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ラクすることは手抜きじゃない!_『料理研究家がうちでやっているラクして楽しむ台所術』(林幸子 著、サンマーク出版)

「ラクする」と言うと、なぜか悪いことをしているような気分になる。手を抜くために質を落としているかのような……。しかし、ラクするけれども味は抜群、しかも台所仕事が楽しくなるとなれば、これはもう大手を振ってラクできるというもの。

『料理研究家がうちでやっているラクして楽しむ台所術』(林幸子 著、サンマーク出版)は、日々の料理の質は落とさない、いや、落とさないどころかレベルアップさせてくれるラクするワザが満載だ。「道具選び」「マイ出汁」「仕込み置き」「保存術」「献立術」「アレンジ術」「片づけ術」と8つのカテゴリに分けて紹介されている。

会社員時代と違い、フリーランスの今はほとんどの食事を家でとらねばならなくなった。この本は毎日のお弁当と食事づくり、92歳義父とふたりきりで食べる昼食メニューに頭を悩ませている私にとって、ありがたいワザばかりである。

すぐにやってみたのは、おいしいご飯を食べるための炊きあがりのワザ。すごーく簡単においしい炊きたてごはんを食べられる。

包丁をすぐに研いだのもこの本のおかげ。本当は研ぎ屋さんに出したほうがいいのだが、億劫でついつい後回しになってしまっていた。思い切って簡易のシャープナーで研いだらストレスがなくなった。スッスッと切れて気持ちがいいのだ。近いうちに研ぎに出そう。

これから真っ先に試してみたいのは、ひき肉を使ったハンバーグのタネの「仕込み置き」だ。作り置きと違い、途中まで下ごしらえして冷凍保存しておき、いろいろな料理に展開させるワザである。ジップ付きのビニール袋に入れ、箸で適当な大きさに割れ目を付けて保存すれば、必要な量だけ市販のカレールーのようにパキッと割って使えるという。目からウロコである。

これならハンバーグはもちろんのこと、お弁当用に小さなハンバーグをラクに作ったり、昼食用に2人分のミートソースをササっと仕上げたりできる! 本書ではキーマカレー、ミートソースグラタン、ドリア、ハヤシライス、ミートパイ、ピザソースなどへのアレンジが紹介されていた。うーん、全部作ってみたい!

どんな環境にあっても、食事は一生取り続けなければいけないもの。ならばラクして機嫌よく作って食べたい。しかも、味は落とさずに。

この本は決まりきったルーティンや思い込んでいる常識を疑い、頭を使えば、質は落とさず、それが可能だと教えてくれる。

仕込み置きのハンバーグのタネ、早く作ってみたいものだ。難航している仕事が終わったら、スーパーへ買い出しに行こう。