
多くのファンを魅了しました。

これほど素晴らしい作品ですが
2017年は、ライブ配信などもなく、
また正2番手(つまり次期トップスター)より
下の番手の公演は、円盤も出なかった時代。

そして、この時の柚香さんは、花組3番手。
つまり、円盤も出ない可能性が高く・・・。

「見たいけど、チケットがない・・・
チケット・・どこ・・・??」

と、この公演も観るため、
ゾンビのようにチケットを追い求めるファンが
多発したそうです・・・南無阿弥陀
(私は映像のみなので、目撃はしておりません)




さて、一度、話を変えます。
皆さんは柚香光さんというジェンヌさんを
どのような方だと思われますか?

華やかな容姿とオーラのトップスター

組を愛し、相手役を包み込む、包容力のある男役

声や立ち姿、走り方まで、変幻自在な芝居巧者

鋭く緩急の効いた、目を奪われるダンサー

独特の世界観を築くモデル

言葉の選び方が素敵で、理知的な女性・・・



いやぁ、誉め言葉がつきませんね!!
素晴らしい方だと思います。

ただ、人は成長していくもの。
柚香さんも、このような評価を
初めから得ていた訳ではありません。

下級生の頃の柚香さんは、
研2でショーの通し役をもらえるほど、
劇団からの期待を一身に背負った、
路線ジェンヌでした。

新人公演に出演する学年(研6~研7)ながら、
既に花組3番目に就任していたと言えば、
その期待の大きさが分かるでしょうか?

ちなみに今の宝塚において、
一番若い3番目(ただし次の公演での就任予定)は
98期生の研10です。

しかし、出過ぎる釘は叩かれるのが、世の常。
柚香さんは、その華やかなスター性が
先行するあまり、苦手な歌や芝居を
叩かれやすい立場でもありました。
(この頃の柚香さんは決して、
芝居巧者ではありません。)

そのため、3番手時代の柚香さんは、
インタビューやテレビ番組で、
気の許せる仲間に対しては
無邪気で明るい表情を見せる一方、

入り出に参加するファンから
「氷上を歩いているような、
ピンッと張り詰めた空気をまとう方」
と、表現されるような方でもありました。
(あくまで、入り出に参加していた方の
呟きからの情報です)

また、数年前のスカイステージ特番では、
何期も離れた他組上級生メンバーの中で
柚香さんだけ、緊張しつつ
参加している姿がありました。
(あれは、結構辛い・・・)

そのような状況下でも、
花組3番手として、舞台に
真摯に向き合い続けてくれた、柚香さん。



そして、2017年。
花組の人事は、変動期を迎えました。

娘役人事としては
明日海さんの2番目の相手役である
花乃さんが退団し、
3番目の相手役として仙名さんが、
トップ娘役に就任。

この時の花組2番手は、
現在、宙組で2番手を務めている芹香斗亜さん。

ちなみに、花組2番手・芹香さんの、
初東上公演は2017年3月でした。

そして、はいからさん初演公演は、
2017年10月。

・・・そうです。
柚香さんの初東上公演と、
わずか7か月しか間が開いていない。

そして、芹香さんは、
2017年の終わりに、宙組に組替となっています。

・・つまり、はいからさん初演時の柚香さんは、研9の学年で、花組暫定2番目に
上がることが決まっていました。

私、想像しただけで、
胃に穴レベルのプレッシャーが(((;゚Д゚)))))))

この頃、見守っていたファンも、
東上公演初主演を喜ぶと同時に、
柚香さんの肩にかかる重圧を
心配したのではないでしょうか?

そのような背景を抱えつつ、
柚香光さん初東上公演
『はいからさんが通る』のお稽古は、
2017年の残暑厳しい中で始まりました。

さて、ファンが心配する中、
お稽古が始まってみて、
どうだったかというと・・・




めちゃくちゃ、楽しそうでした(笑)
ファンの心配、どこ吹く風(笑)

実際、楽しかったようです。

主要キャストは、花組が誇る実力者達でしたし、柚香さんと同期である、
水美舞斗さんも鬼島役で登板。

スカステのナウオン(公演内容を
主要キャストで紹介する番組)でも、
終始明るくて、良い雰囲気。

みんなで、明るくて素敵な作品と
温かい稽古場の様子を、楽しそうに語る姿は
観ているだけでニコニコします。

そして、初めてのスカステ・ナウオン真ん中で
誰よりも緊張している華さんが
柚香さんに褒められ、アタフタしている姿。

それを観て、面白がりつつも
華さんを優しく見守る柚香さんの姿が
ファンの心を鷲掴みにしました。

これが、それから多くのファンを狂わせた、
「れい華」の始まりです。

先ほども述べましたが、
この頃の柚香さんの肩には、
かなりの重圧がかかっていました

そんな柚香さんが、
自分が大変な時にも関わらず、
下級生の華さんを面白がりつつも、
優しく導く姿は、「男役の包容力」を、
そして「伊集院少尉」を感じさせるものでした。

そして、そんな柚香さんに、
ガムシャラについて行こうと頑張る、
可愛らしい娘役・華さん。

この2人のやりとりは、さながら漫画の中の
「紅緒さん」と「伊集院少尉」に
通じるものがありました。

だからこそ、この、れい華のやり取りは
多くのファンを喜ばせたのでは
ないでしょうか?

