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第47回 将棋の日in関西

関西将棋会館の将棋の日 イベントに行ってきました。

11月23日(火・祝) 
出演棋士
畠山鎮八段・山崎隆之八段・斎藤慎太郎八段・折田翔吾四段・服部慎一郎四段・室田伊緒女流二段・武富礼衣女流初段

●到着

前日も夜22時まで指導対局の六枚落ち特訓をしていたために睡眠時間を削ってしまいました。3時間しか寝ていません。ですが緊張で目はギンギンです。体力の電池切れはすぐに切れてしまうかもしれませんが、全力で楽しみます。コロナ禍のふれあいイベントはあまりに貴重です!

関西将棋会館は何度か来たことがありますが5階は特別。一般人は普通は入れません。初めて入る5階です。靴を脱いで下駄箱へいれて上がります。
江戸城本丸御黒書院――歩くことすら緊張する場所です。
映像で観た対局室はとても広く感じました。御上段と御下段、そして芙蓉の間がつながっていました。

●指導対局

受付で指導対局をして頂くのは畠山鎮先生と教えて頂きました。スタッフの方に案内されて、対局室の中を歩きます。
進むと足下に「段」がありました。

わたし
「ここ…! 私なんぞがあがってもいいんですか?」

将棋連盟の方
「はい、どうぞ」

初級者が御上段の間で指導対局を受けるとか。そんなこと、あっていいんでしょうか。お座布団に座って、ひたすら緊張します。だめだ、ここは心を落ち着けるために――

(写真を撮る! いくぞ、相棒! ミラーレス・カマキリ!)

ミラーレス・カメラ(Canon)を取り出し、写真を撮りまくりました。

(は! あ、あの小部屋は――!)

そうです。藤井聡太竜王の中継を見られている方はとても気になっていること例の小部屋です。時々、対局中、藤井聡太竜王が外を見て目を休められると聞いたことがある小部屋です。そこは、4畳ほどの空間でした。
コートかけと窓。そして荷物置きになっています。
そして、窓からは少し開けた景色が見えました。

(本当にここは関西将棋会館なんだな。数多の名局が生まれた場所)

心が落ち着きました。御上段の盤の近くに戻って畠山鎮八段をお待ちします。まもなく棋士の先生方が入ってこられました。

畠山鎮八段
「よろしくおねがいします。いゃやぁ、緊張しなくていいですよ。してしまうかもしれないですが、うんうん」

ガッチガチのわたしをみて畠山鎮八段が微笑んで緊張を解こうとしてくださいます。

山崎隆之八段
「え、その座布団よりこっちのほうが胡座くみやすいからいいですよ! あ、さすがに胡座はくまなないか」

(ぁぁ!!山崎隆之八段! スキ!)

山崎隆之八段はとなりの指導対局だったのですが、こちらまでお座布団まで持って来て下さいました。

(これはmuatsu! 豊島将之九段が座られても沈まない、あのお座布団!!)

座り心地は最高でした。普通のお座布団より一回り大きく、堅さもとてもいい。棋士の仕事道具です。棋士の先生と同じ場所で同じお座布団で将棋を指させて頂けるとか身が引き締まります。

(今、できる自分の将棋すべてで頑張ろう)

気持ちを入れて駒を並べました。

わたし
「六枚落ちでお願いいたします。よろしくおねがいいたします」

ふと。畠山鎮八段が鋭い目をされます。

畠山鎮八段
「山崎先生は正座を崩すされるひとでしたかな? 幹事のときは違いましたよね?」

山崎隆之八段
「あははは、幹事の時は崩していないですけれど。すごいチェックされるじゃないですか、さすか鬼幹事」

私たちを楽しませ、そしてリラックスさせようと、先生方が楽しく会話も盛り上げてくださいます。

中盤。私にとって重要な局面を迎えていました。息を吸って、吐く。思いっきり肩の息を抜きました。

畠山鎮八段
「そうそう、リラックスしていいですよ」

ここは、この一手しか一目見えない。指しました。顔を上げていないのですが、畠山鎮八段が微笑まれたような空気を感じました。

畠山鎮八段
「これは、一番いい手じゃないですか。さては詰将棋やっていますな」

(はい。ここ一年ぐらいですが本当に、将棋は楽しいです)

今の私の棋力すべて。全力。全棋力でした。
終局後、丁寧な感想戦をして頂きました。そして、3手詰めの詰将棋を出されます。スパッと短時間で私の棋力を見抜いて、課題を題して頂けるとか、凄くないですか。いや凄い。鬼幹事(だった?)の畠山鎮八段に将棋を教われたことを励みにこれからも将棋を頑張ります。ありがとうございました。

