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先入観

私はポルトガルという国が好きだ。
ポルトガル人の国民性が好きだ。

私の暮らすフランスではポルトガルという国は馬鹿にされがちである。
何故かというとその昔、ポルトガルが独裁政権だった時代にフランスに来た移民が沢山いて、そのイメージが強いせいだ。
移民というのはとかく立場が自国民より弱い。
持てるものを全て手放して裸一貫異国の地で暮らす。
仕事なんて選んでいられない。
そんな理由でお金持ちアパルトマンのコンシェルジュや掃除婦、工事現場や建設現場などの仕事をするポルトガル人がフランスには多かった。
だから学がなくて貧乏で掃除くらいしか能のない垢抜けない人達というイメージが未だに固定化してしまっている。

私は日本人だからポルトガルにはネガティブなイメージはなかった。
ただあまりイメージの湧かない西欧の小国、大航海時代の朧げな印象しかなかった。
日本に最初に来た西欧人、フランシスコ・ザビエル、カステラくらいのイメージ。

夫の影響でポルトガルに行き始め、どんどん好きになっていった。

ポルトガル人の国民性は謙虚で親切、すれていない。
そうでない人ももちろんいるし一般化は出来ないけれど、概ね当たっていると思う。

ポルトガル人は気遣いが細やかな人が多い気がする。

レストランで魚とサラダを注文する。
すると付け合わせに付いてくるサラダの量が多いから、別にサラダを頼む必要はないと店員が教えてくれる。

朝早くホテルに着いて、チェックイン時間までの間、荷物だけ置かせてもらいに行く。
すると朝早くから移動で疲れてるだろうから朝ご飯でも食べていったら?と勧めてくれる。(朝食のオプションをつけていないことは確認してる)

カタコトのポルトガル語を分かろうと努力してくれたり、こちらの解する言語に切り替えてくれる。
ポルトガルは小国の自覚があるからか、当たり前に数カ国語を操る人が多い。
そしてそれをひけらかさない、当たり前の事と思っていそうに感じる。

困っている人、お年寄りにとにかく優しい。
道や席を譲るのは当たり前。
荷物を持ってあげたり、肩を貸してあげたり。

カトリック色の強い保守的な考えかと思いきや、意外と理解があったりする点も好きだ。

同性婚の法律はフランスと違い、あっという間に通った。

去年だったかその前だったか忘れたが、ある年のミスポルトガルはトランスジェンダーだった。

知れば知るほど意外性があって好ましいと思ってしまう。

先入観で固定化されたイメージでこういう意外性を知ることができないのはもったいないなと思う。

フランスはやたらイメージのいい国で、イメージ戦略では世界一くらい強いのではと思っている。
魅せ方が上手いよなーといつも思っている。

だからこそパリ症候群みたいな弊害も出てくるのだろうけれど。

先入観はあてにしない方がいいというか知ることを怠らない方が楽しいと思う。


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