特性測定ってなんのためにしてるんでしたっけ?♯025

「みなさん、毎日たのしく補聴器フィッティングしてますか?」

え?全然フィッティングしてない?
まだ見習いで調整させてもらえないって?
焦らない、あせらない(^_^)

まずはアシスタントとして活躍することから目指していきましょう!

フィッティングができなくても、現場で活躍できることはいっぱいあるんですから!

というわけで、今回は補聴器特性測定器の基本&実践での使い方について新人さん向けに書いていきたいと思います。

※本号は技能者資格取得前の方を対象向けに書いております。ベテラン技能者、聴覚が専門のSTの皆様は「新人にはそこから教えなきゃいかんよねー」という気持ちでご笑覧いただければ幸いです。

補聴器店や補聴器外来でアシスタントとして働き始めたばかりでも、ドクターや先輩がカウンセリングなどしている時に、補聴器を預かって特性を測定するチャンスは早くからありますよね。

このとき同じ作業を行うにも、丸暗記した単純作業として測定するか、作業の意味を理解して測定するかでレベルアップのスピードが変わってきます。

もちろん意味が分かっていた方が成長は早くなります。
今回は特性測定について復習しながら、その意義を一緒に考えてみましょう。

補聴器の特性を測定する3つの目的

技能者の講義にも登場する話題から‪・・・‬補聴器の特性測定では、3つのチェックポイントがあります。

●動作確認

●安全確認

●個別確認

一つ目の「動作確認」とは
補聴器が器機として正常に動作しているか。初期不良品ではないか、故障していないか。確認のために行う作業です。ロット間で10dBくらいの誤差もありうるのが補聴器の実情。

カタログ通りに、50,60,80でカタログの仕様通りの周波数レスポンスを描くかを確認することは基本中の基本です。
パソコン上プログラムで表示される周波数レスポンスとかMPOの値とかは、補聴器が正常に作動しているという前提で表示される数値であって実測値ではありません。実際の補聴器とはズレがあります。

また補聴器の多くは湿気に弱くそれが理由で故障することも。汗ではなく、取り扱い上のエラーから水没させてしまっていることも時にはあります。仮に汗まみれになったり、瞬間的に水没させたりしても、そのあとそこそこに動いていると、そのうちそうしたトラブルがあったことを忘れてしまっているなんてクライアントさんはまれではありません。

内部基盤を目視確認することはままなりませんから、最低でも年2回は動作確認をすることが大切です。

二つ目の「安全確認」とは
1つめの動作確認に通じるチェックポイントとなります。OSPL90とMPOのチェックのこと。
補聴器から不用意に難聴リスクを高める強大音が出力されないように安全確認することです。

フィッティングの流れによって、安全確認を行うタイミングは様々ですが、欠かしてはいけない項目チェックという意識を明確に持っていないと見逃しやり逃ししてしまう可能性が高まります。

ヒヤリハット対策ゆえにここは明確に「安全確認」という項目としてしっかり行うことが大切です。
業務記録やカルテにおいて、「特性器にてOSPL90とMPOの実効値を確認した(安全確認)」と記載しておくことは非常に大事なことです。

そして最後に、「個別確認」です。
いわゆる5本線の利得または出力の記録です(個別設定の確認)。1つめと2つめのスペック確認を経た上で、実際にクライアントさんの聴力像にあわせた値をみる。1,2をはしょって、3のみを行っていると、故障に気がつくのが遅くなり、気がついたときにはおおきな修理代が必要になってしまうなんてことになるかもしれません。
買い換えを提案するにしても、あらかじめ「すこし調子が悪くなり始めていますね」とか「取り扱いもう少し丁寧に。汗対策とかだいじですよ」なんてコミュニケーションが取れている方が、クライアントさんの心理的負担はかなり違ってきます。心の準備もできてるわけですから話も切り出しやすくなります。

調整が気になる気持ちはよくわかりますが、これら「3つの手順」はとても大切です。

毎日使われる補聴器は、汗をかぶってマイク感度が低下していてもおかしくありません。主訴に無くても補聴器の正常動作の確認は大切です。

また入荷したばかりの新品の補聴器でも、製造ロットによる利得出力の誤差があったりしますから、把握しておくに越したことはないでしょう。

”じつは故障していました”は時間のムダ、手間を惜しまず点検するのが原則です。

二つ目の安全確認は、言わずもがなですが、補聴器で難聴を悪化させるなんてことになってはいけません。

三つ目の調整状態の記録については、記録のみを目的とする場合、調整の判断として用いる場合があります。

この3つが補聴器の特性を測定する主な目的です。
実践で引っかかりやすい所を解説しながら、一つずつ一緒に考えてみましょう。

特性測定器(試験箱)も故障する(-_-;)

「うたがって、確認して、なお正しかったものだけが真実」です。
今、使っている補聴器特性測定器は正常に作動しているか?という根源的疑問をもつことも大切です。

日常的に新品の補聴器をデフォルトのままに接続してカタログ通りのふるまいを確認していれば、この作業によって「補聴器を使って特性器を点検する」という作業を行うことができます。

納品時に、商品を信じていきなり聴力検査の結果を入力するというのではなく、「動作確認」を行って、新品の補聴器がカタログ通りの出力をするか確認しましょう。

もしエラーがあれば、それは補聴器か特性器、どちらかの故障です。もし複数の補聴器でおかしな結果になるなら、特性器の故障だろうという判断になろうかと思います。

この他、もっとシンプルに特性測定器の正常動作を確認する方法もあります。

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