●サイン会

指導対局終わりで、ふらふらになりながらサイン会に向かいます。すでに電池切れです。サイン会は服部慎一郎四段。竜王戦第2局仁和寺から一ヶ月ほどでまたお会い出来きることが嬉しいです。

服部慎一郎四段
「あ! その節はありがとうございました!!」

わたし
「覚えて頂いていて恐縮です。こちらこそいろいろとお心遣いありがとうございました!」

お礼の、お礼をお伝えできました。服部慎一郎四段は初めての対面での揮毫ということでとても緊張されてしました。緊張は移ります。わたしも緊張してしまいます。それでも少しずつ、お話をしているとその様子を見たのか――差し伸べてくれる手ではなく、声が聞こえました。

山崎隆之八段
「え? “気合”じゃないの? 揮毫!」

服部慎一郎四段
「はい。です!」

(山ちゃん! ありがとうございます!)
心の中でのみ山ちゃんと呼ばせて頂くことがあることご容赦くださいませ。

さすが山崎隆之八段。となりのテーブルで揮毫されていた山崎隆之八段がここでも和ませてくださいます。私が服部慎一郎四段に書いて頂いたのは「将棋の日」。今日だからこそ頂ける特別な揮毫を書いてくださり、服部慎一郎四段ありがとうございました。

●棋士と遊ぼう!ミニゲーム大会

・駒重ね
・ドメモ
・駒掴み
・ゴフレットゴブラーズ
・ワードバスケット
・神経衰弱
・ストップウォッチ

山崎隆之八段が――次で上がりますとか、最高にかっこよかった! 
室田伊緒女流二段に微笑みとともに負かされた!
斎藤慎太郎八段と武富礼衣女流初段と声を出して笑った!
畠山鎮八段のぼやきは絶品でした!

畠山鎮八段
「午後のトークショーはこの後はなにで頑張ろうかなぁ。最近は本当にいろいろ声を頂くんですよ。加藤一二三先生とか(フリ)」

わたし
「え? 今日、加藤一二三先生来られているんですか?(ノリ)」

畠山鎮八段
「ん。どうかなー、浪速の師匠かなぁ(フリ)」

わたし
「わぁ、浪速の師匠にもお会いしたいです(ノリ)」

棋士の先生との楽しい会話が出来てしまう喜びよ。

指導対局に全力を出しすぎで、ミニゲーム大会の成績はボロボロでした。ミニ色紙大切にします。この後、昼食をイレブンで珍豚美人。久しぶりに頂いたのですがとても美味しかったです。将棋連盟の売店で井上慶太九段の「棒銀で戦え!」の揮毫入りの本を購入して会場に戻りました。これが後々の縁に繋がるとはこのときは知るよしもありませんでした。
電池切れにならずに体力が少し戻ってきました。いよいよトークショーです


●席上イベント/トークショー①

山崎隆之八段・折田翔吾四段・服部慎一郎四段・室田伊緒女流二段
参加者から頂いたトークテーマに答えていく形式です。
キッレキレの山崎隆之八段が盛り上げてくださいます。

(以下うろ覚えです……すみません。トーク回答は全て先生で統一)

○この棋士のここが凄い
(山崎先生) 斎藤慎太郎八段。言って良いか分からないエピソードらしいので書かないでおきます。
(折田先生) 斎藤慎太郎八段。奨励会時代に山口県の大会からの帰りの夜行バスで眠らずに詰将棋を解いていた。
(服部先生)池永天志五段。先輩なのに、フレンドリーに絡んでも温かく優しい先輩。山崎先生にみんなに服部四段はフレンドリーだ突っ込まれる。
「テンテンとかいってんの?」
「最近は……はい」
「ダニーとは言っていないよね」
「それは……確かに」
池永先生と服部先生はいつも将棋の朝練をされているとか。山崎先生は何度か入れて欲しいと言っているが、服部先生のその時の返事はとてもいいのですが一年ぐらい入れてもらえていない。

○メガネのコダワリは?
(山崎先生)普段用、対局用、仕事用。普段用は少し弱くしている。
(折田先生)こだわっている。曇り止め。5本ぐらい。フレームはZoff。曇り止めJINSの組み合わせがいい。
(服部先生)コダワリないです!
(室田先生)コンタクトです!