(でも、褒めるところ、
自転車のガマ足って・・・。
柚香さん、マニアック(笑))

実際のところ、お稽古場での華さんは、
かなり大変だったみたいです。

一章でも述べましたが、
元々芸事の経験値が少なく
歌やダンスが苦手な華さんは、
オープニングのダンスが、
本当に覚えられなかったらしく・・・。

そんな華さんに対して、柚香さんが、
とにかく練習に一から付き合って、
導いてくれたことは、
華さんの卒業インタビューで明かされています。

華さんのお稽古は、
とても時間が掛かったと思います。
そして、かなりキツかっただろうとも。

華さん自身、自分自身の経験不足や
技術の足りないところを
誰よりも分かっていたからこそ、
『命果ててもいい』と思う勢いで
お稽古へ臨んでいました。
(華さんの、自分自身を削る様な稽古の様子は、
同じ組子達の話からも伺えます) 
(そして、この華さんの稽古の状態は、
退団まで、ずっと続きます。)

柚香さんは、この華さんを
相手役として見守り続けました。

私が思うに、
この2人は舞台に向き合う姿勢が、
とても良く似ています。

演出家の小柳先生が
はいからさん初演時を振り返った時、

「公演終了後、疲れているだろうに
通しで芝居の稽古をしている2人を見た。
それを見た時、この作品を、こんなにも
愛してくれているのだと感動した。」

と、あるインタビューで話していました。



まあ、小柳先生の、
後の華さんへの卒業メッセージでは、
『芝居オタク』
と、情緒もへったくれもない、
ひっくるめた表現をされていましたが(笑)

でも、小柳先生の述べた通りなのだと思います。この2人は、とにかく同じ熱量で、
芝居を愛し、向き合っていました。

それは、はいからさん初演でも、
それ以降もずっと。

だからこそ、この2人のお芝居は
相乗効果を生み出し、
その魅力で多くの人を
惹きつけたのだと思います。

惹きつけられた人の中には、
2人の作るお芝居の力が強すぎて、
夢と現実の境目が分からなくなる人も・・・(笑)

ええ、私が、そうです(断言)

だって、この2人ずるいんです!!
舞台の延長戦の様にカーテンコールを、
繰り広げていくんですよ!!

皆さん、はいからさん初演の時の
カテコエピソード、知っていますか??

鳳月編集長が、華さんの肩に腕を回すと、
柚香さんが華さんに対して、
「おいで」と腕を広げたりとか。
それに華さん、笑顔で抱きついたり・・・。

そんなこと、していたらしいんですよ!!!
信じられますか???
なぜ、映像が残っていない!?!?
人類の損失だ!!!!

・・・ナイスワークのカテコも
中々のものでしたが、
初々しいれい華のカテコは、
さぞ素敵だったでしょうね・・・。
あー、観れていない自分が悔しい!!



個人的な思いが漏れてしまいました・・( ˘ω˘ )
話を戻します。

舞台内外で、
体当たりで『紅緒さん』に向き合った華さん。

そんな華さんを、舞台内外ともに見守り導いた
『伊集院少尉』のような柚香さん。

このれい華コンビの芝居への熱量、
素晴らしい演出と音楽、
あたたかく、魅力あふれるジェンヌ達。


様々な要素が絡み合い、
現実と芝居が入り混じる様な不思議な状態で、
『はいからさんが通る』初演は、
大絶賛のもと、幕を下ろしました。

今観ても、このはいからさん初演は、
『若さゆえの、青臭くも爽やかな空気』
が溢れており、キラキラと眩しいです^_^

完成度は、もちろん、2020年版が上ですが、
この時の、このジェンヌ達だからこその、
この空気感は、心から愛おしい。


とても素敵な公演だったと、断言できます^ ^


そして、ここから、
『不思議なほど縁深い(柚香さん談)』コンビが、
始まります。

ちなみに、この直後に、
あの大作がやってきます。

そう、宝塚が誇る大演出家・小池修一郎の
愛と夢が詰まった、『ポーの一族』が。 


第四章に続く


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