エンジェルアイズ

傷を負った心が自分の中に壁をつくってしまう。それは自分を守るためなのだろうか。
受け入れたくない現実に壊れそうな心。
それをひた隠すのも人間である自分。
意思をもった、感情を持った人間。
それを解きほぐすのも人間。
寄り添い、支えあい、愛をもって接する事が出来るのも人間だ。

運命という名のもとにめぐり合ったふたり。
強く、直向な美しい警官のシャロンと、謎めいた存在のキャッチ。
お互いに惹かれあうのは時間の問題だった。

シャロンは、実直な警官として、任務をこなし、その活発な働きぶりは男性顔負け。
ある日の発砲事件で、危機一髪のところ、キャッチと名乗る、謎めいた男性に助けられる。
彼は、多くを語らないミステリアスな、笑顔が印象的な魅力的な男性。
多少反発し合いながら二人は惹かれていく。

悲しい過去の記憶を封じ込めるジム・カヴィーゼル演じるキャッチの、優しさだけでない、
理屈っぽいところや、ぶっきらぼうな物言い。
彼が、開けたドアを閉めないところや、シャロンの家を遠慮なく偵察するところや、
約束を守らないシャロンに対して素直に怒りをぶつけるところなど、
どこか、無垢で子供のような雰囲気を感じた。

一方、ジェニファー・ロペス演じるシャロンの正義感に正当な姿勢の反面、
壊れやすい心を必死で守っている健気さを感じる。

受け入れがたい過去を消してしまいたいキャッチはなにか自分という存在を、
地面から浮かせて、複雑な感情を持ち合わせないようにしているように映る。
純粋にシャロンが好きで、彼女にはストレートに言葉で表現する。

正義を貫いた結果、理不尽な仕打ちを受けるシャロンは、時に自分の行動を問うが、
彼女自身、そこには何の矛盾もないことに気付く。
だが周りはそうではない。

二人は支えあい、お互いに過去を認める。
それは運命という名のもとにめぐり合った二人の愛がそうさせた。
紛れもなく、愛の力。

2003年 米
監督:ルイス・マンドーキ
出演:ジェニファー・ロペス
    ジム・カヴィーゼル

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