○対局中に一番驚いたこと
(山崎先生)対局中に負けそうで王手だけしようと指した。相手は離席中。何故か隣の先生か笑っていた。盤面みたら二歩だった。そのまま投げたいけれど、対局者がいないので投了できなかったこと。
(折田先生)プロ編入試験の時。駒並べていた時に「飛車」を並べ忘れた。めちゃくちゃ緊張していた。
(服部先生)タイトル戦の記録の時に封じ手を二枚書かないと行けないのに、一枚しか書いていなくて焦った。豊川先生に助けて頂いた。

○ABEMAマルチアングルでやってみたい企画は?
(山崎先生)ご当地の特産品をたべて当てるゲーム。
(折田先生)歌ってみたい。今日も一曲歌わせて頂きます!(本当に歌って下さった)

○最近の棋士のお仕事は? どんな感じ?
(室田先生)最近、久しぶりのリアルイベントです。嬉しいです。
(山崎先生)研究会はほとんどネット対戦。電話がかってきたら研究会。お相手は糸谷八段。
(折田先生) ABEMAに出させて頂いたりと。
(服部先生)最近は執筆の仕事をしています!

●席上イベント/トークショー②

畠山鎮八段(浪速の師匠)・斎藤慎太郎八段・武富礼衣女流初段

浪速の師匠登場!


【棋士会チャンネル】関西将棋会館建設プロジェクト!一千年の歴史を紡ぐ「将棋」を未来のこどもたちへ ふるさと納税型クラウドファンディングを紹介します

替え歌を歌ってくださる。しかも弾き語り。過去に実はやったけれどJASRACに止められた。一局、ではなく一曲が始まりました。

♪師弟でいようよ(家族になりたいの替え歌)
しんみり+爆笑の歌詞でした。

斎藤慎太郎八段に如何でしたかと、武富礼衣女流初段が大爆笑しながら質問されます。

斎藤慎太郎八段
「心拍数だけあがりました! 唖然としていますよ! みなさん! 拍手いらないですよ!!(めっちゃ笑顔)」

(以下うろ覚えです……すみません。トーク回答は全て先生で統一)

○着物を選ぶポイントは

(斎藤先生)色味で選んでいます。着物の裏は竜を選んだりと。使い分けできるようにしています。

○この棋士のここが凄い
(畠山先生)井上慶太九段。稲葉さんが三段リーグで昇段、菅井さんがC2と昇段を逃して。弟子が大変に落ち込まれていたとき。師匠の井上慶太先生は落ち込んでいる弟子に「残念やったな! まだちょっと弱いな!」って言われた。すると二人ともめっちゃ笑顔になった。落ち込んでいる弟子にかける一言が師匠として凄い!
(斎藤先生)畠山鎮師匠。澤田、菅井、斎藤は将来のA級棋士だと昔から言ってくださっていた。見る目あったのではと。

○アベトナのリーダーなら、どの他を選びますか?
(畠山先生)若い人。
(斎藤先生)ドラフトは難しい。誰かを選ぶのは誰かを選べないので悩む。

○棋士だからこそ困ったこと
(畠山先生)平日に私服でブラブラしていたらのご近所の目が厳しい。たまに、ネクタイしてスーツだと不審に思われる。
(斎藤先生)棋士は物忘れがひどいのでは? 私だけかも? でも北浜八段も凄いですよね。わたしも今年だけで家の鍵を三回無くしました。ははは。

とても楽しいトークタイムの最後でした。

畠山鎮八段
「いやー、今日は神経衰弱やっているときに、今日は浪速の師匠はきているんですか? って言ってくれた人いるんですよ」

斎藤慎太郎八段
「フリがあったんですか? 一人芝居お疲れ様でした(微笑んでバッサリ)」

(まって! 斎藤慎太郎八段! わたしそのフリをノリで受けたんですよ!)

さっきの神経衰弱フリノリを思い出して大爆笑。会場も大爆笑でした! 
師弟っていいですね。

●次の一手

次の一手の解答合わせです。今回、三択とかではない。符号の記入式。いやいや、普通に無理でしょう。正解できるわけがないけれど書きました。ヒントを頼りに書いた次の一手を記念に応募。

山崎先生
「この一手めちゃくちゃ難しいですよ!! 当った人すごい」

なんと符号正解でした。山崎先生が箱の中から正解者だけがの紙が入った箱から一枚を選ばれます。

(これで当たらなかったら、山崎先生を諦め……)

あの名言を思い出してしまいます。

(山崎先生を諦めない!! 当ててください!)

