2004年米大統領選

20年前にこんなこと書いてた。
今読むと、うわー、なんてナイーブなんだ。こんなこと考えてたんだ・・って結構びっくり。9.11の後で、戦争とか色々あって少し感情的になってたのかなって思います。

今だったらもう少し違う角度で見るかなーと思います。考え方って変わるよね。

ジョン・エドワーズさん、この頃はまだ奥さんとのラブラブなエピソードや爽やかなイメージで好感度高かったなあ。その後どんどんスキャンダルが暴露されて病気の奥さんへの酷い仕打ち(隠し子発覚)なども出てきて、なんとなくフェードアウトしましたね。今どうしてるんだろう。

まあ、それはさておき。
自分の浅さを晒します。


(2004年6月、7月)

今週

民主党のコンベンションで正式にジョン・エドワーズ氏が副大統領候補として紹介された。 テレビでのスピーチをずっと見ていたのだが、やっぱり彼のスピーチは素晴らしい。 本当にカリスマ性のある人だなあと思う。ケリー氏は彼を副大統領候補に選んで大正解だった。

肝心のスピーチの内容で強く共感したのは、アメリカの健康保険制度や教育制度について。 自由と平等の国アメリカは、実のところ本当には自由でも平等でもない。 貧富の差は激しいし、貧しくて健康保険を買えない人が山ほどいる。病気になっても病院へ行けず、適切な治療も受けられない人達がごまんといる。

学校も地域によって差があり(学校は私立を除いて住んでいる地域の学校へ通うシステム)、いい学区は当然家や税金も高く、自然裕福な家庭の子と貧しい地域に住む子とでは 受ける教育水準も違う。となると裕福な家の子はいい大学へ進学する可能性も高くなる。アメリカは想像以上に学歴社会で、いい会社は最低でもマスター・ディグリー(修士号)が必要なところが多い。学歴が高ければ高いほど、その分収入も良くなるという仕組み。それも、スタート時点で既に大差がつけられていて、学歴のない人は一生の収入が博士号を持った人の初年俸にも満たないという人も。

そしてさらに生まれによって貧富の差は広がってゆく。。
極端な話、裕福な家庭に生まれるか貧しい家庭に生まれるかで将来がほとんど決まってしまうと言っても過言ではないと思う。

かつて言われていたアメリカンドリームは、今やほんとうに夢でしかない。

もしケリー氏が大統領になったら、まず健康保険制度と教育制度を全国民に平等にするという。もちろん税金はその分上がるが、そんなものは国民の義務として当然のこと。 外へ外へと目を向ける前にまず、自分たちの足元からしっかりと地固めをするのが先決だと思う。

私には選挙権がないのが非常に残念だが、今度の選挙はぜひケリー氏にがんばって当選して欲しい。


コンベンション

昨夜は大統領候補ケリー氏のスピーチだった。
今までケリー氏についてはぼんやりとした印象しかなかったのだが、改めて彼のスピーチをちゃんと聴いてみると意外な力強さに少し驚いた。 今までの経歴、家族や友人達との信頼関係(このあたりは親近感を持たせるための作戦?ケリー氏は「冷たい」「人間味が見えない」という印象があるらしいので。実際、『親近感がある』という理由でブッシュ氏に投票した人が意外と多いのだ。当時の同僚の子も、「彼はキュートだ」と言っていた。)、そしてアメリカの未来についての明確でポジティブなアジェンダ。 そして何よりも好印象だったのが、ブッシュ大統領についての直接の批判を全くしなかったこと。 今月末の共和党のコンベンションでケリー氏に対してどう出るのか興味大だ。


コンベンション始まる

今日から共和党のコンベンションが始まった。
私は台所から家事をしながらところどころ観ていた。
ジュリアーニ元NY市長も登場し、
「強いアメリカ、屈しないアメリカ、世界一のアメリカ」を叫んでいる。それに歓声を上げる群衆を見ていると、なんともいえない違和感と空恐ろしさを感じて気分が悪くなってきた。

アメリカに住む外国人は、どういう思いでこの演説を聴いているのだろうか。
今や世界で一番嫌われている国とまで言われるアメリカ。
この、アメリカ国民が信じてやまない「世界一のアメリカ」という考えこそが、他国の者にとって一番嫌悪される原因なのではないか。
私は多分この先何年ここに住まわせてもらっても、「世界一のアメリカ」に違和感を覚え続けるだろう。


ブッシュ大統領

前回同様、今回もまた卑怯な手口を使っている。
彼の言動は、どうしても好きになれない。
ベトナム戦争時のことや前回のマケイン上院議員に対して使った汚い手口、そして今回のケリー氏に対するデマ攻撃。本人は関知していないというが、そんなはずはないでしょう。
現にデマだと判明したのに、ケリー氏の支持率に大打撃を与えている。
(マケイン上院議員もこの次の大統領選に出馬するという目的があるから今回のコンベンションで応援演説を行っているけど、ブッシュ氏に関しては明らかに『大嫌いだ~』オーラを発している。)
何より、(原稿なしでのスピーチだと)あまり誠意と知性が感じられない彼の話し方。。もっとも、そこに親近感を持つ人が多いのかもしれないけど。
あまりこんなことを書くと自分の知識の薄っぺらさをさらけ出してしまうのであれだけど、ブッシュ氏が次期大統領になるのは嫌だなあ。(結局は好き嫌いの問題だったりする)
ケリー氏にはデマ攻撃に屈せずに、がんばって当選してもらいたい。ケリー氏が大統領になってもあまり変わらないという意見もあるけど、せめて公約したことは実行しようとするだろうから。ジョン・エドワーズ氏にも期待したい。


(2004年9月、10月)

