『器種選び』もフィッティング ♯029

27号、28号の中川さんの記事はいかがだったでしょうか?

27号の記事が「現在までの補聴器適合」について、つづく28号の記事は「未来の補聴器適合」になっており補聴器につながる生理学のお話しでした。

特に28号の内容は、今後のフィッティングの土台になっていく考え方だと思います。

もしかしたら近い将来に「補聴器適合検査202X(仮)」が生まれるかも知れません。

解明されつつある蝸牛の働き、そして末梢(耳介から蝸牛まで)と中枢(神経から脳)の機能の分担について、今のうちから知識を仕入れておくと未来のフィッティングの学びもスムーズになりそうです。
28号、ぜひ読んでみて下さい。

さて今回はカンタン&すぐ使える話題の提供ということで、新人にもベテランにも役立つ具体的なフィッティングについて読者の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

どこからどこまでがフィッティング?

フィッティングという言葉があります。

日本語はハイコンテクストな言語なので、あまり意識されませんが、補聴器のフィッティングって何を指すのでしょうか。

国語辞典に掲載するつもりで解説するなら、どう説明すべきでしょう。

STや技能者の会話の中で、ある時は周波数別の利得の上げ下げを指してフィッティングという場合があります。でも、これは正確に言えばファインチューニング(微調整?)です。

またある時は、聴力を測定して、それに合わせて音を調整することを指すかも知れません。それじゃあ耳せんの選定やシェル形状はフィッティングに含まれないの?といえば、もちろん含まれます。

フィッティングというと僕が分かりやすいなと思うのは仕立服の”仮縫い”のこと。

フィットという言葉には「何か(例えば身体)と何か(例えば服、指輪、メガネなど)の適合」という広い意味があります。

補聴器に置き換えると、前者は聴力や耳の形状になり、後者はシェルの形状や利得出力になりそうです。

しかしフィットという言葉は、これだけではありません。

実は「用途や目的に合う」という時にも、フィットという言葉は使われるんです。
補聴器でいえば、主訴や困っているシチュエーション、クライアントのこだわりを考慮するということになるでしょう。

今回は、広義のフィッティングに含まれることを一つ一つ一緒に考えてみましょう。

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