なんと引いてくださいました。本当に山崎先生ありがとうございました! 井上慶太九段の揮毫を頂きました。人生初の「次の一手」での賞品当たりです。

●特別記念対局

畠山鎮八段vs斎藤慎太郎八段
トーク中も何度も言われていましたが、お二人とも完全に真剣勝負。全力の戦闘態勢です。山崎隆之八段のキレッキレの大盤解説が始まります。

山崎隆之八段
「これはおしゃれな手ですね。イケメンがうつからおしゃれって言いますけれど、普通にいやな手ですよ!!」

山崎隆之八段
「絶対、畠山先生はここは跳ねます! わかります! 絶対です! ほら攻めた!! 絶対に攻めるんですよ」

ここで5階の対局見学に向かいます。棋士の真剣勝負を御下段の間から間近に見られるとか、なんという素晴らしいプログラムしょう。近くで対局を見せて頂く機会は何度かありましたが棋士の集中力は桁違いです。

観戦者が発する畳を歩くの音、遠くから聞こえてくるJR大阪環状線の電車の音、車の排気音。音は様々混ざって対局室に響いています。
けれど。見ている光景は――盤と駒を挟んでひととひとが向かい合っている“だけ”

(その“だけ”がなんと猛々しいことか)

同じ数の駒と駒。けれど同じ戦いはない。
師弟対決だからこその緊張感にこんじきの部屋が満たされています。

10分ほど観させて頂いて、4階に戻ると服部慎一郎四段と折田翔吾四段が大盤解説を担当されていました。しばらくして、二度目の御上段の対局見学に行きます。

もう二度と入ることのない場所になるかもしれない。普通は入れないのです。関西将棋会館のすべての写真を撮らねばと朝からフル稼働の相棒、ミラーレス・カマキリを手にします。後に一番自分で撮っていて笑ったのは天井のカメラまで写真に撮っていたことです。全力です。後悔の無いように全部、気になるものは撮影しました。

そして、電池が切れました。
いえ、私の体力ではなく、カメラの電池が――。切れました。

(後は頼むぞ。iPhone!)

写真の撮りすぎです。ここからはiPhoneに切り替えて大盤解説会の写真を撮
りました。バッテリー予備を買います。

●お楽しみ抽選会

さすがにここで当たる運はなかったです。参加出来ただけ、山崎隆之八段に次の一手を当てて頂いただけでも幸せです。


●エキシビションマッチ

将棋の日のイベント。最後の最後まで盛り上げてくださいます。ここで予定になかった一局が追加されました。

斎藤慎太郎八段vs服部慎一郎四段
アベマトーナメントフィッシャールール!

本当に予定のなかった一局なのでしょう。時計のセットなど慌ただしくスタンバイされます。スッと始まりました。超早指しの一局。
解説は山崎隆之八段。聞き手は室田伊緒女流二段。

(サービスありすぎんか?! 将棋の日in関西!!)

キッレキレの解説で大爆笑です。

山崎隆之八段
「ああ、もうこれは悪いと思っていますよ。え? 踏み込むの?」

山崎隆之八段の大盤解説も絶好調です。ホームの関西将棋会館だから半分ぐらい辛い言葉が続きます。ハプニングも笑いを誘います。馬の駒の磁石が弱くて何度も大盤から落ちます。

山崎隆之八段
「ああ、行くよ、行っちゃう――馬! 馬! 逆転したかも? いやしてないか?!」

早いし、面白いし、大興奮だし。客席に座られていた武富礼衣女流初段、折田翔吾四段・井上慶太九段も大笑いです。

(この一体感。将棋ってすごい!)

今日一日、将棋を指して、棋士と遊んで、棋士のお話を聞いて、将棋を観た。そしていま、将棋を観ている。棋力は足りなくても大丈夫。棋士の先生方が今日のように、老若男女が楽しめるように導いてくださいます。

そして、将棋の日in関西が終わりました。
将棋の日in関西、最高の一日でした。

将棋界スキ。
本当にもう、大好き!
めちゃくちゃたのしかったヨォ!!!

●最後に

こんな長文(過去最高)――ここまで読んでくださりありがとうございました。当日、お話しさせて頂いた方、棋士の先生方、関係者スタッフの皆様ありがとうございました!!

次のレポートは、すぐ! 
明日の倉敷「藤井聡太竜王誕生を祝う会」の予定です。

(了)

※今回のイベントのお写真は撮影の許可も、SNSへのアップ(参加者が映り込まないことが条件)の許可も頂いております。
※誤字脱字など随時直していきます。速さ重視のアップで申し訳ございません。ご参加されていた皆様。会話の順番、記憶違いなどあったら、申し訳ございません! 修正します! ドン!とご指摘くださいませ。


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