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【 命を身ごもり育むということ⑦】

生後2日めに、赤ちゃんが私の個室に来た。 

この日初めて私は、赤ちゃんを抱っこすることが出来た。 

小さくて、脆くて、壊れそうで、とても愛おしい。 
この赤ちゃんが、私の赤ちゃんなんだ。 


個室に来たときから、ずっと寝ている。 



私たち夫婦は、私たちの赤ちゃんを、「もな」と名づけた。 
MONAは、イスラムの名前。 
旦那さんがイラン人であることから、産まれてくる子供は、イスラム名がなければならない。だからといって、日本名とイスラム名の二つがあったら混乱するだろうと、日本でもイランでも通用する名前をつけた。 


しかし、それ以前に、「もな」という名前には深い深い理由がある。 
それは、私たちだけの秘密にしておこう。 



この日、友達がたくさんお見舞いに来てくれた。 
京都にいる姉も駆けつけてくれた。 
旦那さんの会社の社長も来てくれた。 


まさに喜びの絶頂だった。 











だが、 






その夜、 





ありえない思い込みがふと、私の頭の中に入ってきた。 







もなを抱っこして、もなを見つめ、 





そして次の瞬間、動悸が納まらなくなった。 





あれ、もなじゃない。 




この子は、もなじゃない。 





私の赤ちゃんじゃない。 





もなはどこにいるんだろう。 




冷や汗を感じ、動悸の音が聴こえた。 







続く・・・。 

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