【 コートの星達に説く人生の授業① 】
大粒の涙が頬を伝い、
拭っても拭っても、
とめどなく溢れだす。
その訳を私は知っているから、
無理にもなを励ますことはできない。
ただ、信じがたい現実を受け入れ、
涙が止まるのを待つしかない。
この春に、
私たち母子は、
初めて別れの季節を実感した。
*****
この4月にもなは中学2年生になる。
バレーボール部に所属し今年は先輩になる
気持ち新たにと思っていた矢先、
顧問の先生の離任を知らされたのだ。
もなは涙に暮れ、元気をなくし、
私も密かに落胆した。
出会いと別れの季節に、
この歳になってから、
動揺するなんて予想外だった。
たった一年の時間。
しかしそれはとてもとても深く深く、
この先生との出会いは、
今までの人生の中で、
そしてこれからの人生で、
偉大な影響力となっていたのだ。
今日はバレー部の少女達と先生の
最後の練習だった。
私たち保護者はその練習を見学した。
初めから最後まで。
*****
42歳で13歳の娘を持つ母親の私は、
この歳で、何よりも貴重で、
そして人間として行きていく過程に必要な、
人生の授業を、
この日先生から受けることができた。
その先生の一言一言に
保護者達は共感の涙を流し、
そして感謝の気持ちをかみしめた。
「いいか、人生には当たり前のことなどない。当たり前だと思っていた事は、ある日突然になくなってしまうんだ。」
そんな言葉から先生の話が始まった。
続く…。
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