コンベンション終了

共和党のコンベンション、やはりケリー氏に対する批判が大半だった。
公約の内容に関わらず、相手の非をあげつらうやり方はどうも好きになれない。
それに、911のことを選挙に利用するのも非常に悪趣味だと思う。
それにしてもこの共和党のコンベンション、なんだかカルトっぽい様相を醸し出していて、ちょっと怖かったなぁ。。


(2004年11月、12月)

大統領選挙

残念ながら、ブッシュ氏が再選されてしまった。 アメリカは、世界はこれからどうなってしまうのだろう。
約半数の人が「アメリカは間違った方向に進んでいる」と認めながらも、ブッシュを支持する人が多いのは本当に理解出来ない。
共和党支持者の中でも「ブッシュは大嫌いだけど支持する」という人や、「政党は支持しているけどブッシュがやってきたことは人間として許せない」と、今回は民主党に投票した人もいる。人それぞれ、政府に何を求めるのかが違うのでしょうがないが。

ブッシュ政権のキャンペーンで一番理解出来なかったのが、彼らの言う「モラル、道徳」についてだ。 今回問題になっていたゲイの結婚や中絶を違法にするということは、(いい悪いは別として)熱心なキリスト教徒にとっては重要なことなのだろうということは想像出来る。しかし、モラルについて語るのならば、 共和党が支持する処刑についてはどうなのか。聖書によると、人が人を裁いてはいけないのではないのか。テロリストに対しても、「やられたらやり返す、やられる前にやってしまえ」というのは明らかにキリストの教えに反している。 テロ=悪い=やっつけてしまえ、と相手に非を見る前に、「なぜ自分達がこんなに嫌われているのか、(世界中の)テロリスト達はなぜアメリカを攻撃するのか」という部分をもっと考えることも大切なのではないだろうか。 テロを正当化しているわけではないし、テロは許されない行為だと思うが、選挙直前のビン・ラディンのビデオは、テロを防ぐ唯一の方法は、アメリカ国民一人一人が自分達を振り返る必要性があるというメッセージだったように思える。(※この部分は、今だったらこんなこと思わないです。アメリカがどうであろうと、あの人達は攻撃してくるし、世界中をイスラム圏にすることが目的なんですね。)

戦争についても、聖書の中には一部の戦争は正当化する記述もあるらしいが、人が人を殺す、ということは正当化されるべきではないと思う。今回の戦争はそもそも、テロリズムとは何ら関係なかったのに「イラクの人々を解放する」という「”正義”の名のもとに」 多くの命がなくなっている。

ともあれ、自分達に都合の良い「モラル」を武器に、アメリカ市民の『良心』を利用した彼らの作戦はどうかと思った。(そもそも、ブッシュは宗教を武器にしすぎる)

今回の選挙は、そういう国民の「感情」の部分ばかりが優先されてしまって肝心な政策についての論争がおろそかになってしまったのは非常に残念だ。 ケリー陣営も、ブッシュ側からの悪口・批判作戦に応酬することなく、具体的な政策を述べることに集中してほしかった。 (アメリカ人の夫は「いや、ブッシュへの反撃が遅すぎたのが失敗だった。もっと早くからブッシュ政権の批判をするべきだった」と言うのですが・・。)

メディアもやたらと感情を煽り立てるものが多かった。アメリカの新聞、テレビ、雑誌などは、大抵どちらか寄りなので「相手がいかに悪いか、間違っているか」という部分ばかりが目についた。 (わりと中立なのは新聞はUSA TODAY、テレビは公共テレビかBBCぐらい・・かな?) 共和党支持者は共和党寄りの情報を、民主党支持者は民主党寄りの情報しか見ないだろうから、感情的な部分がますます刺激されてしまっていたのではないか。 私はケリー氏を支持していたので、なるべくブッシュ批判でない情報、ニュートラルな情報を得るように気をつけていたが(もともと反ブッシュなのに反ブッシュの情報ばかりを選んでいたら公正な判断が出来なくなってしまうと思ったので) ニュートラルな情報を見つけるのはなかなか難しかった。

マイケル・ムーアも、明らかに反ブッシュという形をとらずに、中立の立場をとっていたら、もっと効果的だったと思う。 ブッシュ支持者は彼の言うことははなから聞く耳もたないだろう。もし中立の立場で事実をありのままに見せて、見た人の判断にゆだねる・・という形をとれば、多くのブッシュ支持者を動かすことが出来たかもしれないと思うと残念だ。いい監督さんなのに。

まあ、泣いても笑ってもブッシュが大統領であることには代わりないので、これからは彼が再び道を誤ってしまわないよう祈るのみだ。 「歴史に大きな足跡を残す」という野望は果たしたのだから、これからは自分のことはさておいて、大統領としての自覚ある判断をしてもらいたい。


↓2003年3月に書いたこと。
ジョージに対しては、こんな気持ちもあったので否定的でした。

今回の戦争で既に沢山の人が負傷し、亡くなっている。
TVなどではいかにアメリカが正しいことをやっているか、ということを強調しているが、本当に戦争が必要だったのだろうか。 掲示板にもちょっと書いたが、正義を楯に戦争を正当化するのは危険な考えだと思う。国や宗教がちがえば当然それぞれの「正義」も違ってくるし、「自分達が一番正しい」と皆が主張する限り戦争は終わらないだろう。

9.11のテロ事件の後、ニュースでイスラム文化の研究をしている人を招いての討論が行われたのだが、その中で司会者(アメリカ人)が「イスラムの人達はどう変わるべきだと思うか」という驚くような質問をしていた。

これは、アメリカの他国に対する姿勢を顕著に表している質問だなあ、と思った。相手を変えようとするのは何の解決にもならない。

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